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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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038:セレア

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ざっくり24,000PVです。
ありがとうございます。
日課の朝錬を終えると今日は【魔法理論3】【四大属性魔法3】【瞑想】の講義を受ける。
この辺になると受講者はぐっと減っていき内容も大分特殊なものになっていく。
四大属性魔法で言うならば今までの魔法使いが使った属性魔法からのピックアップだった。

どの属性と混ざっているかは不明だけど四大属性魔法には癒しの効果があるらしい。
例えば毒や発熱なんかは水属性魔法で治す事ができ、傷を塞ぐなら土属性や火属性、呼吸器系なら風属性で治したという記録があったようだ。ただ、現在使えているのを確認出来るのは水属性魔法の回復のみであり、これも他の神聖魔法が混ざっていないか確証は取れていないようだった。
魔法理論も学者がこう考えているという学説まで混ざりだしてきて、これ以降の講義を受けても現時点では理解が追い付きそうもないと思った。

毎日瞑想を行っているけど、この授業は魔法使いとしての基礎の底上げが出来るような気がして受講している。
中には呼吸法として活用する冒険者やギルドから基本を学ぶようにと魔法使い見習いの冒険者まで来ているようだ。
今日はレンが講義を受けていた、後で聞いたら心を落ち着けるため受講したらしい。
講義が終わるとザクスが廊下で待っていたのでレンと三人で昼食を取る事にした。

ザクスとレンは通常通りグループに参加するようだった。
この後の予定を聞かれたので「今日はサリアル教授のグループに顔を出した後畑に直行かな?」と伝えると農作業を是非みたいと言ってくる。特に隠す必要もないので教室に顔を出してから畑に行くよと話す。
「あ、後で試験の対策もしたいから色々教えて」とお願いすると2グループの分は任せとけと返事があった。

サリアル教授の基礎魔法グループの教室に着くとグループのみんなに挨拶をする。
「サリアル教授、マイクロさんの件ありがとうございました」とお礼を言うと「少しは役に立ったでしょうか?ほっとくと何処までも突っ走ってしまうのはマイクロの悪い癖です」とため息をつく。
「それでシールドは順調ですか?」と聞かれたので魔力を集中して盾を形作る。
「さすが特待生ですね、ただ魔力を集めて形にしただけではダメなのですよ」と今までの四大魔法・魔法理論を思い出すように指摘される。

魔法にはもともと持っている特性により攻撃の魔力・防御の魔力等の方向性があり、今回は無属性の魔法なので明確な攻撃の意志・防御の意志を込める事が大事だということ。
特に無属性は元々ある方向性が0な為、意志を込めるのが難しいらしい。
特訓方法としては盾を形作った後に攻撃魔法をどんどん撃ち込んでもらう方法もなくはないらしい。
「フレアを呼びましょうか?」と微笑むサリアル教授に「丁重にお断りします」と深々とお辞儀をした。

「昨日教材を見て結界魔法を挑戦してみたのですが」とコツというかこの魔法の特徴・持続時間について何点か質問をしてみると「もしかして完成したのですか?」とかなり驚いていた。
どうやら結界は儀式魔法と言うくらいなので数々の呪具の準備から魔法陣らしきもの長時間の詠唱など、どれも大変時間がかかり更に現在教えられる人がいないらしい。
また、通常儀式魔法は大人数でやるようで、一人で全てを賄うには多くの魔力や素質が必要のようだ。
「シールドと同じような防御の要素が必要なはずですが・・・」と言うと、もし出来るようなら見せてもらえますか?と聞いてくる。これから農作業をする前に準備をする予定なので一緒に行くことにした。

「こんにちはー」品種改良グループと基礎薬科グループの両方に挨拶をする。
サリアル教授は顧問の二人をこっそり呼び出すと廊下でヒソヒソ話をしていた。
レンとザクスを呼んで先に行ってますねと顧問ズに呼びかけると「「「急ぎましょう」」」とぴったりついて来た。

畑につくと収納から木の枝を取り出す・・・接木用なので背が低い。
いったん仕舞って収納の中にあるものを探していくと、バーベキューコンロを発注した時に端材だった鉄筋棒をみつけたので出してみる。1mの鉄筋棒4本を四隅に置きディーワンをハンマーモードで取り出すとぐらつかない位置まで四隅に撃ち込む。
深く瞑想して集中してから温室と呟くと地面から薄い黄色い膜が4面徐々に競り上がっていく。
「「「「「おおぉぉ」」」」」と歓声があがったが集中を切らす訳にはいかない。
四隅が鉄筋棒の高さを超えて3m位の高さになると上面が素早く黄色い膜で覆われる。
そこから上面の膜が膨らみアーチ状になると畑は簡易ビニールハウスの温室になった。

「これは見事な結界・・・らしきものですが、やはり防御は足りてないですね」と膜を叩くとコンコンという音がした。
「で、これどうやって入るんだ?」とザクスが聞いてくる・・・確かに!これは困ったと考え込むと「魔力を流しながら入りたい場所に触れれば扉になるでしょう」とサリアル教授が補足してくる。指導の通りに温室に手を触れてみると簡易扉が精製された。
ふかふかの畑に入るとほど良い温度が保たれている、ローレル教授が土に手をやると「これは春から初夏の土に似ているな」と考え込んでいた。

「結界としては問題がありますが、これは用途が違うのでしょうからこれで良いと思います」とサリアル教授からお墨付きを貰った。
「ただ、この温室がどのくらいの効果時間があるのかは正直わかりません。実際にこのまま放置して効果時間を計る必要があります」と言い大抵は30分/1時間/3時間/6時間/12時間/24時間など分かりやすい単位になるそうだ。
「魔法は生み出した者なら解除された瞬間にその状態がわかるはずです」と補足をしてくれた。

もし一日から二日保ってそれを維持し続けられるならここに温室を置くことの許可を貰う。
2~3日様子を見てから問題なければ何か植えたいことをローレル教授に話していると門番がこちらに駆けてきた。
「レン様、こちらでしたか。今門前に馬車でサティス家の侍女が来ております。何でも急変したとおっしゃっているのですが・・・」と言うと駆け出すレン。「急ですが今日はこれで失礼します」と顧問ズに一礼しザクスと一緒に走り出した。

三人は馬車に乗せてもらい侍女に詳しい事情を聞く。
姉妹付の侍女ではないがレンが屋敷に行き来していたので一昨日のこともあり縋るしかないと言っていた。
最後に見た朦朧とした状態から高熱が出てしまい看病をしていたところ、今朝急に熱が引いたと思ったら「部屋がくらいわ、明かりをお願い」と侍女にお願いしたという。勿論カーテンは開いていて部屋は普通に暮らせる明るさだった。
教会付で高位の神聖魔法を使える司祭は今日の午前に来る予定だったけど、セレアはお付の侍女にお願いして部屋に閉じこもってしまった。またこの司祭も多忙により本日中に解決できなければ次の患者の為に旅立たなければならないようだ。

司祭は「神聖魔法を受けるには生きる意志が大切になります」と言ったらしい。
「レン様にセレア様を説得していただけると・・・」と父親・ソラでも説得できなかった事を聞く。
何個か説得する手段が必要だと馬車の中で相談する、また侍女に戻ったら大至急確認して欲しい事と当主であるダイアンに許可をとって欲しい事をお願いした。

サティス家に到着すると門番をスルーして庭で待機する自分とザクス。
レンは侍女に連れられてセレアの部屋に行く。
ドンドンドン「セレア私よ、ここをあけてちょうだい」とレンが慌てた声で叫ぶ。
事前に聞いていた意識混濁から失明・・・流行病としてはこの流れはかなり最悪な部類だ。
そして熱が急にさがったのは病気が治った訳ではなく、次に来る心臓への負荷でここまでくると致死率が跳ね上がる。
もう時間との勝負だった。

侍女はダイアンに馬車での要望を告げると最初は「忙しいのでそんなことは後だ」と跳ね除けたが「お嬢様の命がかかっています」と自分とザクスが何か行動したい事があると懇願する。
「了解を取ってきました、後はお願いします」と侍女が言うと作業に入る。
「時間がないので平行して作業するよ、もし間に合ったらレンに届けてくれ」とザクスに頼むと庭の一角を借り魔法を立て続けに唱えた。

「レン、リュージからこれを預かってきた。セレア様に届けてくれ」とザクスが白い布を折ったものを渡す。
ドンドンドン「セレア、私だけでも入れて。他のみんなは絶対入れないから」と言うとカチャリと扉が少しだけ開いて侍女が「旦那様申し訳ございません、レン様だけお入りください」後はレンに託すしかなかった。
「セレア、あなたは今大変な病にかかっているの、その光を失ったのも症状のひとつなのよ。今司祭様が見えていてその症状も希望を失わなければ治ると言っているの」
「レン、私は希望を失ってしまったの。勿論この病は治したいし、生きる希望は持っているつもりだわ。でもね、私が暖かい春みたいな屋敷で何不自由なく暮らしているのに、これから極寒に放り出す私の不甲斐なさが許せないの」と独白する。

外を見ていたザクスがこちらの合図を確認した後レンに分かるようにノックを3回する。
「セレア、この前のお茶会ね新しい仲間が出来たから紹介したかったんだ」
「レン・・・ごめんね。本当はわかってるの、自分独りの弱さを」
「あなたに届くといいな」と言うとちょっと窓を開けていい?とセレアの許可を取る。

「窓のそばに来て」とセレアに告げると侍女の補助のもと窓に近づく。
窓を開けたのを合図にこちらの準備が終わったラベンダーの香りを空に放つ。
「この香りは・・・、今までに経験したことないけどそう初夏の香り」
レンは白い布を広げるとラベンダーの香りが近くからも広がりだす。

「冬の厳しさを乗り越えたならきっと春や夏が来るよ、その時あなたがいないのは寂しいな」
セレアが頷くと侍女は扉を開ける、駆け寄りたいダイアンとソラは自重しゆっくり司祭が歩み寄る。
「レン、手を握って祈っていて」その手の上に司祭が手を乗せ祝福の言葉を唱えている。
侍女に案内されて部屋の中を見るとレンが瞑想している状態で淡い光を纏っていた。

「「リフレッシュ」」何故かハモる祝福の言葉。

「しばらくは暗い所で目を慣らせておいてください」と司祭が言うと「もう大丈夫」とレンが頷く。
少し待たせてもらえるようお願いをすると客間でお茶を戴くことにした。
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