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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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037:教育的指導

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22,000PVを超えました。
大台とても嬉しいです。
 朝錬が終わるといつもの風呂タイムが始まる。
ヴァイスとティーナについていくのは大変だけど、目覚めが良いし朝から頭もよく動いているように感じる。
ザクスとレンは週末の体力作りは参加しないようだった。
「リュージ、今日の予定はどうするんだ?」と頭を洗いながら聞いてくるヴァイス。
「外出するとしたら冒険者ギルドにでも行きたいかな?卒業までに生活基盤は作っておきたいからね」とヴァイスにも今日の予定を聞いてみる。ヴァイスは昨日と一緒で騎士科の卒業生に稽古をつけてもらいにいくらしい。

 朝食の時にみんなの予定を聞いたところ、ザクスとレンは昨日の事が気がかりなので寮で待機。
ティーナは冒険者ギルドに行くらしいので一緒に行こうかと話をしているとお客さんが来たようだった。
「いい所に住んでるな、リュージ元気か?」とやってきたのはマイクロだった。
「実はサリアル教授からあの後かなり叱られてな、様子をみてくるのと謝罪してきなさいと強く言われたんだよ」と言い頭を下げてくる。
どうやらラースでの最後のアレを見てから色々と美化ではないけど『強敵認定』されてしまい火がついたようだった。さすがに初日であれはないと文句を言うとヴァイスとティーナが緊張しているようだった。

 数々の噂と伝説を残しているマイクロ、そのほとんどは個人ではなくパーティーの功績だと言い尾ひれ背びれに胸びれまでついて化粧塩をしたような話だと誤魔化していた。
今後の戦闘指導はサリアル教授が担当して、学園からは「もし良かったら特待生の修行を手伝ってもらえれば」と依頼を受けてきたらしい。「今日からでもいいぞ」というとヴァイスとティーナは「是非」と前のめりになり先輩に事情を話してきますと駆け出していった。

 談話室に移動してクッキーをお茶菓子にもう少し話をした。
ラース村の前代官は自領に強制送還し廃嫡の後軟禁、税吏は文官にしておくと何かと問題があるので罰金を課した上で肉体労働による返済を求めた。
もともと隊員の息抜きを兼ねた休暇だったので、入村時にただの騎士として扱って欲しいと自分の事を知っている人に話していた。ただでさえ噂話で警戒されていたので普通に過ごすにしても気を使っていたそうだ。
「最後は色々相談されて少しだけ動いたら周りが大げさに動いてしまったけどね」とおどけていた。

 ヴァイスが先輩を連れてきたらしく「私も稽古をつけて頂けますか?」とマイクロに聞くと「まとめて面倒見てやるよ」と不敵な笑みを浮かべていた。
そこから寮の庭で半分ガーデンパーティー半分戦闘訓練が始まる。
まずは軽くアップが始まり何故か自分も参加することになった。

「ご指南お願いいたします」というヴァイスの先輩。
マイクロが構えを見ただけで「ほう」と呟く、双方とも木剣に円形の木の盾という一般的な稽古用の装備だった。
ヴァイスが始めというと「今日は説明付きでやるぞ」と思いっきり相手から目を逸らしこちらに声をかけてくる。
勿論その隙を逃さず迷いのないダッシュをする先輩、それに対して「今のが注意を惹きつける行動だな」と大きく盾で強打する構えをするマイクロ。
かろうじて斜めに転がる先輩に「いい判断だ、騎士としての戦い方ではないがな」と構えを戻し微笑むマイクロ。
「私は人々を守る為なら戦い方に拘りません」と膝立ちになりマイクロを見ながらゆっくり構えを戻す。
「いい心掛けだ、みんなもこの姿勢はよく学んで欲しい」と教師らしいことを言う。

 先輩はその後、接近戦での打ち合いに入った。
「接近戦はある意味潜水に似ている我慢比べだな」と言うと剣を振り盾で止める、多分先輩のレベルに合わせて互角になるように戦っている。
「そして膠着するならこちらのもんだ、ただ戦い方には人それぞれ得意レンジがある」と接近戦から超接近戦に移行する。剣を振りかぶる距離がないので柄や握る手での打突も混ぜてくる、騎士科の先輩はこの戦い方には対処しきれないと思うとかろうじて盾と皮鎧を使って最小限のダメージに留めるよう頑張っていた。
「よく耐えているな、見込みがあるのでたまにこの寮に遊びにこいや」とマイクロが言うと一瞬込めた殺気に先輩を大きく飛びのかせる。「じゃあ取って置きをみせるかな」と木剣を集中すると「参りました」と先輩が木剣を落とす。「盾は落とさず武器だけか・・・今度こそ本当の合格点だ」とにっこり笑った。

 それからはヴァイスとティーナとの模擬戦をしていたマイクロ。
対人と対モンスターの違いは既に学んでいるらしい二人に注意の引き方・崩し方・攻撃のバリエーションなど初歩的なものから高度なものまで教えていた。
途中「ここは大事だからリュージも勉強しとけよー」と声がかかり、教育なのか油断なのか注意を引いているのかわからない二人は工夫して対処していた。

 注目すべきはティーナだった、騎士科の生徒は基本的に戦い方が似るのは仕方がない。
守るべき相手戦うべき相手は決まっていて歩兵・槍兵・弓兵の違いはあるが基本的にマイクロと同じような戦闘スタイルになるよう教育される。
ところが冒険者として戦うティーナにはある意味縛りがない。
部屋から木の武器を大量に持ってきて「どれを使ってもいいですか?」と聞いてくる始末。
マイクロは何でもいいよと言うと木剣を右手に木の短剣を左手に持ち足元に木槍と弓を置いた。

「多芸だな、どこからでもいいぞ」と言うマイクロから視線をはずさないティーナ。
動かないと見るとゆっくり剣と短剣を仕舞い、弓を構えるティーナにみんな不思議な顔をしていた。
「あいつ矢を番えていないのに何やってるんだ」とザクスが呟くと放つ動作をするティーナ。
きちんと防御動作を取るマイクロは「正しい手順だ、動かない強敵に向かって馬鹿正直に突っ込むのは騎士だけで十分だ」と説明を始める。
二射目に入るティーナに「だが、その弓じゃ連射できないだろう」と突っ込んでくるマイクロに予想していたティーナは弓を落とし1動作で木剣と木の短剣を抜く。

 突進の勢いを盾に乗せるマイクロを木剣で斜めにいなし、短剣で攻撃をしようとしているティーナの体は泳いでいた。「この辺は筋肉と体幹の課題だな」と短剣は剣の柄で叩き落とす。
お互い少し離れて構えを直す、ティーナはじりじり下がり元の位置に戻ると木剣を腰に佩き木槍を拾って構える。
「冒険者なら諦めないことだ、そして個人ではなくパーティーで戦っていることを想定しろ」と全員に指導が入る。
盾役だけが足止めではないこと、もちろん盾役が敵を倒せないかということもないこと。
木槍をうまく牽制に使い相手の足を止めるような戦い方をすると少し嫌そうな顔をするマイクロ。
これは対人で剣をよく相手にするマイクロが苦手な敵だった。

 3人とも体力の限界まで引き出されて肩で息をしている。
涼しい顔をしているマイクロは訓練の仕方をそれぞれ指導していた。
最後にこちらをみて何か言いたそうにしているマイクロは「リュージから指導して欲しいって言うなら指導できるんだぞ」と言うような雰囲気を出していたが気付かないことにした。
一通りの訓練が終わる少し前に風呂を用意すると3人は男湯に入っていきティーナは忘れないうちにおさらいしとくわと武器を振り出した。

「来週もまたこの時間にくるわ、次回は終わったら飯食いにいくぞ」と一緒に昼食を食べるマイクロ。
午後は穏やかな時間が流れていた、中途半端な時間になってしまったので魔法の特訓に入る。
魔力鉢を取りだして抱えながら瞑想をする、だいぶ慣れてきたように感じる。
その後は鉢を土で埋め今まで覚えた魔法を小さく再現する、トンネルだったりストーンウォールだったり発現させるとふと4面囲えば家っぽくなるんじゃないかなと思った。
1面ずつ出すことは特に問題なく出せたけど・・・何か違う、壁を囲っても植物が育つ要素が阻害されるように思ったので考え方を変えてみた。

 まず昨日トマトを苗の状態に変えたので鉢の中央に支えになる枝を一本刺し苗を成長させトマトを果実にする。
「うん、問題なく細長いトマトだ」確認すると収穫する。
鉢の中で収穫後の茎と葉に強めに緑の魔力を流すと茎が二倍くらい太くなる。

《New:スペル 肥大化を覚えました》

 すると一瞬だけど茎と枝の間に緑の膜が張ったような気がした。
これ魔力の通し具合で物理的じゃない壁も作れるんじゃないかな?と思った。
そうだ・・・と教材を探すと結界の作り方という頁を見つけた。
結界とは呪具を用いた防御魔法で儀式魔法である、四方に触媒となるものを置き呪具を通して魔力を均等に流して防御する結界と為す。媒介する魔力によって様々な特性が生まれると書いてあった。

 魔力鉢に入っている茎を抜き支えになる枝の位置を変更する。
枝を追加で取り出して4本鉢に刺し、瞑想して土の魔力のみを4点の下の方からシャッターを上げるように持ち上げていく。枝が支柱になり真四角な魔力の結界状になって・・・これ雪が降ったりしたら嫌だなと上面を持ち上げるようにアーチ状を想像する。光は遮断してなさそうだし風というか空気も遮断してなさそうだ。
後は四角に囲んだ外側の土に触れて地熱を簡易エンチャントをする。

《New:スペル 温室を覚えました》

 随分時間がかかってしまったようだけど無事に完成できたようだ。
魔力鉢の中ではうまくいったようだけど、後は実際の畑で試してみたいと思う。
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