挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
27/147

027:常春様

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
ブックマークは励みになります。

10,000PVを超えました。
学園物をやる気はサラサラありません。
良いPTに出会えるといいのですが。
 朝早くに門前に到着すると既に料理長と商業ギルドのレイクさんがいた。
挨拶をすると依頼達成の後に声をかけてくれと言っていたことを思い出した。
「今日は前とは違った料理を見せてくれると聞いたんだが俺もいいか?」というレイクさんに「ええ、大丈夫だと思いますよ」と雑談モードに入る。
どうやらレイクさんが商業ギルドに報告した際に既に王国担当者が動いていたようで芋の件は確定するまで動かないように釘をさされたらしい。
門番さんからの連絡待ちだったけど少しするとコロニッドさんが駆けてきた。

 まず食料庫の扉を開けてもらったその場で見て、次に調理場を見せてもらう。
王国料理長に挨拶をすると「キッチンお借りします」と丁寧に挨拶をした。
フライパンを借り必要な材料を出してもらう、牛乳・卵・砂糖・バター・・・お、バターがあるんだ。
そして道具を出してもらう際にこの前話していた泡だて器や麺棒・木ベラ・ボウルを頂いた。
「作るものはこの前と同じものでいいんですよね」と確認するとまずは卵液を作る。
「自分のは適当なので後で漬け込み時間や濃度など工夫してくださいね」と殻を使って卵黄を取り出し砂糖を入れて牛乳で伸ばす。砂糖は粗い作りだったけど問題がないようなのでここにある材料で卵液を完成させる。
堅くて食べるのに大変そうなパンを選び卵液に漬け込む。

 その間にメレンゲ・・・今回はボウルと泡だて器があったのでシャカシャカ手作りで作り始める。
するとその作業はなんだ?と料理長2名とコロニッドさん・レイクさん・・・・他にもいっぱい集まってきた。
興味津々な調理場のスタッフに空気を含ませていることを説明する。
この感じだと試食も増えるかなと思い少し多めにパンをもらい漬け込んでいく。
色んな人が俺にもやらせてとか、こんなんで何が変わるんだとか言っていたけど何番目かの人で急に手ごたえを感じたらしくその辺でとストップをかけるとモッタリしたメレンゲが完成した。
後は収納から一本焼き芋を取り出すと篩と木ベラで裏ごしし、メレンゲと空気の泡を潰さないようにざっくりマーブル状程度に混ぜる。
そこからは何人かに軽く焼き目が付くくらいとお願いし、ほど良く卵液に浸かったパンを焼き上げる。
若干少ないメレンゲをふんわり盛り付けると試食会が始まった。

「おお、これはいいな」と感動するみんなにコロニッドさんが絶賛の言葉で追随する。
自分はここで朝食を取ろうと思っていたので邪魔にならない場所を借り料理長とレイクさんとフレンチトーストを堪能する。
「料理長、長い間コロニッドさんをお借りしてすいません」と言うと「役に立ってるならいいさ」と微笑む、そして「何より静かで仕事がやりやすいわ」と言うとどっと笑いが起きた。
今日もこの後案内してもらえるようだったが一点だけ質問した。
「ふと疑問に思ったのですが乳製品や野菜などは生鮮品なので長持ちしないですよね」と聞くとあっさりするぐらいの返事が返ってくる。
「ああ、それは常春様の恩恵だな」

 ラース村で教わった情報から都会では大きく状況が変わっていたようだった。
この世界では魔法を使える人が少ない、また魔道具を使える人が少ない(魔道具の絶対数も少ない)というのが事前情報だった。
ところがある時、研究に成功した学園の魔法チームがあった。
この研究チームは二つの分野に別れており、一つは魔道具の作成(付与魔術)に宝石を関連付けて効果を上げるもの。もう一つは魔道具の使える人物が使えない人物にどうすれば使えるようになるかの研究だった。
研究チームは5名でほぼ同好会的な位置付けだった、しかしこの宝石の関連付けの理論が完成した時にチームへの盗難騒動・誘拐騒ぎ等の横槍が激しく入るようになった。
生徒が卒業するタイミングで顧問も一緒に卒業し、5名一組への法衣男爵の称号が与えられるようになる。
「簡単に言うと空間の温度を保温する付与魔術だな。そしてとある屋敷を国から与えられ、その屋敷内がいつも春のような快適なところから常春さまと言われている。まあ、誰が魔法使いだかわからないから5人の総称なんだけどな」と料理長が説明してくれた。

 それから商業ギルドの顧問になり食物庫や保冷庫(一部の馬車)などを次々と保存に適した倉庫に変えていく。
商業ギルドも建築関係の大店と提携を組み、ある時は冬の寒い時期に作成した倉庫が冷凍庫になり、それが無理な立地では氷を用いて倉庫に敷き詰めた状態で魔力を発動させたりする所もあった。
これにより一部で心配だった食中毒や食料事情の大幅な改善が進んだ。

 そして昨年事件が起きた。
5人のうち一人の男性が誘拐されたのだった、貴族に対する誘拐という位置付けになり多くの人が動いたにもかかわらず数日後に変わり果てた姿で発見されたのだった。
これにより残された4人は「付与技術の技は失われました」と宣言し、あるものは商業ギルドへあるものは魔術関係の店へと散り散りになった。
教授は屋敷を受け継ぎ、とある貴族の子女と恋に落ち法衣貴族の称号を受け継ぐこととなった。
商業ギルドの相談役を就任し資金管理団体のような仕事も行い、今でも魔道具の使い方の啓蒙や現在付与されている場所へのメンテナンスの仕事も裏でやっているんじゃないかと噂が立っていたが詳細は誰もわからないらしい。

 場所によっては氷室なんかで管理していたり、床下収納での食材管理をしている所もあるので、ある意味付与魔術に限りがある以上全てを網羅できないならどこかで諦めても仕方がない技術だと世間は納得していた。
一部にはアイテムボックス関連の袋やケースなどがダンジョンより出土される為、時間停止がついているものなんかを所有している者には関係が薄い技術でもあった。

 調理場を後にすると乳製品関係の牧場と肉の保管場所を案内された。
どちらも常春様の仕事がしてあったようで、肉の保冷・冷凍と乳製品の保冷は問題がないようだった。
また、時間があったので食材市場・調味料関係も確認する。

 昼食後に料理長とレイクさんと一旦別れて「コロニッドさん、何個か用意して欲しいものがあります」と相談する。
まずは何個かのブロック肉を部位や動物の種類を変えて何種類か、そしてチーズや卵も用意してほしいと告げる。
そして中華なべと言って黒板を収納から取り出し書き始める。
網はこの辺に留まる位置くらいの大きさで、金属製の多い被せられるボウルっぽいものが欲しいと話す。
最後にチップとしてナラやブナのこういうものと又黒板に書き始める。
他にも茶葉やサクラがあれば準備してくださいと言うとサクラ?と頭を傾げた。
あるものだけで十分ですよと話すと早速手配しますとサムズアップしてきた。
二日後の朝には準備できますと言うと今日は解散となった。

 午後にギルドに行くとまずは掲示板を見てみる。
薬草などの採取やゴブリン討伐は常時依頼がでているようだが季節が悪いようだ。
後は護衛依頼なんかもあるけどパーティー限定で戦闘経験は必須。
受付に何かお勧めがありますか?とギルドカードを出してみると少しお待ちくださいと言い2階に行く。
戻ってくると学園の入学手続きと入寮の案内を持ってきた。

 一通り書き終わるとギルマスがやってくる。
「寮は明日から入れるぞ、案内するから明日あけとけや」と言うと明日の午後にギルドに来るようにと指示を受けた。
受付で「明日受けられる講習はありますか?」と聞いた所【戦闘訓練☆:武器適正1】があるようなので受講の申し込みをした。

 翌朝、朝食後に時間に余裕をもって冒険者ギルドに到着した。
今日の訓練は前回と同じ場所でメンバーも同じ村から出てきた二人だった。
「これより【戦闘訓練☆:武器適正1】の講習を始める、まずはそこにある木剣を持って一周走るぞ」と言うと教官が片手剣の柄を持ちついてくるように言ってくる、軽いランニングのペースで走るので余裕だった。
思えば熊退治の行軍くらいしか体動かしてなかったしね。

 軽く500mくらいを走ると素振り10回と言う教官。
「「あの、振り方わからないのですが」」という二人に両手で持って振り上げて振り下ろすだけでいいと言う教官。
授業で剣道を習ったことがある人も多い日本人には問題ない動きだった。
振り終わった後教官の反応を見たら「うむ、今現在光るものはないな、では木槍を持って同じコースを同じペースだ」500mをランニングのペースで走るなんて余裕、・・・そう思っていた時期が私にもありました。
武器の種類の多いこと・・・斧や杖ショートソードやそれより短い短剣、ポールウエポン・バトルフラッグ(この前戦闘に割り込んできた旗)が一番重く可能な限り同じ重さでほぼ木で作っていた。

 戦闘適正とは別に体力や持久力なども見ていたようで、武器の動作を見ての腰のふらつき・修行の仕方・改善点などを個別にチェックしていたようだった。
因みに自分の適性は短剣が一番良くてその他には盾役も出来そうらしい。
後はどれも似たり寄ったりだけど当てるのが難しい斧や槍は論外、剣はみんな修行するので相対的に評価が低くなるようだ。
どうせなら地味に痛いメイス系の片手棍やポールウエポン・バトルフラッグなどを目指すと扱う人が少ない分上手くなる可能性はあるなと言っていた。
「ああ、最後に流すぞ。もう一個武器があるのを忘れていた」と教官が鎌をどこからかもってきた。
「「こんなぶっそうなの嫌ですよ」」と二人が言うと「安心しろこれは一本しかないからな、お前らは一番重いバトルフラッグを持って走るんだ」と言い自動的に自分が鎌を持つようになる。

「では、自由に素振り10回」と言う教官、嫌な予感しかしないが講習なので逆らえない。
ブンと横に薙ぐと嫌なメッセージが頭に浮かぶ。

《New:両手鎌スキルを取得しました》

逆方向にブンと横に薙ぐと嫌なメッセージが頭に浮かぶ。

《New:両手鎌スキルのレベルが上がりました》

「すいません、もう体力の限界のようです」と言うと既にへばっている二人が激しく頷いてきた。
「では、以上で【戦闘訓練☆:武器適正1】を終わる。十分体をほぐしておくように」と言うと鎌をじっと見る教官。もうこれ以上振るのは危険なので両手でそろそろと指定の場所に置いた。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ