028:部屋と杖ローブとお菓子
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何とかしたいお風呂問題。
課題は山積みです。
昼食を終えると冒険者ギルドに戻りギルマスの準備を待った。
掲示板を見て時間を潰していると少しして呼び出しがかかる。
「おう、またせたな。ギルドカードは持ってるよな」の言葉に「はい」と頷くとついてくるように言われる。
まずは一昨日来た学園に到着した。
職員室と校長室に案内され挨拶をした後、庶務の方に手続きをしてもらう。
ギルドカードを提出するとランクの項目に変更があった。
現在Eランクだったのが隣にGと言う文字が追加される。
これは学生のGらしく学割がある店で一部使えるようだ。
主に初級の商品対象だけど、それでも少しでも安くなるのは嬉しいものだ。
因みに差額分は王国による補填が行われているようだった。
またテキストをもらい、普段は私服で問題ないようだったが学校専用の制服とカバン他が必要ならと指定の店を紹介される。主に貴族以外の学生が着るようだったが一切着なくても問題はないらしい。
リュックにテキストを仕舞い、手続きを終えると「先に装備を見ていくか?」と聞いてくるギルマス。
お願いしますと言うと次は装備を選ぶことにした。
「職員から報告を受けているがどんな武器や防具が欲しいんだ?」と聞くギルマス。
お店にはずらっと並んだ武器・武器・武器に目移りする。
店員が出てきてどのような商品をお求めですかと言うのでまずギルドカードを提示した。
「まずは短剣が欲しいです」と言った所であることを思い出した。
「あ、ガンツさんの所で武器買うんだった」と言うと店員が「うちはガンツさんから仕入れていますよ。後でお伝えできますが」と言うのでここで買うことにした。
「まずは解体用のナイフを一本、そして新人が戦闘用に使える短剣を一本、投てき用を何本か欲しいです」と言うとギルマスと店員が相談を始める。
解体用のナイフはそんなに種類がないのですぐに決まり砥石はサービスしてもらった。
投てき用の短剣も一本で相手にとどめを刺すものではないので、5本1セットのものを2セットを購入することにする。
問題は戦闘用だった、ここでギルマスと店員の意見が割れたのだった。
振りの速さと安定性を重視するギルマスに対し、他のいかつい武器に対抗するにはある程度の幅と重さが必要だという店員、正直言うと戦闘スタイルとしてはどっちもありらしい。
とりあえずは一般的なダガーという武器を選んだ。
装備するのに「腰のあたりにダガーを片方の足に投てき用の短剣を数本仕込めるようにしたい」と話すと皮製の補助装備を用意してくれた。後は防具も欲しかったけど「急いで戦闘する用事でもない限りローブくらいで我慢しとけ」というギルマスに濃紺のローブを購入をする。総額銀貨50枚だったけど学割で2割引になった。
ローブ姿を見たギルマスは「そういえば短剣をいっぱい買ってたが、お前魔法使いだろ」と言うので強制的に杖も見に行くことになった。
正直期待していた、某眼鏡をかけた少年が杖を求めにいくシーンは有名だったからね。
魔法道具屋につくと店員にギルドカードを提示する。
「こっちは専門外だ、自分の得意な魔法を言って適当に見繕ってもらえ」というので店員に説明をする。
「お若いのに魔法が使えるとは珍しい」という賛辞から始まり土と水の魔法が少し使える事・杖は今まで使っていなかった事・思いの外体力はあるので重い杖でも大丈夫な事・詠唱や大きな身振りは特にやったことをないと話すととても驚かれた。
こっそりギルマスを呼び出した店員はこそこそと店の影で打ち合わせをしている。
そして奥に店員が行くと5本の片手で持てる杖を持ってきた。
「まず順番に説明しますね、これが一般的な杖です。杖は魔法を使う際必須の補助具となります」とここから長い説明に入った。要約すると以下の通りだった。
【5本の杖の内訳】
①一般的な杖で魔力の集中(練り)と安定力と魔力の消費量軽減の補助を少しだけする
②一般的な杖で魔力の集中(練り)と安定力に長けている
③一般的な杖で魔力の集中(練り)と魔力の消費量軽減に長けている
④宝石を置ける台座がある杖で埋め込む石により魔法との相性が生まれる
※要付与魔術とか元々魔力のある石が必要になるという但し書きがあった
⑤ダンジョン産の杖で魔力の集中(練り)の難易度が上がる代わりに威力があがる
お勧めは①~③の杖で銀貨20枚になる、また④と⑤の杖は銀貨50枚だけど両方とも癖があると説明を受けた。
魔力は人より多いはずだし一般的な杖ならディーワンでも発動したので少しだけ癖のある④ならなんとか制御出来るかなと思いこれを選んだ。
学割で40枚になった銀貨を支払うと杖をもらう。「サービスで腰にさせるようにしましょうか?」と言われたのでさっきの短剣を収納できる皮の装備を見せると「加工をしますので後で取りに来てください」と受取証をもらった。
最後は寮へ案内される、大きな屋敷ってイメージだった。
ギルマスが寮母さんに何点か書類を出すと「これで今日の俺の仕事は終わりだ、後の説明はきちんと聞くように」と言うと帰っていった。
一通り挨拶をすると案内を受ける、部屋の大きさはビジネスホテルの一般的な部屋の二倍くらいの十分な広さの個室で机とベッドがある簡易的なものだった。内鍵がついていて開いている時にシーツ・枕カバーの交換も行い希望するなら洗濯もするとのこと。
小さな金庫があったが基本的に貴重品はあまり持ち込まないようにと言われる。
また、別途寮母さんが貴重品を預かる事も可能らしい。
自室の他は食堂と談話室があり何箇所かに男女別のトイレがあった。
そして何と二箇所風呂場があったが・・・使用禁止と書かれていた。
この屋敷のスタッフとしては寮母に執事見習いが1名・侍女見習いが2名いて他は調理スタッフだった。
この寮を利用しているのは現在4名で男性2名女性2名らしい。まだ帰宅してないようだったので執事と侍女にも丁寧に挨拶をして寮母さんに宿を引き払い明日の夕方からお願いしますと言うと「心より歓迎します」と返事を受けた。
翌朝、商業ギルドで待ち合わせしていたコロニッドさんから商品を見せてもらった。
レイクさんも顔を出してきて「必要だったらうちの調理場使ってもいいぞ」と言うのでありがたくお借りした。
まず何種類かあるチップを確認する、ナラ・ブナ・檜や茶葉なんかも用意してくれたようだった。
まずは中華なべにナラのチップを敷きその上に網を置き、金属製のボウルをかぶせてみると問題なさそうだった。
そして肉を塩で満遍なく振ってから馴染ませて、直接網からの熱が伝わらないように網の上に薄いガーゼ状の布を敷く。本当はクッキングシートみたいなのがあるといいんだけどね。
塩分濃度とかはよく分からないのでとりあえずこれで挑戦してみることにした。
まず中火で中華なべを火にかけると少しずつ煙が出てくる、これを焦がさないように弱火にしてガーゼの上に肉とチーズを少量載せてみる。そして蓋をかぶせて待つこと15分くらい。
《New:グリモア発現:【屋外・自作調理】を覚えました》
何かは覚えるかと思ったけど随分大雑把なタイトルのグリモアを覚えたようだった。
自作の燻製の項目を見ると塩分濃度や燻製の種類・ソミュール液なんかの説明も詳しく載っていた。
とりあえずここに書いてあるのは二回目以降の宿題として出来たであろう時間で耐火手袋をしてボウルの蓋を開けてみる。
まずチーズはいい感じの茶色になっていた。
薫香も悪くなく包丁で切ってみるととろりとした良いおつまみになっていた。
そして小さなブロックの肉の方を見てみる。
こちらも少し茶がかかっていたが火の入り方が甘くイメージは生焼けって感じだった。
塩も効いているか効いていないか微妙なラインだったようで、勘でいきなり作れるほど簡単な加工ではないようだった。
ブロック肉は限りなく小さい塊に切り、チップを変えたり肉を変えたりといくつか試してみた。
既に完成しているチーズやナッツ類(ギルド提供)は問題なく出来るが肉の加減がどうにも難しい。
やっぱりベーコンとかソーセージ類に加工した後、燻製にかけたほうがいいのだろうか。
肉に関しては今後の課題ということでコロニッドさんに相談してみると「初めからうまくいくはずはないさ」と言いこの作業は引き継ぐよと申し出をしてくれた。正直料理とは違う加工工程は素人がやっても失敗の元だと思う。
なので、今回のチーズを一つの完成事例として肉や他の燻製にすると美味しいものは商業ギルドや精肉関係の業者と相談して試行錯誤してもらう事で合意した。
特に完成していない物の利権については求める事もないのでコロニッドさんに一任する。
黒板を取り出しソミュール液の濃度やあると便利な香辛料・漬け込み時間の幅、燻製の種類などを次々と書き出し燻製の原理も書いていく。また、ベーコンやソーセージの項目もあったのでこの頁も書き出し羊皮紙にまとめてもらった。
たまーに覗きに来るレイクさんにもチーズだけは試食してもらった。
コロニッドさんはレイクさんと相談し何点か注文をしているようだった。
また精肉に詳しい者や塩漬け等の保管技術に長けている者との打ち合わせをしたいと手配をとっていた。
少し時間があいてしまったのでレイクさんに引き続き調理場を借りられるか聞いてみるとOKが出たので今度はグリモアでお菓子の頁を開くとクッキーを作り始めるのであった。
所持金:金貨5枚+銀貨179枚(+銀貨50枚)
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残 金:金貨5枚+銀貨99枚(+銀貨50枚)