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020:王都

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5500PVを超えました。

王道の冒険がしたいのに・・・。

20話にもなって冒険に出れていません。

 あれから何日経っただろうか?隣町まで馬に乗せてもらい、そこから馬車で王都を目指す。

御者さんは絶対本職と違うよねって方が操作していた。

マイクロさんから何かを預かった後「強行軍かよ」って感じのペースで進んでいく。

とくに希望する寄り道場所もなく、軽く村や町の様子を説明をしてくれていたようだけど、馬車の揺れに慣れるのに結構な時間がかかり毛布などを駆使したり只管遠くを見て意識を飛ばしていた。

そして気がつくと王都アルファールは目と鼻の先だった。


「もう少しの辛抱ですからね」という御者さんにぐったり頷く。

正規の門で受付をするのかと思いきや、商人と緊急用の人が使える通用門へと向かっているようだった。

二人の衛兵に向かい蝋で封をした何かを渡す御者さん。

「私が案内出来るのはここまでです、後の事は宜しく頼みますね」と衛兵に話し、自分は降りるようにと言われた。

一人の衛兵がついてくるようにと言うと前を歩き出した。


「ようこそ王都アルファールへ。この街は農業王国アルファールを管理する貴族や商人が多くいる街だ。既に知っているとは思うが先の戦が終わってから随分疲弊していたが、ようやく街も明るさを取り戻しつつある」と説明を受ける。

「あの、街に入るにあたっての審査とかお金とかいいんですか?」と聞くと「あぁ、全部マイクロさんの指示に書いてあった通りの順番で動くことになっているよ。ちょっと振り回されるかもしれないけど勘弁な」と言うと冒険者ギルドの前に連れて来られた。


 この世界の冒険者ギルドは建前上独立組織である。

冒険者は基本的に腕力を頼りに行動するものが多く、その報酬によってギルド及びどこかが潤う。

討伐依頼によりどこかの被害が減ると言う事は王国にとっての利益があり王国からは支援がある。

また、ダンジョンから産出された魔法の装備及び道具には1つだけで一財産を築けるようなものまである。

商人ギルドや好事家・貴族なども利益を得るのでこちらも支援を行っているそうだ。

また、手っ取り早く肉や素材を確保したいなら冒険者ギルドがうってつけだ。


 これらの歯車を調整しながら回すのがギルドとしての役目である。

そして冒険者に気持ちよく仕事をしてもらう為いくつかの決め事が定められている。


1.冒険者ギルドは持ち込まれた商品を適正価格で購入する

2.文字の読み書きの出来ないものへの講習会を開催する

3.熟練冒険者による新規冒険者への支援をする

規約:会員同士の訓練以上の戦闘行為を禁止する。

上記の内容に疑義が生じた場合は双方誠意を持って解決に当たる。


 衛兵さんが受付に話に行くと早速冒険者カードを発行して貰った。

このカードは名前・職業・犯罪歴の有無・ランクなどがわかるものだった。

もっと表示項目を増やしたいと願えば何項目かは増えるらしい。

因みにランクはSを最上位としてA~Fまであり勿論自分はFランクからスタートだった。

衛兵さんがカードを確認させてもらってもいいかな?と言うので普通に渡す。

犯罪歴の部分を確認したみたいだったけど問題はなかったようだった。


 受付のお姉さんが「この後説明をしますが聞いていかれますか?」と言ってきたけど衛兵さんが先にこちらの用事を済ませてからにしてくれないかと言うので大人しく指示に従い「また今度きます」と伝えギルドを後にした。

そして何故かいる王城の正面・・・。


「えーっと、帰っていいですか?」と聞くと勿論ダメだったようだ。

衛兵から騎士に羊皮紙が渡り案内が引き継がれる。

念の為冒険者カードを見せてくれないか?君の名前は?と聞かれたので答える。

「案内します、こちらへ」と言われると観念して後をついていった。


 長い長い廊下を歩き一番奥の部屋らしき場所にたどり着く。

ノックをする騎士に「入れ」の声が返ってくる。

ドアを開けると20台中盤の金髪の男性が書類仕事をしていたようだった。

騎士が近づくと羊皮紙を渡す、すると金髪の男性は笑い出した。

席を立った男性は「ようこそアルファールへ。私の名前はローランド、この国の第一王子だ」と自己紹介される。

「今日からですが冒険者のリュージと申します。宜しくお願いします。ところで私は何でこの場所に呼ばれたのでしょうか?」と聞くとまたもや笑われた。

「まずは呼びつけてすまなかった。これは王都直轄領で起きた事件に巻き込まれた君に謝罪したかったからなのだが・・・正直顔が見たかったというのもあるな。マイクロ絶賛の君が今後どのような道を歩むかも興味があったのもあるね」王子は応接の椅子にかけるように言うと羊皮紙を2枚見せてきた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


御者及びこの書類を受け取った者へ


 リュージ君を速やかに王子のもとへ送り届けるように。

もし・・・いやそんなことはないはずだよね。

みんな分かっていると思うけど・・・。


マイクロ


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ローランド様


 ラース村に於いて代官及び部下による不祥事が発覚しました。

具体的な被害はリュージ1人ですが村長・私への脅迫と王族への反意も仄めかしました。

事件の解決にはリュージが大きく貢献し、農業改革も視野に入る新種の野菜もラース村へ提供して頂いています。

是非このものの力になって頂けますでしょうか?


マイクロ


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


このような内容だった。


 王子が「ラザーを呼んできてくれ、後はレイシアも呼ばないと怒るよな」と言うと二人を呼んでくるよう騎士に伝えた。

まず君はこの王都で何をしたい?とか住む場所は決まったのかい?等質問を受けた。

まだ王都に着いたばかりなので冒険者ギルドの話を詳しく聞いてから考えたいと伝える。

またしばらくは王都観光をする為、とりあえず拠点はギルドの近くで泊まれる所を探そうと思いますと話す。


 コンコン、ノックが聞こえる。

ラザーとレイシアが入室し紹介されると挨拶を返した。

ラザーさんは農林水産部門の新種・改良科の責任者で、レイシアさんは第一王女らしい。

4名分のお茶が届けられると「では、新種の野菜を見せてもらえるかな?」と王子が言う。

ウエストポーチからザルに乗ったサツマイモを出すと「ほう、収納持ちか」ラザーが呟く。

そういえば前に呼んだ物語でアイテムボックスとか収納とか言っていたのを思い出した。

「リュージは魔法使いなのかい?」と聞く王子に素直に頷いた。


 ザルを取り出しサツマイモを3本載せる。

「ほう・・・色や形は違うがこれは芋か」というラザー。

「いま流通されている芋は正直味も悪く歯ごたえも悪い。とろみをつける目的で使われるくらいだな」という王子。

実物を見てないけど品種改良されていない芋ならそんな評価もあるかなと思う。

「これはどんな料理になりますの?」と興味津々な王女。


 もう一つザルを出して熱々の焼き芋を3本出してみた。

「これが素材の味を生かした基本の料理ですね」と言ったけどラザーさんと王子が困り顔をしていた。

「ああ、毒見とか食べ方とか問題あるよな」と思っていると、王女がおもむろに一本取り二つに割ってかわいく「はむっ」っと齧った。

「アツ・・・ホッ・・・お、美味しい」お茶をあおる王女。

「お前なぁ・・・」と呆れる王子にラザーさんが二本取り王子にも勧める。

二人の反応も上々だった。


「さて、リュージ。この芋の提供は正直いって嬉しい、だがこの芋をどうしたいと考えている?」という王子。

出立前に芋の苗を渡した事、孤児院の子供達でも植えて成長できた事を話す。

ラース村には大変お世話になったので何かを返したい。あの村は慢性的な塩を含めた物資の不足があり交易の特産があれば自然と流通が増え豊かになるのではないか?と話す。

この芋の可能性は加熱による糖分の活性化・甘いものへの憧れ・調理による甘味・酒への可能性もあると力説する。

「それにあたってこの芋をラース芋と名付けたいのです」と許可を求めた。


 こそこそ話す王子とラザー、「お兄様・・・」と声をかける王女。

「リュージよ、ラースでの活躍大儀であった。お前の気持ちは分かった、ただ仮にも王都直轄領の名前をつけるには実績がいる失敗は出来ぬのだ。今こうしてこの国の代表と話せる者は数少ない、また陳情は毎日山のようにのぼってきている」ここまで一息で話す。

「そこでだ、冒険者リュージへの指名依頼を行う」冒険への道はまだまだ遠そうだった。


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