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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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010:何を植えようか

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
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さて、まずは大台の10話目となります。
次は20話を目指して頑張るよ。
 二人の精霊さまがそれぞれ帰っていったと思ったら背後からサラとルーシーが顔を出してきた。
「「わぁぁ、花壇が出来てるー」」二人は感動しているようだ。
マザーを呼んでくると言って二人は駆けていった。

 花壇には500円玉以下くらいの直径の石が点在していた。
バケツとかあると楽だったなぁと思いつつ拾っては投げ拾っては投げと一箇所に集めていった。
サラとルーシーは「「早く早く」」と急かしながらマザーを連れてきた。

「まぁリュージさん、きれいな花壇が出来ていますね」マザーが少し驚いた表情を浮かべていた。
「もうちょっと手を加えたいですが何かを植えるならもう出来ると思いますよ」
そう言うとサラとルーシーは「何を植える?」と相談し始めた。

 確かこの村は基本的に物々交換で成り立っていたはずだ。
急に花や植物を育てるのは難しいんじゃないかな?と思ったら、マザーが「植えるのはひとまず置いておきましょう」と言い、もしこの花壇を使うなら作ったリュージさんが自由にしていいと言った。
季節は夏の終わりから秋ぐらいになるのかな?朝晩の涼しさというか寒さを考えると秋なのかもしれない。
多分日本で言うところの気候に当てはめるなら東日本の上の方になるんじゃないかな。
サラとルーシーがまだ興奮しているので「みんなで相談して決めようか?」と提案し片付けを始めた。

 植物の種は各種結構な量を持っている。
でも、ここはみんなが楽しめるものを植えたいと思っていた。
マザーはまだ協会の仕事が残っているらしく、終わらせてから孤児院へ戻りますと言い退席した。
サラとルーシーには「石とか片付けてから戻るよ」と告げ、二人を家に入るように促した。

 季節的にはそろそろ収穫期だ。
ビニールハウスでもない限り一年中育つ植物は少なく、年内にはこの村を出なくてはいけない身だ。
出来れば成長した花を見るか植物の収穫が出来るまでは居られればと考えていた。
「あぁ、でも先立つものがないなぁ」
とりあえず出した荷物と今回砕いた石は周りを確認した後ウエストポーチに仕舞った。
全ての作業が終わったらクリエイトウォータで手を洗う。

 よし、まずはお金を稼いで生活の向上を目指そう。
そう考えながら孤児院に入るとサラとルーシーをはじめ年上の子も集まってきた。
「花壇は後で何を植えようか考えようね」とみんなに話しシスターのお手伝いをしようと提案した。

 シスターは調理場でスープを作っていた。
根菜類とキノコの塩味スープにパンが基本メニューのようだ。
パンは明日から仕事で行く宿屋兼食堂に併設されたパン屋で焼かれたものを配給されているらしい。
まだお客様扱いらしく手伝わせてはくれなかった。
食事は薄味だったがキノコからの出汁も加わり和気藹々とした空気もあり美味しく感じた。
「花壇はみんなの意見を聞いた後準備するので決まったら教えてね」と伝えた。

 食事が終わると明日の準備の為という訳で早めに部屋に戻った。
明日の予定かぁ、決まっているのが食堂でのお仕事が大体11時~6時位かな。
午前中に一仕事出来そうだけど勝手にやって目をつけられるのも嫌なのでまずは村の様子を確認したいと思う。
そうだ、そういえばゲイツさんが「私兵が監視しているかもしれないから気をつけろよ」と言ってたな。
ここでは安全みたいだけど明日から気をつけよう。

 明日のシミュレーションが終わり、魔法の復習をしようかなと思う。
魔力鉢を出して魔力を練る、次に小さいサンドボールを作成する。
サンドボールを砕き植木鉢を土で満たした。

 やっぱりただの土から栄養がいい土になっていると思う。
ウエストポーチから一粒トマトの種を出して植えてみた。
魔力鉢を持ちクリエイトウォータで水を薄く浸透させてみる。
魔法は想像力か・・・某有名な映画のように芽がでないかなと種に魔力を注ぎ込む。
種に変化がないので今度は鉢全体に魔力を注いでみる。

「やっぱり無理かぁ」と呟くと「惜しいけどちょっと違うんだよね」と鉢から声がした。
淡い緑の光が鉢から浮かび上がる。
「もー、遅いからこっちから来ちゃったよ。おじいちゃんも物忘れがひどいんだから」
淡い緑の光はポンッと軽い音を立てると、緑の革鎧に緑の帽子姿・大きな弓を斜めに背負った少年が頬を膨らませて拗ねていた。

「リュージと言います、緑の精霊さん宜しくね」そう言うと「こちらこそ宜しく、僕からも魔法のプレゼントがあるんだ。ここまでがちゅーとりあるだっておじいちゃんに聞いたよ」緑の精霊さまは軽くお辞儀した。

 さっきの種への魔力供給というのは基本的にあっているらしい。
「じゃあ、もう一度やってごらん」そういうと植木鉢の上に緑の精霊さまが浮かび上がる。
魔力を種に注ぎ込むとそこに向けて弓をキリキリと引いて狙いをつけていた。
「いっけぇぇぇぇ」そう緑の精霊が叫んで矢を放つと種に当たったらしくそこから芽が出始めた。

《New:植物属性魔法を取得しました》
《New:スペル 発芽を覚えました》
《New:エンチャント:【成長/増殖】を覚えました》

 魔力は繊細に流すのが植物属性魔法の特徴らしい。
一気に大量の魔力を流すと植物が持つ生命力がいきなり枯渇したり肥大化するなど暴走する可能性があるようだ。

「じゃあ、続けてやるよ。どんどん覚えてね」
そう言うと何か種を頂戴と言うので先ほどのトマトの種を1粒渡した。
緑の精霊さまは種を両手で持ちカクテルのシェイカーを振るように動かすと種が1個から数個になった。
「じゃあ、こっちの苗はリュージが頑張って増やしてね」
成長したトマトの苗を土から抜き優しく両手で包んだ。

 さっき緑の精霊さまがやったように魔力の流し方を真似しながら増えろと念じてみる。
「これが出来るのは種苗までかな、無限に増える訳じゃないからね」
やさしく魔力を流して作業を続ける。
10本の苗が出来たので緑の精霊さまに見てもらった。

《New:スペル 種苗増殖を覚えました》

「おじいちゃんが言ってた通りなかなかの才能だね」緑の精霊さまが拍手する。
「精霊さん、この系統の魔法はどんなことが出来るの?」と聞いてみると今やった魔法の他にこんなことが出来るようだ。
成長促進・品種改良・種苗創造などの成長系魔法は植物魔法の基本として、その他にも植物による捕縛バインドから迷宮の森といった上級魔法まであるらしい。

 ひとまず合格点が貰えたようなのでお礼を言う。
「僕とおじいちゃんと水の精霊は仲良しなんだ。他の精霊とは会う機会が少ないから詳しくは知らないけど魔法の素質があるリュージならある程度の属性魔法を覚えられると思うよ。」
そう言うと「じゃあ、また困ったら呼んでねー」と言い手を振りながら植木鉢に入っていった。
いっぱい出来た苗は・・・とりあえず魔力鉢に10本無理やり挿してウエストポーチに仕舞った。

 いつの間にか精霊さまも一緒に仕舞ったんだろうと心配したけど多分大丈夫だろう。
今度その辺のところも聞けたら聞いてみようと思う。
明日はとりあえず食堂での仕事を頑張ろう。



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