挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
9/106

009:開墾

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
ブックマークが励みになります。
1000PV達成!ありがとうございます。
 少しすると地面から淡く黄色い光が浮かび上がってきた。
光が中心に集まりだし一瞬で昨日のおじいちゃんの姿になる。
『呼んだかのぉ?』魔力を受け取ったと思われるおじいちゃんはとても元気だった。

「出来れば色々と他の魔法も教えて欲しくってモグラさんにお願いしたんです」
『ほうほう、どんな魔法を覚えたいのじゃ?』
「今困ってるのは・・・これを見てください」そう言い掘った後と積み重ねられた石を指差した。
『魔法とは想像力なのじゃ、このくらいなら既に対処できるはずじゃよ』
「え?だって砂団子を作る魔法くらいしか使えませんよ」
『まずこの石からいくかのぅ、どうしたいのじゃ?』
「えーっと、まずは石が小さくなれば邪魔ではないかな」
『じゃあ、まずは前回の砂ダンゴを出してみるのじゃ』

 ウェストポーチから砂ダンゴを出した。
『そのサンドボールには既に魔力が練りこまれておる、魔法で作ったので当たり前じゃがの』
「はい」
『まずはサンドボール全体を魔力で包むのじゃ』
「はい」片手で集中しながら魔力で全体を包む。
『そしてお主が習得しておる鑑定魔法で見てみると分かる事があるはずじゃ』
普通の投てき用攻撃魔法かと思っていたサンドボールだったが脆い部分があることに気がついた。

『通常、魔力を練って作った魔法には偏りをわざと作っておる、これが推進力や貫通力・魔法ダメージなどを増加する力となるのじゃ。ということは硬い部分と脆い部分が出てくると言う事じゃ』
なるほど、この脆い部分に力を入れれば崩れるということか。
そう考え魔力を面ではなく点で捉え崩れろと念じてみる、すると一部分に亀裂が生じる。

《New:スペル クラック(亀裂)を覚えました》

『おおぉ、さすが素質があるのぉ、お主ならその先までいけるはずじゃ』
今度は魔力を脆弱な箇所へ放射状に撃ってみる。
片手で持った握り拳大のサンドボールは2~3倍の量の土になり、いきなりの不自然な重さの土を支えきれず花壇にどさどさと落ちた。

《New:スペル ブレイクを覚えました》

『飲み込みが早いのぉ、ではこの先の繊細な操作はお友達に教わるといいじゃろ』そう言うとおじいちゃんは杖を振り上げた。
何が起きるのかと辺りを見回してみる。
少し離れた木陰でサラとルーシーはお昼寝をしていたようだ。

少しすると象さんの鼻型ジョウロの先から水色の淡い光が浮かび上がってきた。

『お友達にも魔力を分けてやるのじゃ』
両手をお椀の形にして魔力を集めると水色の淡い光がゆっくり飛び込んでくる。
光はポンッと軽い音を立て水色の髪・水色のワンピース姿の女の子が出現した。

『よく来たのじゃ、特別出血大サービス期間中の為、魔法を教えてるのじゃがお主にも協力して欲しいのじゃ』
『あらおじいちゃん、真面目なのね。その子が例の子なのね』と声を潜めて話し始めた。
「リュージと申します、宜しくお願いします」
『挨拶がしっかり出来る子は好きよ、じゃあ特別に教えてあげる』今回魔力鉢は使わないらしい。

『魔法は想像力って話をおじいちゃんに聞いた?』
「はい、聞きました」
『じゃあ、困った時の対処法って一瞬で思いつける?』
そう聞かれると確かに困る、実際問題今回対処できなかったので呼んだ訳だしね。
今回覚えた魔法だけでも無理ではないけど、それでもここで頑張って開墾した人達が諦める苦労を自分がしたのではこの花壇でさえ嫌になってしまうだろう。

『じゃあ、想像の手助けになるかもしれない事を話すわね』
通常魔法は発現してから初めて覚えることが出来る。
それなので基本的に魔法を使える人が少ない。
きちんとした師匠・本・努力・素養等が揃って初めて魔法になり想像力が新たな魔法を生む。

 では、どんな魔法が出来るのか。
想像する魔法の中で分かり易いのは攻撃魔法だ。
相手を倒す目的なので武器を想像する人が多い。
○○アロー・ジャベリンなど武器を模写する人や武器に魔力を付与する人が多い。
因みに魔力を安定した形に保とうとすると球状になる為○○ボールという魔法覚える事になる。

 次に自然現象を想像する人も多い。
地震・雷・火事・親父と強いもの怖いものの象徴らしい。
親父魔法なんて聞いた事ないけどな。
後は壁だったりフィールドだったり物や場所を想像する。

 これらを組み合わせたり簡素化したり増やしたりでオリジナリティを作っていく。
『因みにおじいちゃんが得意なのは増殖する魔力かな?砂や泥が堆積して質量が増していくのね』

 では、魔力を練ってみてねと言われ、両手を胸の前に少しスペースを開けエナジーボールと呟く。
すると水の精霊はエナジーボールの上に行き1滴の水を注ぐ。

《New:水属性魔法を取得しました》
《New:スペル クリエイトウォータを覚えました》

 前回は少しずつ堆積していくイメージだったので魔力が安定していた。
エナジーボールから水の魔力が注ぎ込まれた事によってコントロールは一気に難易度が上がる。
『水の精霊が得意とするのは浸透じゃ、すぐに形が変わる液体を制するには入れ物をイメージするか流速を管理するのがコツなんじゃ』とおじいちゃんが言うと『過保護』と水の精霊が呟く。
魔力を一定方向に流し回転を早める。
すると流れ落ちようとして修正修正と使っていた魔力が安定してくる。

《New:スペル ウォータボールを覚えました》
《New:エンチャント:【回転/移動】を覚えました》

『ひとまず合格かな』そう言うと水の精霊は拍手した。
ウォータボールは魔力を開放して花壇に水として撒いた。

『では、本日の最終訓練よ』そう言うとおじいちゃんが花壇の四隅に石を置く。
『焦らんでよいが本日の成果を示すのじゃ』水の精霊に並んで空に浮かぶ。

 大体2m×4mの花壇予定地になる。
『まずは先ほどの感覚で水を操作するように魔力をこの区画に浸透させるのじゃ、石は目印にして置いてある。下は大体1mもあれば良いじゃろう』
『次に先ほどの鑑定からの流れによりその途中にある石を砕くのじゃ』
『最後に魔力をいったん1mの面に沈め篩のように編みこむ、そしてそのまま地表に石を押し上げたら合格よ』

 かなりの操作手順があったが頭の中でシミュレートしてみる。
水の精霊はシャベルのところに行き『ちょっとこれ借りるわね』と言うと『てぃ』と言いディーワンの一部を放り投げた。すると一瞬光の塊になった後すぐに耕運機の先のぐるぐる回る刃の形になり2m×4mのエリアを端からぐるりと巡り始めた。
その動作が終わると片膝をつき右手を地面に触れ最大限に魔力を練り始めた。

 広さを感じるとは範囲指定である。
大きな水槽を想像しそれ以上魔力が漏れないようにしてから魔力を注ぎ込むイメージをする。
じわじわ染みる魔力から感じるのはふかふかの土。
因みにサンドボールの土も一緒に混ざったらしく、作物を育てるのに弱そうな土が黒々とした栄養が溢れている土になっているように感じた。

 少しすると各所の染み込み具合に差がある場所を見つける。
この場所に大小様々な石や岩があると思われる。
脆い部分はすぐにわかるようになったので染み込んでいく魔力の一部を「ブレイク」の呟きで一定以下の大きさに砕いていく。
これが結構な量だったらしく少しふらつく程度に魔力を持っていかれる。
最後に水槽の1mラインに魔力を集め篩の形に・・・あの、これ教わっていません。

『魔力は想像力じゃ』『魔力は想像力よ』二人の言葉に魔力の練り方を考える。
浸透した魔力をいったん端に寄せ対角線に2本魔力を通す。
交差した場所が中心となるので十字に魔力を通す、石が落ちない程度に魔力を一本ずつ必要な狭さになるまで足していく。蜘蛛の巣に近い作りになってしまったけど、さすがに篩状に魔力を細かくいっぱいはまだ操作が難しいのでこの形にしてみた。

 少しずつ蜘蛛の素状の魔力を動かしながら土だけを落とし石を上げていく。
ポコポコと浮かび上がる石に『合格ね』と微笑む水の精霊。
後は修行すればもっと色々出来るようになるわと言いジョウロの所に行く。
これはサービスねと言いジョウロに手を触れて何かを呟いたようだ。

『難しい試験じゃったがよくやったの、最後にこの作業に名前をつけるのじゃ』土の精霊さまが言う。うーん、畑を作るならこの作業って開墾だよね。
「開墾ですね」そう言うと頭に新しいスペルが浮かぶ。

《New:スペル 開墾を覚えました》
分類は【らくのう魔法】だった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ