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第二百八十六話 創造神様からかの国と3人の勇者のことを聞く

創造神様回はもうちょっと続きそうです。

3人の勇者の未来がちょろっと出てきます。

『それで、何をやっておるんじゃ?』

 一番偉い創造神様を前に神様ズが『あの……』とか『えっと……』とか言って話に詰まっている。

『ここはニンリルちゃんが説明しなさいよ。あなたが1番に異世界人クンに会ったんだから』

『そうだ、そうだ』

『……ニンリルが適任』

『最初に見つけたのはお主じゃろう』

『こういうのは1番付き合いが古い奴が適任だわな』

 他の女神様や酒好きコンビがニンリル様に説明を押し付けている。

 ヒデェな、おい。

『な、何で妾がせねばならんのじゃっ。お主たちの中からでもいいではないかっ』

『何言ってんのよ。1番異世界人クンの恩恵に預かったのはニンリルちゃんなんだから、ニンリルちゃんが説明するべきなのっ』

 この押しの一手はキシャール様か。

『おい、話はまとまったのか?』

『お待たせしてすみません。ニンリルちゃんが代表して説明します』

『ぐぬぬぬ、キシャール、それから他の皆も覚えてるのじゃ』

 ニンリル様の恨みがましい声が聞こえた。

『ニンリルが説明するのじゃな。で、どうなんじゃ? 早く説明せい』

 創造神様の説明を促す容赦ない声。

『いや、あの、その………………』

 ニンリル様が渋々ながら、いままでの俺との経緯を話していった。

『それでは何か、ニンリル、お主は勇者召喚の儀で呼び出された異世界人が異世界の食材やらを取り寄せることのできる摩訶不思議な「ねっとすーぱー」なる固有スキルを持っているのを知って、加護を授ける代わりに異世界のものをよこせとそう言ったのじゃな? それを知ってキシャール、アグニ、ルサールカ、ヘファイストス、ヴァハグンは追随したということか?』

 創造神様の言うことは事実なので誰も否定しようがないから無言のままだ。

『馬鹿もーーーーーんッ!!!』

 一瞬ビクッとするほどの怒声。

 神様ズに創造神様の雷が落ちた。

『お主たちは神だというのに、見守るべき地上の民に集るとは何事じゃっ!』

『い、いや、集ってはいないのじゃ、じゃなく、集ってないですじゃ。ちゃんとみんな加護も授けましたし……』

 ニンリル様、テンパって創造神様相手にのじゃとか言っちゃってるよ。

『加護を授けたからといってその対価を要求すること自体がおかしいのじゃっ! お主たち、今までに加護を授けたものに何か要求したのか? ん? どうなんじゃ?』

『うぬぬぬ……』

『そ、それは……』

『えーっと……』

『…………』

『い、いや、あのですな……』

『いや、その……』

 創造神様に詰め寄られるが、神様ズは答えに詰まっていた。

『答えに窮するということは、そんなことはしとらんということじゃ。だいたい加護というものは、自らが見こんだ者に対しこの世界をより良くしてもらうために授けるものじゃ。それはお主たちもよく分かっておろうが』

 創造神様のその言葉に、神様ズも出る言葉もなさそうだ。

 話すばっかりで実際にはどの神様とも会ったこともないし、どんな姿なのかも分からないけれど、一様にショボーンとして項垂れた姿が目に見えるようだ。

『それほどまでに異世界の物はお主たちを虜にしたのか? よし、儂が見てやろう。見せてみい』

 ガサゴソと音がする。

 創造神様に言われて、渋々ながらさっき送った品々を見せているようだ。

『お主ら、こんなにもらっていたのか……。罰としてこれら一切の品は没収じゃな』

『『『『『『そ、そんなぁぁぁっ』』』』』』

 あらら~、全部没収か。

 神様ズ、異世界の物にどっぷりハマってるってのに大丈夫か?

 ニンリル様がケーキなしでいられるとは思わんぞ。

 キシャール様も狙ってた高級ナイトクリームを手に入れたばっかりなのにな。

 アグニ様も毎日ビールで晩酌が定番だって言ってたんだぜ。

 ルカ様もいつもは反応薄いのにハムのギフトセットはかなり興味を示してたのに。

 酒好きコンビに至ってはウイスキーなしで生活できるのかってレベルだ。

 それを考えると全部没収ってのは、なんだかちょっとかわいそうな気がしないでもない。

 確かに週1のお供えは面倒ではあるけど、神様ズからもらった加護は一応役に立ってるしさ。

 特に危険なダンジョンに潜るときなんかにね。

 今までの縁もあるし、少し助け舟を出すとするか。

「あ、あの創造神様、よろしいでしょうか?」

 俺は緊張しながら創造神様に声をかけた。

『おお、(くだん)の異世界人か。儂はこの世界の創造神デミウルゴスという者じゃ。お主にはいろいろと迷惑をかけてすまんのう』

「ムコーダと申します。よろしくお願いいたします。迷惑だなんて、そんな……。この世界に召喚された当初はさすがにどうしようかと思いましたけど、今はいい出会いもあり、何とかこの世界で生活できていますから」

 今はフェルやドラちゃんやスイもいるし、いろんな人と知り合えて、それなりに楽しくやってるからね。

 そもそも一番の原因は勇者召喚なんて儀式をしでかしたレイセヘル王国、突き詰めればそれを命じたであろう胡散臭いあの豚王が1番悪い。

『豚王か……。あの国はほんに碌なことをせんが、今の王になってからさらにひどくなりおった』

 おぅ、神様には俺の思ってることバレバレなんだった。

 口が悪くてすんません。

『私腹を肥やし自らも肥え太った彼奴が豚王というのはあながち間違っとらんじゃろうて。儂ものう、いい加減あの国は何とかせんといかんと思っておったんじゃ。本当なら神が地上のことに手を出すなんてことはやるべきではないんじゃが……。ただなぁ、あの国は禁忌とも言える勇者召喚の儀を一度ならず二度までもしようとしておったからのう』

「え? 二度目って、俺たちが召喚された後にまたやる気だったんですか?」

『それがなぁ…………』

 そうして創造神様から聞かされたのは、あの胡散臭い豚王の率いるレイセヘル王国のことと俺と一緒に日本から召喚された勇者である高校生3人組のことだった。

『お主、レイセヘル王国が戦争しているのは知っているか?』

「はい、確か隣国のマルベール王国と……」

 俺が急いであの国を出ることにしたのも、戦争が始まりそうだって話を聞いたからでもあるからな。

『そうじゃ。そして、その戦争にお主以外の勇者3人をぶつける気でおったようじゃ』

 うわっ……って、あの国ならやるかもしれないな。

 あのステータスだし、ある程度レベルアップしてたら、何だかんだ丸め込んで戦争に行かせるくらいはやりそうだ。

「それで、あの3人はどうなったんですか?」

 あまり俺に対していい態度ではなかったけれど、同じ日本出身だし気になるところではある。

 本当に戦争に駆り出されていたとしたら……。

『それは大丈夫じゃ。彼奴らの汚いやり口に気づいて3人そろって国から逃げよったわい』

 創造神様の話だと、3人には美男美女の指導者をつけて親密になったところで、“隷属の腕輪”という魔道具を贈り物と称し身につけさせて奴隷のように使おうとしたらしい。

 実際3人のうち1人、莉緒っていう女の子(確か背が小さいボブカットのかわいい女の子だったな)は“隷属の腕輪”を嵌められてヤバかったようだ。

 レベルアップのための魔物討伐に赴いた先での戦闘で“隷属の腕輪”を嵌められた左腕を失って……。

 幸か不幸かそれで莉緒って子は正気に戻って、先に気づいていた2人と一緒にレイセヘル王国から逃げ出したという話だった。

「それで、3人は今どこに? それに、莉緒って子は左腕を失ったって……」

 俺も調べて分かったけど、あの国を出たとしても、周りの国がすべていい国ってわけじゃないんだ。

『心配するな。今、あの3人はマルベール王国におるわい。お主と同じく冒険者になって3人でパーティーを組んで活動しておるぞ』

 おお、そうか。

 ちょっとホッとした。

 でも、マルベール王国だよな。

 レイセヘル王国と戦争真っ只中の国じゃないか、“勇者”って肩書もあるし、今度はマルベール王国の王侯貴族からなんかチョッカイかけられたりしてないかな。

『その辺は今のところ大丈夫じゃ。王宮の方でも3人のことは察知しているようだが、これといった接触はしとらん。マルベール王国は強者が多い国じゃからのう。今の“勇者”3人より強い者も数多くそろっているから、特に接触する必要性を感じておらんようじゃな。逆に“勇者”3人を今の戦争に出すことは、レイセヘル王国に難癖を付けられる危険性が高いと感じているようじゃ』

 確かに。

 今までの話を聞いていると、誘拐しただとか魔法やら魔道具で無理矢理にだとか、あの国は平気でイチャモンつけてきそうだな。

 まったくどうしようもないな、あの国も。

『うむ。お主の言う通りじゃ。あの国は自国の実力もわからんで、領土拡大を掲げてあっちもこっちも手を出しているからのう。幾度となく手を出されて、とうとうマルベールの王も怒髪天を衝いたようじゃぞ』

 マルベール王国も相当腹に据えかねていたらしく、今回の戦争ではレイセヘル王国を亡国にするために動いているという。

『今回は、度々手を出されている魔族の国も動いとるわい』

 そういや魔族領と接しているのはマルベール王国とレイセヘル王国だったな。

 何でも、マルベール王国は魔族領には基本アンタッチャブルだそうだけど、まったく交流がないわけではないそうで、今回の戦争でレイセヘル王国を亡国にすることに魔族の国も協力しているそうだ。

 あんな国と国境を接してるだけで面倒この上ないし、そりゃ魔族の国も喜んで協力するわな。

『儂が手を出すまでもなく、レイセヘル王国は近く滅ぶことになるじゃろうて』

 まぁ、あの王じゃあな。

「あ、それで、あの3人は冒険者をしてるってことですけど、左腕を失った女の子も?」

『うむ。あの子は支援魔法特化らしく片腕ながらなかなかに活躍しとるぞ』

 そうか、良かった。

 って良くないか。

 まだ十代の女の子が片腕になっちゃったんだし。

 何とかできればいいんだけど……。

 いや、できるのはできるのか。

 スイ特製エリクサーがあるんだから。

 でも、これをマルベール王国にか……、うーん、どうしよ…………。

『そのことなら儂に考えがあるから心配せんでええ。お主も含めた4人は、無理矢理この世界に連れてこられたも同然じゃからのう。多少の融通はするつもりじゃよ』

 そう言っていただけると心強いね。

「考えがあるって、どうするおつもりなのですか?」

『あの3人はのう、近く結婚するためにマルベールの王都の教会に出向くらしいのじゃがな、そのついでに王都のすぐ近くにあるダンジョンにも潜るらしいんじゃ。そこで運よくエリクサーを見つけてもらう手はずじゃ』

 ………………ん?

「ちょ、ちょちょちょちょっと待ってください。今、結婚って言いました?」

『うむ。言ったぞ。あの3人は近く結婚するぞ』

 ………………ケッコン? 3人で?

『この世界では一夫多妻なんて珍しくもないことじゃぞ』

 ………………イップタサイ。

 あのイケメン高校生に美少女2人…………。

『苦難の道のりは男と女の絆を深め恋を燃え上がらせるのじゃ。うっひょっひょっひょっひょっ』

 ………………なぁんじゃそりゃっ?!

 結婚? ハァ?!

 同情して損したっ、幸せいっぱいじゃねぇかっ。

 クッソー、俺にゃ女っ気全然ないってのにっ!

 ってか、何よりもイケメン爆ぜろ!!!






3人の勇者の詳細はそのうち閑話で書く予定ですので少々お待ちを。


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キシャールの安定した腹黒さw 「女にモテたい」っていうのかと思っていたら「爆ぜろ」ってw
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