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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第二百八十七話 創造神様、そりゃあないよっ

皆さまメリークリスマス!
創造神様回最後です。
ちなみにクリスマス特別SSとかは……ないです(汗)
『……落ち着いたかの?』
「取り乱してすみません」
 だってさ、結婚だなんて……。
 まぁ、確かにいろいろ大変だったみたいだし、その間に絆が深まったってのもわからなくはないけど、あの子たちまだ高校生だぞ。
 十代で結婚は早いだろ。
 ……あ、よく考えたらこの世界ではあの子たちの年代が結婚適齢期だった。
 そう考えるとおかしくはないのか。
 あれ、でもそうなると俺は…………。
 くっ、やめやめ。
 独り身の俺じゃ考えれば考えるだけ空しいわ。
 どうやらあの子たちはあの子たちでよろしくやってるようだし、心配はいらないってことだよな。
 ってことで、この話題はこれで終了。
 今更な感じもするけど、創造神様にはとりあえずダメ元で聞いてみたいことがある。
「創造神様、俺たち元の世界には……」
『無理じゃな』
 はい、即答。
 やっぱりね。
 勇者召喚の儀が禁忌とか言ってたから、その逆も無理だとは予想してたけど。
『うむ。勇者召喚の儀がそもそも次元に穴をあける行為じゃからな。その逆もまた然り。本来、それは危険極まりない行為なのじゃ。今回は次元の穴が小さかったこともあって、自然とふさがったから良かったようなものの、それがふさがらずに広がることになれば、この世界はもちろん繋がった世界も滅ぶこととなる』
 世界の終わりかよ。
 でも、神様なら何とかできるんじゃないの?
『馬鹿を言うでない。神だからと言って何でもできるわけではないんじゃぞ。次元の穴が広がるときには一気に広がる。次元の崩壊じゃ。そうなれば、どんな神だろうが手の施しようがないわい』
 おおぅ、そんな危険なことだったのかよ。
 こっちの世界もあっちの世界も終わりが来なくてよかったぜ。
 そんな危険な勇者召喚の儀を行ったレイセヘル王国が滅ぶと聞いてとりあえずは一安心だ。
 まぁ、あの馬鹿な豚王じゃ遅かれ早かれ滅ぶ運命だったんだろうけど。
 権力を持つものが優秀とは限らないってことだね。
『他に儂に聞きたいことはあるか?』
「いえ、気になっていたことは聞けたので大丈夫です」
『それならここにいる馬鹿者どもをどうするかじゃのう……』
 そういや、神様ズがいたんだったな。
 さっきは話がそれちゃったけど、神様ズは創造神様から怒られて今日のお供え(貢ぎ物)が没収になったから、かなり凹んでそうだし、これで十分な気がしないでもない。
 俺としても加護が付いて、状態異常無効化になったことは助かってるしさ。
 フェルたちは元から強かったけど、加護が付いたことでさらに強くなった感じがするし。
 確かに週1のお供えは面倒ではあるけど、無茶なことさえ言わなければこれくらいなら許容範囲かな。
 そう考えていると、創造神様の『甘い』という声が頭に響く。
『お主、甘いぞ。激甘じゃ。何より一番に儂に報告せんといかんのにそれを怠り、しかもお主に集りよったのじゃからのう。しかるべき罰が必要じゃ』
 うーん、創造神様がそういうなら仕方ないのかな。
『ぐぬぬ、お主ももうちょっとがんばるのじゃ』
 ニンリル様(残念女神)の恨みがましい声に、ほかの神様たちの『そうだ、そうだ』という声が聞こえてきた。
『お主たち、いい加減にせいよ』
 創造神様のその言葉に神様ズの『ぬぅ』とか『ぐっ』とかの唸り声が聞こえた。
『お主たちは1か月間の謹慎じゃ。当然その間はムコーダとの連絡も禁止じゃぞ。家でおとなしく反省するんじゃな』
『そ、そんなぁぁぁっ。ケ、ケーキ……異世界の甘味…………。あれを味わえないなんて妾はどうすればいいのじゃぁぁぁっ』
『そ、そんな……。化粧水、乳液、美容液、クリーム……、1か月……、切れてしまったら……。イヤァァァァァッ!』
『ビールがぁぁぁ! もう残ってないんだぞ! 1か月もビールが飲めないなんて、俺はどうしたらいいんだよ!』
『お菓子とご飯…………、お菓子とご飯…………、お菓子とご飯…………』
『ぬぉぉぉぉぉぉっ、わ、儂のウイスキーーーーッ!!!』
『はぁぁぁっ?! 1か月も酒なしなんて、そりゃあないぜっ!!』
 創造神様のお達しに神様ズの阿鼻叫喚の嵐だ。
『うるさいのう。謹慎を2か月間に引き延ばそうかの? ん?』
 創造神様がそう言うと、神様ズの不満の声がピタッと止まった。
『まったくお主らときたら。はぁ、それぞれ自分の宮に戻って大人しく謹慎せい』
 衣擦れの音とゆっくりとした重い足取りの足音が遠ざかっていった。
『ふぅ、やれやれ。やっと行ったわい』
 まぁ、神様ズよ1か月間がんばれ。
『ところでムコーダよ、ちとお願いがあるんだがのう』
「お願い、ですか? 俺にできることでしたら何なりと」
 相手はこの世界で1番偉い神様なんだから、俺にできることなら何でもするぞ。
『おお、そうかそうか。いや、そう言ってもらえるとありがたいのう。実はな……』
 創造神様の話によると、実は地球の神様とは友人でたまに会ったりもする仲なのだそう。
 この間(神様のこの間がどれくらいなのかは興味があるところだが)も、地球の神様のお招きでご馳走になったのだが……。
『そこで地球の神様がとっておきだと言って出してくれた酒が実に美味くてのう』
 何でもこの創造神様も地球の神様も、大の酒好きで会うと酒を飲み酒の話題で盛り上がるそう。
 とは言っても、地球の方が遥かに文明も進んでいるため、飲む酒も地球産のものが多いとのこと。
『地球の神は最近日本酒にハマっているらしくてのう。出してくれたとっておきも日本酒だったんじゃが、日本はお主の母国じゃろ?』
「ええ。俺は日本人ですから」
『お主なら美味い日本酒を知っているんじゃないかと思ってのう。ねだるわけじゃないんじゃが、できればそれを献上してくれればものすごく嬉しいんじゃがなぁ』
 へいへい、分かってますって。
 何だかんだで何かあったときに1番頼りになりそうなのは創造神様だし、俺にできることはやらしてもらいますよ。
 これも一種の保険のようなものと考えれば安いもんさ。
 ただ、俺も酒は詳しくはないから、リカーショップタナカのランキング頼りになるけどね。
 売上ランキングだし、売れてるもんにそれほど不味いものは入ってないだろから大丈夫だとは思うけど。
 ということで、ネットスーパーのテナント“リカーショップタナカ”をオープン。
 日本酒のメニューを確認してみたけど、早々に断念。
 酒好きコンビがウイスキー好きだから、ほかのメニューを詳しく確認していなかったけど日本酒もかなり細かくカテゴリー分けされていた。
 純米大吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、吟醸酒、純米酒、本醸造酒、普通酒、にごり酒、スパークリング日本酒とかなり細かく分かれている。
 日本酒好きじゃないとわけわからん。
 こりゃさっさとランキングを見た方が早いわ。
 日本酒の月間売上ランキングを見て良さそうなのを3本選んでみた。
 まずは月間ランキングの3位に君臨する純米大吟醸酒だ。
 値段がお高めにもかかわらず、月間売り上げ3位ということは美味いこと間違いなしなのだろうと思って選んでみた。
 新潟県を代表する酒で、創業時の屋号を冠にした人気シリーズの最高峰。
 口当たりが柔らかで、まろやかな調和のとれたうま味のある酒との説明だ。
 冷やしてフルーティーな味わいを楽しむのがおすすめとのこと。
 次は、ランキング堂々第1位だった山口県の酒だ。
 何でも日本の首相がアメリカ大統領に送ったり、アニメ映画にも出てきたりでも有名だとか。
 美味い日本酒ランキングでも度々登場すると書いてあったから美味いこと間違いなしだろう。
 そのシリーズの中でもスタンダードな1本で1番人気の品ということだった。
 口当たりが甘く舌触りは滑らか、甘口の酒に感じるが後味はキレが良く、食前・食中のどちらにも合う一本とのこと。
 最後は、ランキング7位ではあったけど「今、海外で最も注目されている日本酒」とのことで選んでみた。
 何でもパリの有名三ツ星シェフに認められたとのことで人気急上昇中だそう。
 南国のフルーツを思い起こさせる吟醸香で、まろやかな甘さで飲み飽きしない酒との説明だ。
 当然3本とも一升瓶を購入。
 あとはおつまみにプレミアムな缶つまのギフトセットも付けた。
 これちょい高いけど、そのまま食えるし美味いんだよね。
 オイルサーディンにカキ燻製のオイル漬け、黒豚の角煮にコンビーフなど12缶セットだ。
 さてと、これらをダンボール祭壇に置いてと……。
「創造神様、こちらの3本とおつまみをお送りいたしますのでお受け取りください」
『おう、悪いのう』
 いえいえ、これくらいで済むのなら安いもんです。
 何といってもこの世界で1番偉い神様ですからね。
 創造神様にはこれからもよろしくお願いしますという気持ちを込めて、定期的にお供えさせてもらうつもりだ。
 あの神様ズだって1週間ごとだったんだから、創造神様にもそれくらいの間隔でとは思っている。
 神様ズと違ってうるさく言ってこないし、すべてこっち任せににしてくれるのはありがたい。
「創造神様、これからもくれぐれもよろしくお願いいたします」
『うむ、うむ、分かっておるわい。手始めに儂の加護をやるわい。(小)じゃけどな。儂の普通の加護がつくと、人間ではなくなってしまうからのう。ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ』
 おおう、人間じゃなくなるって、半神(デミゴッド)とかになっちゃうとかか?
『それに近いかもしれん。人の身でありながら、不老不死になるからのう』
 ふ、不老不死かよ。
 スゲェな。
『王族など時の権力者はこぞって欲しがる加護なんじゃぞ』
 過去にこの世界を救った英雄に1度だけ授けたことがあるそうで、その時の文献に不老不死のことが書かれているらしい。
 不老不死とは言っても死なないわけではなく、大きなケガを負えば死ぬそうで、その英雄も魔獣との戦いで負ったケガがもとで死んだそうだ。
『確か相手はそこにいるフェンリルの叔父だったかのう』
 何とフェルの親族でした。
 というか、フェルの叔父っていうんだからそのフェンリルもめちゃくちゃ強いんだろう。
 そのフェンリル相手に戦った英雄もパネェな。
『ちなみにじゃが、儂の加護(小)じゃとお主ならハイエルフ並の寿命になるのう』
 え、ハイエルフ並ってハイエルフの寿命がわからないんですけど。
『エルフの寿命が約500年。ハイエルフはその3倍の言われておるから、ざっと1500年というところじゃな』
 せ、1500年……?
 え、俺の寿命1500年になっちゃったの?
 いいのか悪いのかわからんな。
 この世界を存分に楽しめるって点では良かったのか?
 フェルもドラちゃんもスイの寿命も長いみたいだから、お供の心配はないし。
『良いに決まっているじゃろう。それだけ長く生きれば、いくら恋愛運のないお主でも良い相手が見つかるじゃろうて』
 はっ、それは一理ある。
 ………………いや、待てよ。
 それなら寿命を延ばしてもらうより、恋愛運UPしてもらった方が早いんじゃ。
『それじゃつまらんじゃろう』(ボソッ)
 え、創造神様、今、何か言いました?
『それじゃ、そろそろ通信も切るからのう』
「ちょっ、創造神様待って」
『さらばじゃー』
 って、創造神様ぁ!
 寿命じゃなくて、恋愛運UPしてくださいよぉぉぉぉぉ!!!




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