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第2話 後日談

あの一連の件の後。俺は白鳥さんに、銀河は警察に連絡をしてきてもらった。

白鳥さんはグラウンドに来るやいなや、真梨恵の様子を見てほっとした様子で駆け寄り、真梨恵を抱きしめた。

警察は、グラウンドに埋まっていた人骨を見て驚きを隠せない様子だった。

「これ、本当にここに埋められていたのかい?」

「はい。恐らく、昔『人体実験』に使われた子供達の骨だと思います」

「その可能性は大きいだろうね……。鑑識に回して調べてもらうよ。もう遅いから、君達はもう帰りなさい。……あんまり見たくないだろう? 人の骨」

警察からの言葉に、俺は「そうッスね」と返すしかなかった。



家までは、白鳥さんに送ってもらった。その道中、真梨恵は色々と疲れたのか眠っていた。

銀河も相当体力を使ったのだろう。真梨恵と同じく眠っている。

「……『人体実験』の事だけど」

ふと、白鳥さんが話し始めた。

「実は私、『人体実験』が行われていた学校の事、よく知ってるの」

「それは、白鳥さんが『研究員側』だったって事ですか?」

俺がそう聞くと、白鳥さんは「ううん」と首を振った。

「……逆よ」

「逆……?」

「そう。私、あの施設に預けられた『実験体』だったの」

「白鳥さんが!?」

思わず驚いたようにそう言うと、白鳥さんは「後ろの二人が起きちゃうわ」と静止した後、続けた。

「けど9歳の時にね、あの施設が『人体実験』を行うための場所だって知っちゃったの。それで、私何人かを連れて逃げ出す作戦を考えたの。その時、一二三君も誘ったんだけど、一二三君はそれを断った。他の子達を置いていけないからってね。……初恋の相手だったんだけどなあ、一二三君。……結局私は、集まった何人かと一緒に逃亡した。だけど、私以外は皆結局捕まってしまった。……私だけが、生き残ったの」

白鳥さんの話に、俺は黙って聞く事しかできなかった。

すると白鳥さんは続けて言った。

「……ありがとう」

「え? それって、真梨恵の事ですか?」

「それもあるけど。……あの子達を、解放してくれてありがとう」

そう言った白鳥さんの目からは、涙が一粒溢れていた。

「……俺は何もしてませんよ。お礼なら……銀河に言ってください」

「ううん。佐藤君にもお礼を言わなきゃいけないわ。貴方があの世界に行かなければ、あの子達はずっと、報われないままだったんだもの」

白鳥さんのその言葉に、俺は何も返せなくなり、そのまま沈黙だけが残った。


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「ねえ聞いたー!? うちのグラウンドから、人の骨が出てきたんだってー!」

翌日。『はないちもんめ』の噂を持ち込んできたギャルからそんな事を言われた。

俺は「朝っぱらからその話かよ」と返しつつ言った。

「聞いたも何も、発見者だよ。俺と銀河と真梨恵」

「ハア!? 発見者!? あんたとあの真面目君と霊感少女ちゃんが!?」

「……お前さあ、いい加減銀河や真梨恵の事そう呼ぶのやめねえか?」

俺のその言葉も無視して、そいつは根掘り葉掘り俺に聞いてきた。正直答えるのも面倒臭い。


その日は、グラウンドから人骨が出たという話で持切りだった。

グラウンドは暫くの間使用禁止になり、体育の時間は暫く体育館で行われることになった。

もうすぐ文化祭の時期に入るというのに大丈夫なんだろうか。

ふと銀河の方を見る。銀河は何事もなく平然としていた。

支援クラスの神谷先生から聞いた話だと、真梨恵は今日休んでいるらしい。

無理もない。あんな事があった後なのだから。



――ありがとう。



ふと、グラウンドから一二三の声が聞こえてきた気がした。



【第3話へ続く】

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