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丑満時真梨恵の事情 ~御友達~

【作者より】

このお話は『杜坂東の事情』のサイドストーリー、小話的なものです。

読まなくても大体の話は分かりますが、読んでおくと物語がより楽しめる……かもしれません。


尚、今回は終始丑満時真梨恵視点となります


本文は以下から始まります。


-------------------------


「意外な一面もあるもんだな?」

放課後、一連の行動を終え3人が去った後、下校しようと荷物を持って階段を降りると、佐藤君と松伏さんのクラスの副担任である新見尾登弥先生がホールに立っていた。

「……先生、もしかして全部聞いちゃった感じ?」

「全部聞いちゃった感じなんだよねー」

新見先生はそう答えた。

全部聞かれちゃってたんだなー。誰にも見られずにこっそり作戦実行してたつもりだったのになー。

そんな事を考えていると、新見先生はいつもの笑顔で続けた。

「佐藤や松伏……特に松伏だよな。そいつらの為にやったんだろ? 気持ちは分かるけどさー、ちょっとやり過ぎなんじゃ?」

「ううん。やり過ぎじゃないよ。あれくらいしないと、松伏さんまたいじめられちゃう。それだけじゃない。佐藤君や支援クラスの皆だって、何されるか分かんないもん」

「……なあ丑満時。聞いてもいいか?」

新見先生が真剣な顔をしてそう言った。私が「いいよー」って返事をすると、新見先生はこう聞いた。

「あのさ。なんでそんなに佐藤や松伏を守ろうとするんだ? いつまでも一緒にいられるわけじゃないだろう?」

「……そうなんだけどね」

確かに、佐藤君や松伏さんといつまでも一緒にいれる、というわけじゃない。

進む道はバラバラかもしれない。一緒なのは大学までか。高校までか。……それとも中学卒業したらバラバラになってしまうのか。

……あっ、私は通信制高校に行くことが決まってるから、中学卒業したらバラバラじゃん。

……それでも。

「……進路、バラバラになっちゃうけど。それでも、守りたいの。お友達だから。お友達を守るのって当たり前じゃない? だから」

私がそう答えると、新見先生は「そうか」と返した。

「……まあ、あまりやりすぎるなよ? 後々面倒な事になるからな」

「はーい! 気を付けまーす!」

私がそう手をあげながら返すと、新見先生は「それとあまり帰り遅くなるなよー」と言ってその場を去って行った。


新見先生がその場を去った後、私は少し考えてから、口を開いた。

「……ねえ。『坂杜様』もそう思う?」

すると、私の目の前に『坂杜様』が現れ、「なんだ」と返した。

「貴様、私の存在に気づいておったか」

「佐藤君じゃないもん。『坂杜様』の気配、ちゃんと気づいてるんだよー?」

「ハッハッハ。流石霊感少女だなあ?」

『坂杜様』は笑ってそう言った。

「っていうか、ちゃんと私の質問に答えてよー」

「おっと、すまぬ。……ふむ、そうだな」

『坂杜様』は暫く考えると、再び口を開いた。

「……正直、私も新見と同じだ。そもそも、私にはそこまでして友を守ろうとする貴様の気持ちがわからぬ」

「……『坂杜様』なのに?」

「私がここを守っていたのは、それが私の『使命』だからだ。貴様が友を守ろうとする気持ちとは別物だ」

「……ふーん」

私はそう返して、「じゃ、私帰るね」とホールを後にした。


お友達だから、どんなことをしても守るのは当然。

だけど、中にはそう思わない人もいるんだなー。

……『坂杜様』は仕方ないのかもしれないけど。

「……難しいなあー、人間って」

私は下校しながら、そう呟いた。


【丑満時真梨恵の事情 ~御友達~ 完】

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