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杜坂東の事情 作者:おかつ
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第3話 後日談

翌日。
新見先生から聞いた話によると、銀河はあの騒ぎを起こした事が校長に知られ、暫く自宅謹慎を言い渡されたらしい。だが、次期生徒会長である森下みくると支援クラスの瀧太郎、それから新見先生や銀河本人の意思により、文化祭までには再び学校に通えるそうだ。

その日の朝、貼り紙の件に関して星羅と貴峰から事情を聴いた。どうやら彼女達は斉藤昴に頼まれただけらしい。
「ほら! 昴ってさー、この学校のいじめの殆どはあいつが首謀者だって噂あんじゃん? 逆らったらあたしらまでいじめられちゃうって」
「そうそう! ほら、光輝や真梨恵ちゃんだって分かるっしょ? いじめられたくないんだようちらもー」
そう言った後、彼女達は「けどもうしないから!」と二人とも約束してくれた。
あの一連の騒動の後、銀河にもちゃんと謝りに行ったらしく、俺も真梨恵もとりあえず一安心した。
――だが、問題は斉藤昴だ。
2人の言う通り、昴はこの学校でも有名ないじめグループのリーダーという噂がある。グループメンバーは昴を含めて3人程度だが、それでもやっている事は極めて悪質らしい。
その昴が絡んでいるとなると、少々厄介になってしまう。……今度いつ、奴が、否、もしかしたら奴らが、銀河の事を陥れようとするか分からない。
「そのいじめグループって、斉藤君と、2年生の二階堂君と浦西君だよね?」
「おう。俺もその3人で何か企んでるみてえに話し合ってんの見たことあるし」
――斉藤昴、二階堂雅人、浦西極。
果たして、彼等を止めるすべなどあるのだろうか。
教師でさえ止められないと言われている奴らの行動。関われば、俺も真梨恵も標的にされてしまうのではないか。
そんな事を考えていると、真梨恵が俺の肩をポンッと叩いて言った。
「大丈夫だよ。私も松伏さんも佐藤君も、皆あの3人の標的にならないから。もう、二度とね」
真梨恵がそう言いきれる理由がわからなかったが、あまり深くも考えない事にした。

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(丑満時視点)

その日の放課後。私は斉藤君、二階堂君、浦西君の3人を屋上に呼び出した。……屋上と言っても、美術室の横にある小さめのものなんだけど。
「あんた、支援クラスの丑満時でしょ? 俺達呼び出して何の用?」
斉藤君が、一歩前に出てきて言った。呼び出された理由がわかっていないらしい。
だったら教えてあげないとだよね?
「あのね。松伏銀河さんの事なんだけど」
「ハ? あいつがどうかしたの?」
「……あの騒動、起こすように仕向けたのって貴方達でしょ? 宇加治さんも本橋さんもちゃんと全部話してくれたよ」
私がそう言うと、一瞬の沈黙の後、斉藤君が「フンッ」と鼻で笑ってから答えた。
「そうだけど? だから何? あんた松伏銀河の友達かなんか?」
「そうだよ。私は松伏さんのお友達。……だから、貴方達が松伏さんにした事が許せないの」
「ちょっとせんぱーい。俺達直接松伏になんかした訳じゃないじゃないですかー」
浦西君がそう言って私に近づいてきた。
……しらばっくれるつもりだな。
私はそう思い、自分の鞄から何枚かの写真をとりだし、3人に見せた。
「じゃあこれは?」
3人は、写真を見て固まった。やっぱりこれをしたのも3人なんだ。

――写真は、3人が松伏さんの机に何か落書きをしていたり、3人が松伏さんの鞄を隠したりしている、いうなればいじめの証拠写真だった。

「てめっ……寄越せその写真!」
二階堂君が走って私から写真を奪おうとするが、私は一歩下がって二階堂君の動きを腕で静止した。
「ねえねえ。この写真ここからグラウンドにばら撒いていい? ああそれとも、斉藤君が宇加治さんや本橋さんに指示したように、この写真全部をあの学校掲示板に貼っちゃおうかー? そしたら3人も、松伏さんがあんなに怒った意味が分かるだろうし」
3人は、何も答えなかった。それどころか、二階堂君も浦西君も少しずつ後ずさっていた。そんなに怖いのかな? 自分達がやってる事が全部ばらされる事が。……それとも、私が怖い?
私は、念押しするように3人に近づきながら言った。
「分かったら、もう二度と松伏さんの事いじめちゃダメだよ。それから、ついでに佐藤君の事もいじめないで。……私の大事なお友達、傷つけたら、絶対許さないから」

――そう。私は、松伏さんのお友達。佐藤君のお友達。
お友達を守る為だもん。その為なら、自らの手を汚す事も厭わない。

……私、間違ってないよね?

【第4話へ続く】
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