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首吊り小屋は今日も賑やか 作者:Pー龍
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クマ出没中

先の展開が作者にも全く読めないながら、とりあえず漠然としたプロット(今回は入居案内)のみを目標に書いてみました。ちょっとイメージがふくらんできた。
 戸尾三四朗が丸一日かけてようやくたどり着いた人生の最終目的地、首吊り小屋。これまでの半生、家族のため、会社のため、社員のためとまじめに働き通した挙句会社をつぶしてしまい、借金を背負った男は、家族親戚友人そのすべてに突き放されここで首を吊って自らの人生に終止符を打とうとその覚悟を決めていたはずだったが、待ち構えていた神様と名乗る男にこの集落でひっそりと隠れ住むことを提案され、一気に緊張の糸が緩んでしまった。

 自称神様に言われるがままにサインした書類が果たしてどういったものであったのか、戸尾はまるで気に留めはしない。書類へのサインを終えた後、奥の扉へと促されるがままに入って行った。

 扉を開けた先ではバニースーツ姿の中学生くらいの女の子が4人こたつを囲んでゲーム(麻雀)をしているところだった。その4人のうちの1人が戸尾が扉を開けて入ってきたことに反応し、立ち上がるとゲームはこれをきっかけに終了となったようだ。
 バニースーツの少女の脚は網タイツだった。

「ようこそ首吊り小屋へ。ここ三首集落はあなたを歓迎しちゃいま~す。いま静祢(しずね)がおじさんに飲み物入れますね。紅茶と珈琲と梅こぶ茶、どれがいいですか? おじさん、ほらほら、そこに突っ立ってないでこたつに座って。」
「はぁ。すみません、じゃあコーヒーをお願いします。」

 戸尾は誘われるままにこたつへと進んで行く。

「やっほー、どうぞここへ座って~。」
「ねぇ、おじさんは何ができるおっさんなの?」
「いま静祢がお茶を運んでくるわ。あなた疲れているんでしょ、くつろいでちょうだい。」
「みなさん、初めまして。戸尾三四朗と言います。何ができるか…そうですね、建築土木が専門です。特技は腹話術が少し。」
「ナニナニ? おじさんは腹話術できるおっさん? ねぇやってやって。あれできる? 声が遅れて聞こえるってぇの。」
「いやー、あれはムリっす。僕のはおまわりさんがやる小学校での交通安全講習レベルなんで。」
「なんだぁ、つまんな~い。」
「あなた農作業はこれまでにしたことがあるのかしら?」
「婆ちゃんが畑やってたんで、子どもの頃にその手伝いをしたことがある程度で……」
「うちもそうだよ。お婆ちゃんち畑作ってる。本村にある山の上の段々畑。」
「靖子んちのおばちゃんって本村出身だっけ?」
「うん。父ちゃんが三首なんだ。」
「おまた~、コーヒー入ったよ。おじさんゴメン、いま砂糖切らしてるんだよね。ブラックでいいかな? ミルクならあるんだけど。」
「ブラックで結構です。ミルクも要りません。どうもありがとうございます。いただきますね。」

 静祢と名乗った少女が戸尾の前に飲み物を持って来た。
 戸尾は早速それに口をつけてみたのだが、それはコーヒーというには限りなくお茶に近い代物だった。怪訝な顔をする戸尾に気付いた靖子が、口を開いた。

「あぁそれっ、タンポポコーヒーなんだよね。見た目はコーヒー、味は漢方薬って感じかな。タンポポの根を炒って砕いたヤツ。牛乳入れた方が飲みやすいんだ。おじさん牛乳持ってきてあげようか?」
「あっ、大丈夫です。このままで、はい。」

 戸尾はタンポポコーヒーを飲むのは初めてだったが、その存在を聴いたことはあった。こういう味なのかと納得すれば、飲めないモノでもない。意外と好きな味なのかもしれないと感じていた。

「えっとね、改めてはじめまして。静祢がおじさんの担当なんだよ。私たちの役割はこの三首集落での移住者さんたちの生活の……サポートなんだって。だから何かここで困ったことがあったら、おじさんは私を頼ってくれればいいの。あとホウレンソウだっけ、移住者さん達には報告・連絡・相談を徹底させておくようにって神様からは言われてるわ。だからよろしくね~。静祢はおじさんの他にも担当持ってるからおじさんひとりに付きっきりってわけにはいかないけど、人手が足りないときは私たちも一緒に仕事するし、時々見廻りにいったりもするから気軽に声掛けてよね。普段私たちってこの部屋か旧校舎にいるから。何か用がある時は尋ねて来てくれて構わないわ。私がいなくてもそこにいる私たちの誰かに声掛けてくれればいいから。おじさん、ここまでで何か質問ありますか~?」
「報連相……具体的には何を、どういったことを報告すればいいんでしょうか?」
「そうだなぁ、怪しい人影を見たとか、上空に飛行物体が~とか、熊が出たぞ~とか、最近畑に虫が多いな~とか、体調が良くないのよね~とかでも、何でもいいのよ。神様が言うには何事も自分で判断しちゃダメなんだってさ。いつもと違うなって感じたことは全部《作業日報》で報告してくれればいいからね。」
「作業日報ですか?」
「《作業日報》ってのはコレよ。おじさんの名前……戸尾さんだっけ、どんな字?」
「ハチノヘの戸ってわかりますか?」
「バカにしないでよぉっ、それくらい静祢にもわかるよぉ。」
「オッポの尾を書いて、あとは漢数字の三四、良い月と書いて朗です。」
「よし、出来た。これおじさんの作業日報ね。いま渡しておくわ。毎日寝る前にこれを書いたら寮にある提出箱に入れておいてくれればいいから。提出箱は後で教えるわ。」
「これに毎晩その日の作業報告を書くんですね。」
「最初は他の人がコレ書いてるのを見て真似て書けばいいわ。あと教えておかないといけないのは各施設の位置関係よね。そこの壁に掛かってる白黒写真見てくれる? それっていまから30年くらい前のこの集落の空撮写真らしいんだけど、ここが首吊り小屋ね。その真南に旧校舎があるの。これよ、わかる? いまは森に飲み込まれちゃってるからパッと見だとそこに何があるのかさっぱりわからないと思うわ。最初は方角を頼りに見つけて頂戴。」
「真南、旧校舎……そこがこの集落での何らかの施設ということなんですね。」
「旧校舎はまぁこの集落の役場みたいなものかしら。住民票とかは無理なんだけどね。あと病院も兼ねてるわ。私たちの宿舎兼学校にもなってるの。こうやって説明聞くよりも一度行ってみたらどんな所だかわかるわよ。でも日中はこの小屋から真っ直ぐ旧校舎に向かって歩いて行っちゃダメよ。」
「どうしてなんですか?」
「この辺じゃまだ見ないんだけど、ドローンだっけ、日中開けた所にいたら空撮される可能性があるからダメなんだって。神様が言ってたのよ。必ず森の中に隠れて旧校舎へ行かなきゃいけないの。」
「なるほど。」
「他の施設もこの首吊り小屋を除いて全部森の中にあるの。おじさんがこれから暮らすことになる独身寮は北の森の中にある三首塚のすぐ傍よ。三首塚のその周りに独身寮が3つ建ってるの。おじさんが住むことになるのは第3独身寮ね。三本の柿の木が目印よ。」
「三首塚ですか?」
「細長くてわりと大きい石がこう三つ並べて置いてあるのよ。沙耶ねえ、三首塚ってそもそも何だっけ?」
「友嶺村村史記録の三首集落に関する記載によるところでは、三首塚はその昔、落ち延びてきた平家の三人の武将の首を祀ったモノと記されているわね。でも実際はこの集落で起きた一揆で犠牲となった庄屋の一族を祀ったモノだと伝えられているわ。代官による鎮圧の気配を感じた庄屋一家はこの集落を守ろうとして一揆の首謀者をなだめるために酒席を主催したの。首謀者たちはその会合に武器を持ったままやってきたの。まずは一献とお酒を勧める庄屋と奥さん、そしてその娘。首謀者たちはお酒が入った勢いで一家惨殺、みなごろしにしちゃったの。酔いが冷めて代官による鎮圧の動きがあることを知った首謀者たちは一揆の責任の全てを庄屋に被せたうえで先手を取って代官に申し出ました。『御畏れながら御代官様、我々集落の民は御代官様に弓引こう等とは露ほども思ってはおりません。すべてはこの庄屋の企み。一時は騙されて徒党を組まされはしましたがこの通り逆に我々庄屋一族の首を討ち取り御代官様の前に献じる次第でございます。何卒御采配宜しく御願い申し上げ仕り候』そのおかげで首謀者たちは無罪放免。首謀者たちの提出した庄屋一家の三つ並んだ首のおかげで集落は守られました。……めでたしめでたし。」
「何それ、ヒッドーい。」
「私たちはみんなその首謀者たちの血を継いでいるのよ。」
「……」
「……」
「……」
「畑仕事はみなさんどの辺りでやってるんですか?」
「本村との境に集落の協力者さんが持ってる山がいくつかあるんだぁ。その山を借りてるの。段々畑になってるから段毎に別の作物を育ててるの。他にも森の中にキノコ栽培場、タケノコの郷、薬種園、養魚場があるねぇ。あと家畜小屋は寮の脇に建ってるよ。鶏、牛、豚、馬、犬、猫なんかがいるよ。家畜当番の人は農作業はその日お休みになるの。1人で出掛けることはまず無いからそれぞれの場所は寮暮らしをする中で覚えて行けばいいんじゃないかな。おじさん、コミュニケーションって大丈夫?」
「たぶん大丈夫かと。」
「コミュ症だとここでの暮らしは辛いと思うわ。そうじゃないなら大丈夫じゃないかな。」
「そうねぇ、コミュ症だと辛い日々を送ることになるかもしれないわね。同じ寮に住むおっさん同志とはどうか仲良くやってちょうだい。それさえ気に留めておけば後はなんとでもなるわ。」
「わかりました。気をつけます。」
「富美ちゃん、そこの熊取ってよ。」
「ほーい。これ地味に重くね? ねぇ重いんだけど……はい、おっさんこれあげるわ。」

 富美と呼ばれたバニーガール少女が熊の着ぐるみを戸尾に渡してきた。

「これは? 着ぐるみですよね。」
「うん、熊さんだよ。畑に出掛ける移動の時とかも含めてこれからおじさんには建物の外へ出る時はその着ぐるみを着てもらうよ。遠目で見たら熊に見えるからカモフラージュ用だね。狩猟期間中は銃で撃たれるかもしれないから気をつけてねぇ。この辺りは全部私有地なんだけど、彷徨いこんでくる猟師がいないとは限らないからね。いまはまだ禁猟期間だから大丈夫だよ。その服のままでいいからさ、上からこの熊着てみて。」
「はい。」
「サイズはどうかな?」
「少し大きいような気はしますけど大丈夫です。」
「富美ちゃん、その新聞紙取って。」
「ほれ。」
「ありがとう。おじさん、隙間にこの新聞詰めちゃうね。みんなも手伝ってよ。」

 バニー少女たちが丸めた新聞を使ってどんどん隙間を埋めていく。やがて肉付きのいい健康な熊のボディが出来上がった。

「うんうん、これでいい感じだね。」
「毎回こうやって新聞を詰めるんでしょうか?」
「寮に行けば肉襦袢ってのがあるはずだから、先にそれを着てから着ぐるみを身に着けるといいと思うの。」
「あぁ、なるほど。」
「それでは、この静祢、これから戸尾さんが寝起きすることになる第三独身寮へとご案内しちゃいます。私の後にしっかりとついて来てくださいね。」

 静祢と名乗るバニースーツ少女は外へとつながる扉を開け、どうやらこれから戸尾が暮らすこととなる寮へと連れて行ってくれるようだ。
 戸尾は少女を見失うまいと熊の頭部を片手に外へ出た。
 扉を開けた先は木々の影になっていて太陽は既に昇っているというのにうす暗い。

「おじさん、この先ほらわかるかしら、影が切れてる太陽の下を少しだけ渡らないといけないの。気をつけてね。ほらちゃんと頭被っといて。」

 戸尾はいわれるがままに熊の頭を被った。使い古された剣道の面のような匂いが戸尾の鼻を襲う。

「じゃ、こっちね。ついて来て。」

 匂いに気を取られていたのはほんの一瞬、少女の声に意識を戻し前を見たが少女の姿はどこにも見えない。

「あれっ? 静祢さん、どこへ行っちゃったんでしょう。静祢さぁあ~んどこですかぁ~?」
「あっ、おじさんゴメンゴメン。このバニースーツって神様がくれたんだけど、光学迷彩スーツになってるらしいのよ。太陽の下だとこうやって姿が見えなくなっちゃうの忘れてたわ。」

 戸尾の腕(熊)が突如現れた少女の腕に掴まれ引っ張られていく。その本体は見えないまま少女の腕もすぐに見えなくなるが、引っ張られるがままについて行くと、森に入った時、バニー少女の姿が再び見えるようになった。

「戸尾さんは朝ご飯まだですよね。」
「はい。夜通しここを目指して歩いてましたから。」
「寮で朝食が食べれると思うよ。用意しとけって連絡入れてあるから。」
「それはありがたいです。」
「おじさんは建築土木の仕事やってたって聞いたけど、力仕事は大丈夫?」
「忙しいときには現場に出ることもあったからね。若い人には負けちゃうんだろうけど、それなりには鍛えてあるからなんとか大丈夫だと思うよ。」
「ふーん、耕作放棄地ってわかる?」
「長い間耕してない畑のことかな。」
「うん。熊のおじさんには耕作放棄地の開墾をお願いするよ。」
「何すればいいんだろ?」
「雑草掘り起こして、土をほっくり返して肥料入れて畑に戻すんだよ。なら熊のおじさんはビーストチームG班に配属しよう。」
「ビーストチーム?」
「森の妖精チーム、草食動物チーム、ビーストチームの3つがあるよ。さらにA班からY班にそれぞれが分かれてるの。女性陣は基本的に森の妖精チームに配属されることになってて、男性陣は草食動物チームとビーストチームに分かれてるの。森の妖精チームは安全な森の中の作業が中心、草食動物チームは畑の作業と家畜の世話を受け持ってもらってて、ビーストチームは力仕事担当ね。でもビーストチームにも森の中の仕事や畑仕事をしてもらうこともあるわ。その逆に森の妖精チームや草食動物チームが力仕事に応援に来ることもあるの。この辺は作業需要と作業供給のバランス次第って感じかしら。」
「なるほど。ビーストチームのG班ですね。」
「竹山って狼のおっさんがG班の班長だから、寮に付いたら紹介しておくわね。」
「独身寮ってことは既婚者の方もこの近辺に住んでるんですか?」
「既婚者組は別の所に住んでるの。旧校舎の裏に石窟があるんだけどその穴の中に家族ごとに住んでもらっているわ。熊のおじさんも森の妖精チームのメンバーと出来ちゃったらそっちに移り住むことが出来るわよ。」
「そうゆうのってここでは自由なんですか?」
「エッチのこと? 特に制限はないわよ。やりたい者同士がやるのは誰も止めないわ。でも無理矢理に妖精さんの身体を襲っちゃった場合は強制労働の刑が待ってるの。受刑者は神様に何処かへ連れて行かれちゃうみたい。帰って来た人がいないから誰もどこへ連れていかれたかは知らないの。だから熊のおじさんも妖精さんを無理矢理襲っちゃダメなんだからね。やりたいならちゃんと相手に許可を取ってからだよ。婚姻届とか受理できないけど、子どもが出来たらさすがに出生届は本村で受理してもらえるように裏で手をまわしてあるみたいだね。ここでは一夫多妻も一妻多夫もお咎めなし。ただ避妊具が無いから産まれてくる子どもが毎年結構いるのよ。ここで育てるのはかわいそうだからって本村へ里子に出す親が多いわね。
 これがさっき言ってた三首塚ね。まわりに3つ崩れかけたアパートみたいなのがあるでしょ。あれが独身寮なの。三首塚の右にあるのが第一独身寮で女性寮なの。奥にあるのが第二独身寮で性的マイノリティの人が入居してるわ。第三独身寮は男性寮ね。ほら、そこに柿の木が三本見えるでしょ。夜だとわかりにくいからこれを目印にするといいわ。」
「わかりました。」
「こっちよ。」

 バニー少女に腕を掴まれ戸尾は第三独身寮へと入って行った。
 寮のエントランスにブリーフ一枚の姿で椅子に座り『考える人』っぽいポーズをとる男性が1人。横にはパンダの着ぐるみが置かれていた。

「ねぇ、狼のおっさんいる?」
「竹山ならいまトイレにいるんじゃないかな。」
「あっそぅ。新人さん連れて来たんだけど、朝食まだ食べられるかしら?」
「食堂行ってみな。この時間ならまだ大丈夫のはずだけど。」
「こっちよ。狼のおっさんトイレから出てきたら食堂に来るように言っておいて。」
「あぁ、わかった。伝えておくよ。」

 食堂とはアパートの一室、1001号室を指していた。中に入ると2つ同じ構造の部屋があり、6畳ほどの室内には8台の長机がありそれぞれ3人掛け24人座れるようだ。合計48人が一斉に食事が摂れるようになっている。バニー少女は台所から2人分の食事を持って来てそれを戸尾に渡した。

「どこか空いてる席押さえといて。虎のおじさん、ちょっといいかな?」
「ん? 嬢ちゃん、また新入りか。」
「そうなのよ。部屋空いてる?」
「そうだなぁ、まだ3階はどこも空いてるはずだが。」
「もう2階は全滅ってこと?」
「今日だけで男が5人だ。2階はもうさすがに埋まっちまったなぁ。」
「しょうがないわね。3階ですぐに使えそうな部屋は?」
「ベッドやら布団が運び込まれてるのは3001から3005。肉襦袢も入ってるはずだ。」
「しょうがない。熊のおじさん、あなた今日から3001号室の室長ね。ゴメンね、誰か先住者のいる部屋に入れるべきなんだけど、どこも一杯みたいなのよ。悪いんだけど虎ちゃん、この熊の面倒見てやってよ。作業班は狼のおっさんの所よ。」
「あぁいいぜ。おれは山崎ってんだ。よろしく頼むよ。あんた土木の経験あるかい? ほう。ならここは飯場みたいなもんさ。部屋は6畳間に3段ベットが3台のタコ部屋。あんた運が良かったよ。すぐ埋まっちまうだろうけど、今だけの1人部屋を満喫しておきな。」
「戸尾と言います。こちらこそ、どうかよろしくお願いします。」
「なぁ、俺のこと呼んでたって聞いたんだけど。」
「あぁ、来た来た。狼のおっさん、この熊が今度おっさんのG班に入る新人さんだから、よろしくしてあげてよね。」
「おぅ、やっと補充人員が来たか。兄ちゃん期待してるぜ。ビーストチームってのは最近欠員続出でよぉ、困ってたんだよ。まぁよろしく頼まぁ。おまえ朝飯まだなんだろ。食え食え、喰わなきゃ力出ねえぞ。俺たちビーストチームは飯はお代わり自由だからな。腹いっぱい食っとけよ。まだ移動開始まで30分ある。急いで喰っちまえ。」
「そうね、熊さんは急いで朝ご飯食べちゃってよ。」
「わかりました。いただきます。」

 朝食はみそ汁に川魚の塩焼き、豆腐、納豆、木の芽の和え物、麦混じりのご飯といったもの。素朴だがそのすべてが市販のものではなく手間をかけて作られたとわかるものだった。戸尾は食べながら自然と目から涙が溢れていた。

「おぅ、わかるぜっ。オレも最初にここの飯喰った時は込み上げてくるものがあったからなぁ。だろ? 山崎。」
「あぁ、もう慣れちまったけどな。」
「熊さん、食べながら聞いてくれる? 新人には日用品が一式支給されるのね。あとで部屋に入れとくから。仕事から帰ってきたら確認してね。3001の部屋の鍵は管理人室で貰って頂戴。鍵は室長の熊さんが管理してね。仕事は朝8時から夕方5時までなんだけど、移動もあるからその前後30分は移動に掛かると思ってくれればいいわ。作業現場への移動はしばらくの間は狼班長に引率してもらってよ。何人かで固まって移動するのは基本禁止されてるわね。2人ずつでの行動が推奨されているわ。昼食は現場に妖精さんがお弁当届けるからそれを食べてね。夕食は午後6時から8時まで食べられるの。ちなみに朝食は6時から7時半までね。食堂は混雑するから自分の部屋で食べてもいいのよ。部屋のお風呂は使えないから外に露天風呂があるの。天然温泉なのよ。混浴だけど、お湯が汚れるから中でエッチなことをするのは禁止ね。入浴時間の制限はとくに無いわ。ただ露天風呂には照明が何も無いから新月の夜は足下に気をつけて頂戴。寮の中の照明は蝋燭なんだけど、外に灯りがもれるとまずいからかなり暗いの。各部屋の室長に蝋燭は支給されるわ。夜9時には全部照明落とすことになってるから9時までに日報書いてさっきブリーフ男が座っていた所に箱が置かれるからそこに入れてくれればいいわ。熊さんに説明しなきゃいけないのは、まぁざっとこんなところかしらね。トイレの場所とかお風呂の場所はあとで狼のおっさんに聞いといてよ。」
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