梅雨

作成ユーザ: takasaki_makoto1958
雨は、この家の、いちばん長い記憶である。
高知の山あいの谷。白梅の実の熟す頃に降る雨を、人は「梅雨」と呼んだ。この家では、願いは書くけれど、言わない。言った途端、逃げてしまうからだ。
第一部――昭和。東京から谷へ移り住んだ少年は、義理の妹と、帳簿に「借りたもの」を書き続けた。夕立、川、よさこい、一本の白梅。言えなかった想いは、やがて時代の速さに置いていかれる。帳簿に残った者の、五十年分の物語。
第二部――平成。神を待つ少女は、「神」がまだネットにいない時代を歩く。ファミリーレストランの窓、雑誌の片隅、深夜の公衆電話。救いの行方を、母の物語に託して。
第三部――交換日記のような、ふたりだけの帳簿。義理の姉弟は、血のことを知らない。知らないことが、ふたりを守っている。
第四部――令和。年の差の恋、家の中の禁忌、守る者と守られる者のあわい。ひとつの家の百年が、白梅の下で、ようやく、晴れようとしている。
四部は、それぞれ独立した一冊として読める。ただし帳簿は、ひとつだった。

夕立

昭和四十八年、六月。母の再婚を機に、高知の山あいの谷へ移り住んだ十五歳の少年・岡崎潤。雨の多い集落で、彼を待っていたのは、義理の妹になる娘・濱田美雪と、亡き者の手つきの残る名札と、一本の白梅だった。 //
作品情報 N7139MX 連載中 純文学〔文芸〕
掲載日:2026年 10月 23日
最終掲載日:2026年 11月 02日
作品に含まれる要素: AI直接使用
キーワード: シリアス 男主人公 和風 学園 昭和 悲恋 スクールラブ ホームドラマ よさこい 義兄妹 片想い 白梅 帳簿 夕立 物哀れ