童話集「下駄箱」

はるか遠い未来のこと。ルチールという、何事にも優れた家系がありました。そこに、一人の少年が産まれました。彼の名はテルラート。しかし、彼は悲しい人生を送ることになることを、この時はまだ知りませんでした。

※冬の童話祭2016の参加作品です。　あるところに、優しい夫婦がおりました。その夫婦に娘が産まれ、夫婦は娘を「桜花」と名付けました。

たぬきときつねと少女と村人。あなたなら誰に責任を問いますか。

ある日、周りのカラスよりも少し体が小さくていじめられていた一匹のカラスが公園へ逃げてくると、そこで一人の少女と出会いました。元気がないカラスを見た少女は、カラスに自分の宝物を分けてあげ、そして帰ってい//

「ねぇ、ママ。ドーナツの向こうには何があるのかな」突然、そんな疑問が浮かんだ。「でも、ドーナツの穴をのぞけば向こう側が見えるじゃない？　サラが考えてるのはそれじゃないの？」ママの問いに、サラは首を振る//

魔法使いのおばあさんと、モーリィというライオンと、アルベルトという少年が、仲良く暮らしていました。

誰が名前をつけたのかはわかりません。けれど、誰もが「星もりの丘」と呼ぶのです。 ※冬の童話祭2022参加作品です。 ※新しい趣向として、三部構成にしてみました。特に順番は定めておりませんので、お好き//

　まほうのことば、みんなはしってる？

　少年のぬいぐるみは、ヤギのぬいぐるみでした。おじいちゃんから貰ったぬいぐるみでした。ひょろひょろに痩せこけた足が、ぶらぶら揺れます。しなしなの顎で、かくんかくんと頷きます。黒い瞳はもう大分濁りきって//

ここは、ママのゆめのなか。 ほんとはベッドでぐっすり。 でも、ここは、ママのゆめのなか。 おきてるママとあえる、ちょっぴりふしぎなばしょ。 （※冬の童話祭2024参加作品です。）

　とある街に、不思議なお店がありました。それは、あごひげを蓄えた男が一人で営む、魔法のスカーフのお店でした。新しくつくられた黒いスカーフは、一人前のスカーフとして店先に並ぶために、冒険に出ますが……。//