Short Short Circuit

ここの蛙は人を食う。そうここは蛙のもり――

眠れない。眠ろうとすればする程眠れない。明日大事な用事があるのに――

彼はいつも計算通りに一日を過ごす。だから私も彼に近づこうと――

閉じ切った部屋。俺は一歩も外に出れない。将来を見通せば、暗澹たる未来が――

疲れます。疲れるものは、疲れます――

男は隆起を続ける山を登る。その頂へ。その謎を解かんと――

ああ、何故この思いは伝わらないの？　そうか。あの人はシャイなんだ――

ご褒美のあめだま。女は己の人生を狂わせた男に、それでもそれを与える――

あら、あなた。体調がわるいの？　おくすりあるわよ――

人類が壊してしまった母なる星。その代わりを探して、宇宙船は旅をする――

近いようで遠い。この距離感がいいのよね――

毎日君の手料理を食べたい。古くさい台詞だが、それは俺の本心――

現地の言葉なんてできないですよ。語学留学をさせてもらえませんか――

死の商人。それは死を商いとするもの――

営業だろ？　だったら、冷や水を浴びせられてからが勝負だろ――　

男なんて飽きたら交換。取っ替え引っ替えすればいいのよと、友人は宣います――

ねずみ算で増えるあいつら。一斉駆除が必要なのです――

楽ですよね、安楽イス。座ったままで、何もしたくなくなりますよね――

俺は銃を片手に森の奥へと進む。勿論狙うは我が獲物――

早起きは辛い。だから俺は友人に起こしてくれと頼んでみた――

牛と交換で手に入れた豆。そこから芽吹いた豆の木を少年は登った――

大災害をただ一組生き残った男と妻。その選ばれし理由を子供達にも継がせんと――

赤ずきんちゃん気をつけてね。でないと狼さんに食べられちゃうよ――

依存依存依存依存依存依存。ああ、依存依存依存依存依存――

自由落下する途中では、重力など感じない。それは宇宙の法則――

まるで断つことを禁じられた愛。そう、禁断の愛は永遠に――

ピカピカの最新機器。使い方は当然知ってますよね――

未来新聞。それは起こった事実だけでなく未来ことも報道するはず――

環境問題。それは一人一人の問題――

滅多に開催されないレース。そこにエントリーした白い走者は――

さえない毎日を送る私。それはまるで鏡の世界を見るかのよう――

そこにあるから登るのだ。だが私には困難なルートしか残されていなかった――

入院退院。それはできれば避けたいもののはず――

男は長い眠りについた。己の不治の病がいつか治せる時代がくると信じて――

変化は突然やってくる。並走時間が長い程、気がつかないかもしれないけれど――

僕は暗い部屋に閉じ込められた。あの大人の男の人が悪い奴に違いない――

幸運の印がついているタクシー。それを運転するのはついてない男――

お客様は神様です。今日も張り切って儲けましょう――

時間を巻き戻せ。そして全てが上手くいく――

大した仕事じゃないよ。そうだよなぁ？　お隣さん――

嘘つきしか住まない嘘つき村。その村の娘に恋した男は――

私は猫だ。毛だまりすら吐き出せる猫なんだ――

お幸せに。おめでとうございますって、言うつもりだったんですよ――

我が輩は人である。今日も人生の先輩に人間としての威厳を学ぶのだ――

半分に切られた一葉の写真。一葉の君は写真の向こうにいて――

口にした言葉がそのまま独裁法典となる男。この独裁者に俺は――

あ、俺俺！　今から言う口座に、すぐに振込んで欲しいんだけど――

降ります。そんな簡単なことが、私には大変なのです――

どんなことでも絶対幸福に感じる症状。その症例を持った赤子は――

蕩ける。とろける。とろ、ける。湯に浸かった私は蕩けていく――

寝坊の娘と怒りんぼの母親。ふて寝する母を起こしてと――

反応懊悩。反応懊悩。反応懊悩。夢を見る為に僕は考える――

小銭寸借といつもお金を借りる友人。返す気配のないその様子に――

一夜の遊びで捨てた女。その女の白い肌が――

苦い珈琲。喉を潤すそれは、苦い思いを誤魔化す為のもの――

突然のハプニングに襲われた俺。腹立ち紛れに路傍の石を蹴り飛ばすと――

パクリッ！　まさにそう――

これは単にひどい話。そう、単にひどい話――

ぐるぐると。ただひたすらにぐるぐると――

いつもの場所に垂れてくる蜘蛛の糸と子蜘蛛。オヤグモは何処に――

あまたの資格試験を趣味で受ける男。最後に辿り着いた試験は――

とても便利な自動販売機。これからは買い手も自動で済むようで――

限りある資源を大切に。そんな標語は他人事でした――

真実を写す魔法の鏡。依頼と望む結果が同じうちはよかったのですが――

携帯電話がある日携帯武器に見えた俺。空想で鬱憤を晴らしていると――

皮膚の下を這い回る糸ミミズ。男はそれを掻き出さんと――

悪魔の手に乗せられた俺。図らずも不滅の命を手に入れて――

安い買物しかできない父の店。男はそれに反発し、己の商売を始める――

仲のいい三兄弟。我三つ子と悪戯を思いつくが――

ゴミかそうでないかは、ある意味認識の差でしかない。ではあれはゴミかな――

同じ趣味の人が集まるカフェ。女はそこで玉の輿に乗った――

顧客満足にこだわるお店。人が満足するのは、それぞれだった――

愚者には見えないお召し物。もちろん着るのは、裸の王様――

男が望んだ偽装結婚。女はそれを受け入れる――

誰もが望むランプの精。それが俺の前に現れた――

僕は狼だ。村で孤独に生きる少年は、母に言われたその言葉だけを信じ――

時計が好きな娘。時計の針が十二時に揃うのが、特に好きなようです――

誰も役に立たない。俺が腹立ち紛れに乗ったのは、回送列車だった――

一分前に戻れる男。それを悪用していると――

経費削減を求める男。どんなことでも、それだけが男の至上命題だった――

兎と亀との徒競走。そこに人間が一枚噛んできて――

夫はいつも大きなことを言っていた。それは世界貢献――

地の果てまで逃げた男。彼はついに捕まるが、それが理解できない――

祠に祀られているのは神様の石。ただの石ころのそれに、男は納得できない――

蟻と螽斯。その不当性を訴えたセミは――

人生はいくらでもリトライできる。節目節目に戻れればね――

制限速度。それは俺には全くもの足りないものだった――

大きな株。それは引き抜くのに、家族全員の協力がいる話――

銀行に押し入った男。彼は現金強盗を企てていた――

結婚式の二人。新郎はあつあつの祝福を受ける――

風の悪戯心。それが太陽との戦いの勝因でした――

巡回バスを運転する男。男は時計のように正確だった――

対岸秘話。それは知らない方が幸せな話――

砂漠で男は乾いていた。そうカラカラだった――

向かい風が吹く。それでも俺は向かっていく――

娘の門出。そして無愛想な父の餞別――

いつもと同じ朝。そう、いつもと――

一人玉砕に取り残された兵士。彼は最後の弾を――

才能がない。そう思い込んだ男は、我が駄作と決めこんだ文章に――

まさに心血。心と血とを注いで、己の研究に打ち込んだ教授は――

狐と葡萄。見つけて飛び上がってはみたものの――

諦め切れない思いがある。何度でも――

地獄に垂れてきた蜘蛛の糸。それは――

カフェで出会った二人。気が合う登山に出かけると――

居並ぶ面々を前にした怪盗紳士。彼は高らかに長広舌をふるう――

彼のオリは筋交いに仕切られていて――

お片づけのはずが散らかす連れ合い。それを責めていると――

父に束縛される彼女。束の間の自由をもたらす彼についていき――

無駄遣いが直らない連れ合い。それをとがめていると――

衝動買いが過ぎる連れ合い。それをなじっていると――

頑固な店主がいるラーメン店。私語厳禁を貫いていると――

ある朝、目が覚めると、指の爪がちぐはぐにも――