ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

九年間隣にいた妻の名を、夫は離縁状で初めて書いた

あらすじ
離縁状の末尾に、丁寧な字で自分の名前が書いてあった。

九年間、一度も呼ばれなかった名前。 使用人も、夫も、誰一人として口にしなかったたった四文字の名前を、夫は離縁の書面にだけ、一画ずつ慎重に書いていた。

知っていたのだ。知っていて、九年間、呼ばなかった。

伯爵家を出たナディアの手元に残ったのは、山あいの小さな町にある叔母の織物工房と、三ヶ月分の生活費だけだった。 錆びた織機を直し、糸を選び、布を織る。名前のない布を。

この世界では、織り手が布の端に自分の名前を織り込む慣わしがある。名前の入った布は作品になり、名前のない布はただの商品として安く売られる。ナディアは腕がありながら、自分の名前を織り込むことができない。

町で出会った染料商は、ナディアの布に触れてこう言った。 覚えました、と。

色の話を一切しない、不思議な染料商だった。 布の良し悪しをすべて手触りだけで語り、ナディアの名前だけは正確に覚えた。

一方、ナディアが去った伯爵領からは、不穏な噂が届き始める。 帳簿が見つからない。収穫祭が中止になった。領民が怒っている。

ナディアが声を上げなくても、九年間の不在が答えを出していく。

名前を呼ばれなかった女が、自分の名前で生きる場所を見つけるまでの物語。 その名前を最初に声にした人が、何を隠しているのかはまだ分からない。
Nコード
N4240LW
作者名
月雅
キーワード
女主人公 異世界 西洋風 ざまぁ 離縁 成り上がり 恋愛 じれじれ 織物 溺愛
ジャンル
異世界〔恋愛〕
掲載日
2026年 03月05日 13時06分
最終掲載日
2026年 03月05日 13時06分
感想
4件
レビュー
0件
ブックマーク登録
121件
総合評価
1,688pt
評価ポイント
1,446pt
感想受付
受け付ける
※ログイン必須
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
30,086文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N6794LW| 作品情報| 完結済(全10エピソード) | 異世界〔恋愛〕
三千百十二回、治癒を施した。感謝の言葉が返ってきたのは、たった八回。 十年間、王国唯一の治癒の力を持つエルザは求められるままに人を治し続けてきた。代価として自分の身体が壊れていくことを、誰も知らなかった。知ろうともしな//
N5167LW| 作品情報| 完結済(全10エピソード) | 異世界〔恋愛〕
夫の靴についた泥が、毎月同じ方角を向いていることに気づいたのは、結婚二年目の冬だった。 気づかないふりをした。気づいてしまったら、この家にいられなくなるから。 五年目の春、夫が出張と言って家を空けた夜、書斎の日記帳を//
N4240LW| 作品情報| 完結済(全10エピソード) | 異世界〔恋愛〕
離縁状の末尾に、丁寧な字で自分の名前が書いてあった。 九年間、一度も呼ばれなかった名前。 使用人も、夫も、誰一人として口にしなかったたった四文字の名前を、夫は離縁の書面にだけ、一画ずつ慎重に書いていた。 知っていたの//
N2874LW| 作品情報| 完結済(全10エピソード) | 異世界〔恋愛〕
十年間で一度も読まれなかった帳簿がある。 公爵家の全収支、交易先との契約条件、使用人の配置、社交季の根回し。それを記録し、管理し、運用していたのは、夫に「いてもいなくても同じ」と笑われた妻だった。 リーゼロッテは二十二//
N1574LW| 作品情報| 完結済(全10エピソード) | 異世界〔恋愛〕
二年半、毎日同じ工房で隣にいた上司の道具箱を、備品だと思っていた。 精霊の加護が人の価値を決める世界で、加護を持たずに生まれた。 伯爵家の長女。 名前を呼ばれた記憶がほとんどない。 食卓の席はあったが、誰も目を合わせな//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ