- あらすじ
- 変わる世界、忘れてしまった古い思い出、きれいなものたち――
――たぶん、わたしたちは昔ほどきれいじゃない。
子供の頃にあった、純粋さとか、希望とか、単純さ、そんなものはいつのまにかなくしてしまったり、元の形を変えてしまったりしている。それでも、わたしたちは日常を通過させていく必要がある。惰性的に、よんどころなく、いくぶんかは愉快に。だって、それが世界というものだから。
ある日の教室で、わたしはふと彼女に目をとめた。特別な形をした星座を目にするみたいに。彼女は一人でじっと、本を読んでいる。その姿は不器用で、危なっかしくて、頑なで――何より、傷つきやすそうに見えた。
先生から頼まれたこともあって、わたしは彼女と接触する。何しろ、ずっと昔は友達だったのだ。その時のことは、もうほとんど思い出せなくなっていたとはいえ。
でも、彼女との会話はうまくいかない。彼女が何を抱えているのか、わたしにはわからない。その瞳には、とても大切な時間と、大切な場所のことが映っているような気がしたのだけど。
そして、ある雪の日のこと――
わたしは思い出す、彼女の瞳に映っているもののことを。
(17/8/23~17/8/30) - Nコード
- N4186GR
- 作者名
- 安路 海途
- キーワード
- 現代 日常 青春 短編 高校 冬 屋上 青空 秘密の花園 忘れた思い出 きれいなままの世界 生命の自由 雪合戦 とても小さな声 「――うん」
- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2020年 12月24日 00時00分
- 最終掲載日
- 2020年 12月30日 00時00分
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雪が降る頃には、あの子は
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