ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雪が降る頃には、あの子は

あらすじ
 変わる世界、忘れてしまった古い思い出、きれいなものたち――

 ――たぶん、わたしたちは昔ほどきれいじゃない。
 子供の頃にあった、純粋さとか、希望とか、単純さ、そんなものはいつのまにかなくしてしまったり、元の形を変えてしまったりしている。それでも、わたしたちは日常を通過させていく必要がある。惰性的に、よんどころなく、いくぶんかは愉快に。だって、それが世界というものだから。

 ある日の教室で、わたしはふと彼女に目をとめた。特別な形をした星座を目にするみたいに。彼女は一人でじっと、本を読んでいる。その姿は不器用で、危なっかしくて、頑なで――何より、傷つきやすそうに見えた。

 先生から頼まれたこともあって、わたしは彼女と接触する。何しろ、ずっと昔は友達だったのだ。その時のことは、もうほとんど思い出せなくなっていたとはいえ。
 でも、彼女との会話はうまくいかない。彼女が何を抱えているのか、わたしにはわからない。その瞳には、とても大切な時間と、大切な場所のことが映っているような気がしたのだけど。

 そして、ある雪の日のこと――
 わたしは思い出す、彼女の瞳に映っているもののことを。

(17/8/23~17/8/30)
Nコード
N4186GR
作者名
安路 海途
キーワード
現代 日常 青春 短編 高校 冬 屋上 青空 秘密の花園 忘れた思い出 きれいなままの世界 生命の自由 雪合戦 とても小さな声 「――うん」
ジャンル
ヒューマンドラマ〔文芸〕
掲載日
2020年 12月24日 00時00分
最終掲載日
2020年 12月30日 00時00分
感想
0件
レビュー
0件
ブックマーク登録
0件
総合評価
12pt
評価ポイント
12pt
感想受付
受け付ける
レビュー受付
受け付ける
※ログイン必須
誤字報告受付
受け付ける
※ログイン必須
開示設定
開示中
文字数
23,708文字
作品を読む
スマートフォンで読みたい方はQRコードから

同一作者の作品

N8157KU| 作品情報| 完結済(全9エピソード) | ヒューマンドラマ〔文芸〕
 ある日、学校にやって来るようになった猫――  その猫は長い毛並みと三色の色あいから、〝モミジ〟と呼ばれるようになった。   モミジはきれいだけど、怖い猫だった。誰にもなつかず、媚びたりもしない。それでいて相手を自由に、//
N3401JM| 作品情報| 完結済(全10エピソード) | ヒューマンドラマ〔文芸〕
「世界は呪うか、祝福するしかない場所なのよ」  と、その人は言った。  ――古い洋館、たった二人の住人、観葉植物であふれた部屋、外界から遮断されたような生活。  藤谷志仄は、その洋館に住む女主人だった。正体不明の、本物の//
N0687JD| 作品情報| 完結済(全6エピソード) | ホラー〔文芸〕
 ぼくには幽霊が見える。  でも、そういうものは、こちらから手を出さないかぎりは安全だし、怖いことだってない。それはただそこにいるだけで、それ以上じゃない。  ただし、そういうわけにはいかないときもある。  例えばそれは//
N9370IN| 作品情報| 完結済(全9エピソード) | ヒューマンドラマ〔文芸〕
 時々、小さな箱の中に入りたいと思うことがある。  膝を抱えて丸くなると、体がぴったり収まるくらいの箱。光も、音も、何もなくて、そこには自分しかいない――  わたし(吉村希咲)は高校一年の、いたって平凡な人間だ。性格も、//
N1781IE| 作品情報| 完結済(全87エピソード) | 推理〔文芸〕
「――春もたけなわですね」  と、あたしは地面に横たわったまま、かたつむりが這うくらいの、のんびりした気分で言った。  新学期が始まったばかりの、高校の屋上。あたし(千瀬凛)と先輩(志坂律子)は詩を作るため、放課後の屋//
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ