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- あらすじ
- ――エレベーターの階数は自分の地位を示すと誰かが言っていた。しかし、ピエロとの遭遇については何も言わなかった――
ある晴れた月曜日の朝、僕の心臓は激しく波打っていた。高いところから落としたボールが跳ね上がるように。そう、目の前にそびえる、この高層ビルのような……。
「あ、すみません……」
ビルに向かって歩く途中、肩が軽くぶつかり、僕は頭を下げた。相手は振り返ることなくビルの中に吸い込まれていった。どうやら、ぶつかったことに気づきもしなかったらしい。もしかしたら、僕なんか石ころとでも思われたのかもしれない。ああ、確かに場違いだ。手違いだったのかもしれない。このあまりいいニュースを聞かない不景気で、荒んだ世の中で、僕のような普通の大学……底辺大学の学生が、大企業の面接を受けに来るなんて。
けれど、ここまで来て引き返すわけにはいかない。そうだ、発想の転換だ。ここに立っている時点で、僕にはこの会社で働くチャンスがあるのだ。そう自分に言い聞かせて胸に自信を押し込み、僕は自動ドアをくぐった。
- Nコード
- N3268JS
- 作者名
- 雉白書屋
- キーワード
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- ジャンル
- ヒューマンドラマ〔文芸〕
- 掲載日
- 2024年 11月10日 11時00分
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- 文字数
- 2,376文字
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