- あらすじ
- 十年間で一度も読まれなかった帳簿がある。 公爵家の全収支、交易先との契約条件、使用人の配置、社交季の根回し。それを記録し、管理し、運用していたのは、夫に「いてもいなくても同じ」と笑われた妻だった。
リーゼロッテは二十二歳で政略結婚し、三十二歳で離縁届を出した。 理由は明確で、手続きは完璧で、感情は一切込めなかった。 机の上に革装の引き継ぎ資料を置き、慰謝料の額を一銭の誤差もなく算出し、国境を越えた。退職届のように。
夫は振り返らなかった。 けれど数週間後、公爵家のあらゆる歯車が止まり始める。
国境の向こうで待っていたのは、五年前から彼女の仕事ぶりを見ていたという隣国の商会主だった。 差し出されたのは雇用契約書。対等な条件。明文化された権利と義務。 曖昧な善意なのか、それとも計算なのか。彼の本心が読めないまま、リーゼロッテは新しい帳簿を開く。
数字は正直だ。けれど、人の感情には行も列もない。 十年間封じてきたものに名前をつける日は来るのだろうか。 - Nコード
- N2874LW
- 作者名
- 月雅
- キーワード
- 異世界 女主人公 西洋 中世 ざまぁ 成り上がり 恋愛 身分差 内政 じれじれ
- ジャンル
- 異世界〔恋愛〕
- 掲載日
- 2026年 03月04日 12時11分
- 最終掲載日
- 2026年 03月04日 12時12分
- 感想
- 4件
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十年間の「お飾り妻」、本日をもちまして退職いたします。
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