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余命短い彼女

短編
あらすじ
 ある日の病院で二人は出会った。同じ高校の二年生だが、クラスが一緒になったことはなく、話したこともない。共通の友人もいない。
 もしかしたら、一度くらい学校の廊下ですれ違ったことはあるかもしれない。どちらかが相手を意識して、「ちょっといいな」と思ったことがあるかもしれない。その程度の繋がりで、二人の人生が交わることはない。そう思っていた。あの時までは……。

「まさか、あなたと付き合うことになるなんて思わなかったな」

 学校を抜け出し、公園に来た彼女が笑いながら言った。

「ま、成り行きだけどね」

「でも、あの日、病院であなたが声をかけてなかったら、こうはなっていなかったんだろうなあ。不思議だね、人生って」

「ババくさいな」

「おいっ」

「いてっ、ははは、でもさ、声をかけてきたのは君だろ?」

「え、そうだっけ?」

「そうだよ。君のせいで僕は不良になってしまったよ。優等生だったのに、学校を抜け出して公園でダラダラしてるなんてさ。人けがないからいいけど、補導されたら嫌だよ」

「よかったじゃない。私に染まってきたってことだね」

「まだまだだよ。君みたいな不良には追いつけないよ」

「ふふふっ、ちなみに私のほうが成績いいって知ってた?」

「嘘だろ」

「テストの順位、私のほうが圧倒的に上だからね」

「へー、気にしたことなかった。もしかして、前から僕のことが気になってたの?」

「そういう自惚れは女の子を引かせちゃうよ。今後のために気をつけたほうがいいよ」

「今後って何さ。ないよ、そんなの」

「わっ、今のはいいね。加点します」

「え?」
Nコード
N0592JS
作者名
雉白書屋
キーワード
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ジャンル
コメディー〔文芸〕
掲載日
2024年 11月07日 11時00分
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