第87話 迷宮の猛撃
十数分後、俺達は血みどろのヘリポートにいた。
摩耗した骨の剣を捨てた俺は、大きく息を吐いて周囲を見渡す。
多種多様なモンスターの残骸がミックスされて散乱している。
生きている個体は残っていなかった。
「これで終わりか?」
「その、ようだな……」
ミアナが荒い呼吸で答える。
顔色が明らかに悪くなっていた。
魔力の消耗が著しいのだろう。
「大丈夫かい? 随分と息が上がっているが」
「問題ない。少し休めば、すぐに回復する」
「そいつは良かった」
頬の返り血を拭いつつ、俺はイーサンの乗るヘリに目を向ける。
あちこちが破損した上に、魔物の残骸がへばり付いていた。
機体はプロペラを高速回転させて、発進できる態勢を保っている。
俺達が戦う間、必死に操縦の仕方を模索していたのだろう。
途中で銃声がしていたから、俺とミアナから逃れて迫るモンスターも迎撃していたに違いない。
そうやっていつでも飛び立てるようにしていたのだ。
やはりイーサンは大した男だろう。
俺とミアナはさっそく機体に乗り込む。
そのまま飛び立とうとした時、各フロアから新たなモンスターが落下してきた。
先ほどと同じように溢れて接近してくる。
「ここで追加オーダーなんて、最高の持てなしだな。嬉しすぎて涙が出そうだ」
「どうする!? また全滅させてから……」
「いや、このまま脱出だ。連中のラブコールに付き合っているときりがない」
イーサンに指示を送りつつ、俺はパイロット席の横に置かれたライフルを手に取った。
弾が装填されているのを確認して、近付くモンスターを撃ち殺し始める。
その間にヘリは浮かんで空へと躍り出た。
独特の浮遊感を覚える中、機械的に引き金を動かす。
やがてすぐに弾切れが訪れた。
アースタワーから離れる機体に対し、モンスター共は跳躍して襲いかかってくる。
届かずに死ぬ個体がいようとお構いなしだ。
次々と機体に捕まって落とそうとする。
そいつらを蹴落としながら、俺はイーサンに尋ねた。
「予備の弾は?」
「もう無い! さっきの戦いで全部使ってしまった!」
「了解。そいつは仕方ないな」
まだ拳銃はあるものの、モンスター共を止めるには不十分だろう。
ライフルをそばに置いた俺は、腕の鱗と甲殻をまとめて剥がすと、握り潰して粗めに砕いた。
それを飛行するモンスター共に投げ付ける。
原始的な即席散弾は、モンスターを引き裂いて墜落へと導いた。




