第74話 覚醒した傭兵
その後は素晴らしいほどに絶好調だった。
新たな四肢のスペックを確かめるため、俺は遭遇するモンスターとは積極的に戦った。
結果は上々であった。
違法改造された戦闘用義体が霞むような性能で、異様な怪力に加えて再生能力まで備えているのだ。
使えば使うほどに成長し、機械部分は鱗や甲殻に覆われてしまった。
これによって明確な弱点がほとんど無くなった。
イーサンは俺がモンスターになるのではないかと危惧しているが、今のところはそういった感覚もない。
ただ四肢だけが勝手にグレードアップしている。
何らかの悪化現象が起きるのなら、その際は潔く切除するつもりだった。
イーサンの医療技術があれば可能だろう。
現状は心強い力なので、存分に頼っていこうと思う。
(着れる服が限られるのが難点かね)
階段での小休憩中、俺は片腕を撫でる。
鱗と甲殻が引っかかるのが唯一の欠点だろうか。
おかげで常に袖をめくらなければならない。
アースタワーを脱出したら、専用のシャツが欲しい。
果たしてオーダーメイドの注文ができる状態なのか不明だが、今後の楽しみにしておこうと思う。
それから俺達は引き続きフロアを下る。
途中で植物騎士の亜種のようなモンスターと遭遇するも、以前とは違ってスムーズに撃破できた。
腹いせとばかりにショットガンをぶち込んで抹殺して、最後は焚火にしてやった。
ほぼノンストップの進行が連続し、その日の夕暮れ時には屋外プールのあるフロア――すなわちヘリポートまで到着することができた。
室内のモンスターを一掃した俺は、ショットガンの排莢を済ませながら息を吐く。
「オーケー、片付いたな。ここがゴールで合っているかい?」
「そうだ。間違いない」
ミアナは攻撃魔術を解除しながら頷く。
俺が前線で戦っていたので、彼女の消耗は最低限で済んでいた。
結果として、最大火力を維持できている。
一方、イーサンは室内に転がる惨殺死体を観察していた。
真剣な顔で状態をチェックする。
「死後半日は経過している。こっちはもっと前だ」
「どいつもヘリに頼っていたんだろうさ。地上を目指すより現実的だからな」
俺は答えながら室内を見渡す。
割れた窓ガラスの向こうには、屋外プールのスペースが広がっていた。
遠目にも赤黒い色が目立つ。
スプラッターな光景が待っているのは間違いなさそうだ。
(あとはヘリが取られていないかが問題か)
こればかりは運次第だ。
無事な機体が残っていれば、速やかに脱出ができる。
そうなることを祈るしかないだろう。




