第52話 脱出計画
端末の液晶画面には、縦割りのフロアマップが記載されていた。
アースタワーのカジノエリア付近の図だ。
男はマップの一箇所を指差す。
そこのフロアだけが出っ張っていた。
「端的に述べると、ヘリコプターによる脱出だ。我々の数で地上を目指すのは現実的ではない」
カジノエントランスはざっと数えただけでも三十人はいた。
しかもあれが全員ではない。
総勢五十人ほどではないだろうか。
かなりの大所帯で、当然ながらこの人数で地上へ進むのは厳しい。
モンスターと遭遇した時点でパニックに陥るだろう。
途中ではぐれて各個撃破されるのが容易に想像できる。
「ここのフロアには屋外プールに隣接してヘリポートがある。我々はそこにあるヘリコプターを使いたい。放置された機体があるのは確認済みだ」
「それは名案だが、機体数が足りないぜ」
「ヘリポートの安全さえ確保できれば、軍に救援要請が出せる。生存者の中には、独自ルートでヘリを呼べる者もいるようだ。彼らの手を借りるのもいいだろう」
男は熱を込めて語る。
独自ルートは、犯罪組織やその他エージェントの伝手に違いない。
彼らの呼ぶ仲間が信頼に値するか不明だが、この状況では縋るしかなかった。
「犠牲を抑えてヘリポートに到達する。それが我々の目的だ。現在は物資を集めている最中で、準備が整ったら出発しようと思う」
「危険は満載だが悪くないな」
俺は煙草を吹かしながら述べる。
アースタワーの内部は狂っているが、屋外も同様に危ない。
モンスターが飛び交っているので、空路も油断ならないだろう。
報道ヘリが撃墜されるシーンを見ている。
故にヘリによる脱出プランはリスキーだが、それは正攻法で地上を目指す場合も同じである。
上手くやれば一気に脱出できるし、グループ全体の生還を望むならそれしかない。
俺達にとっても無視できないアイデアだった。
「あんたは良いリーダーだ。協力させてもらうよ」
「ありがとう。助かる」
男は安堵した様子で笑った。




