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迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


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第45話 別の生存者

 思考を止めた俺は、ミアナとイーサンのもとへと赴く。

 二人は真剣な面持ちで俺を見てきた。

 魔術の練習も中断している。


「聞こえたかい?」


「銃声だな。生存者が魔物と戦っているようだ」


 ミアナは杖を手に取りながら述べる。

 彼女は感知能力を有しており、遠くにいる魔物の位置を把握できるのだ。

 それによって状況を理解したのだろう。


 イーサンは封鎖した扉を気にしながら呟く。


「救助に向かうべきだろうか……?」


「微妙なところだな。相手の素性が分からない以上、下手に接触しないのも賢明だろうさ」


 現状、三人で進むのは大変なのは確実だ。

 様々な課題が立ちはだかっている。

 そのため人手は欲しいと思っていたところであった。

 別の生存者と合流して協力できれば戦力増加に直結し、生存率が各段に高まる。


 一見すると良案だが、これにはいくつもの問題が存在する。

 まず生存者達がどんな人物が分からない。

 協力できるようなタイプとは限らない。

 疑心暗鬼から殺し合いに発展する恐れもあった。


 害にならない人物だったとしても、役立たずの可能性が考えられる。

 そういった人間を助けたところで得は少ない。

 他人の命を守れるほど状況に余裕はなかった。


 俺は消火器爆弾を持ち上げながらイーサンに尋ねる。


「イーサン、あんたの意見は?」


「可能であれば助けに行きたい。怪我人がいるかもしれない」


 即答だった。

 毅然とした対応で実に医者らしい。

 まあ、イーサンの答えは予想できていた。

 彼は紛れもなく善人だ。

 自分の身を犠牲にして他者を救おうとする。

 さすがという他ない。


 次に俺はミアナに確認を取る。


「どうする?」


「私は賛成だ。魔物の数も増えてきた。戦力増強の機会を逃すべきではない」


 ミアナは冷静に意見を言う。

 彼女は俺と似た思考で、メリットを優先した結論であった。


「よし、決まりだな。親愛なる誰かさんに挨拶しに行こうか」


 俺は手を打って笑う。

 様々な問題を想定してはいるが、別に反対派ではなかった。

 二人が賛成するのならそれに追従する。


 俺達は封鎖した扉の一つを開放すると、ミアナの感知能力を頼りに移動を始めた。

 通路を彷徨うモンスターを蹴散らしながら進んでいく。


 たまに聞こえる銃声はだんだんと近くなってきた。

 人間のものらしき怒声等も聞こえてくる。


「あっちだな」


 俺は呟きながら拳銃を構えて、壁に沿って走る。

 そして、曲がり角から向こうを覗き込んだ。


「来るな。あっちに行きやがれ!」


「弾切れだ! 誰か銃を貸してくれっ!」


 そこには、モンスターに追い詰められる人々の姿があった。

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