第43話 三人組の課題
数分後、俺達は室内のモンスターを一掃した。
隣室や廊下に繋がる扉は残らず施錠し、ダクトにも死体を詰め込んで封鎖している。
油断すると侵入を試みるモンスターがいるためだ。
現在はミアナが結界を張っているので、ひとまずの安全地帯となっていた。
室内には頭痛がしそうなほどに濃い血臭が漂っていた。
発生源である死体がそこら中に散乱している。
割合的にゾンビが多く、そのせいで悪臭がきつかった。
端ではイーサンが座って休憩している。
彼はミネラルウォーターの入ったペットボトルを片手に項垂れていた。
凄惨な光景には耐性があったようだが、殺されそうになったショックが大きいのだろう。
イーサンはただの医者だ。
本来、医務室に閉じこもるような人間である。
メンタル面は一般人に毛が生えた程度と思った方が良さそうだ。
ミアナは毛布を敷いて仮眠を取っていた。
死体が近くにあってもお構いなしだ。
魔術行使で消耗した精神力の回復に努めている。
彼女は研究者なので、どちらかと言うとイーサンのようなインテリだが、荒事には慣れていた。
大勢のモンスターを一度に蹴散らせる能力も含めて、非常に頼りになる存在である。
「さて……」
俺はバリケード代わりの自販機を蹴る。
弾みで缶コーラが飛び出してきたのでそれを開封した。
噴き上げるそれをこぼしながら、俺はコーラを飲む。
カジノフロアは想像以上に鬼門だった。
スイートルームと違って広いスペースが多く、それに比例するかのようにモンスターの量も増加した。
肝心の強さはこれまでと大差ないが、決して気を抜けるような相手ではなかった。
この部屋のように広い空間では包囲されることが多々ある。
あちこちからモンスターが湧いて出てくるのだ。
ミアナの魔術がなければ、もっと苦戦を強いられていただろう。
俺も自作した爆弾で対抗しているが、使い捨ての武器なんてすぐに無くなる。
爆破のダメージをものともしないモンスターも出現するため、総じて面倒な局面となっていた。
おまけにイーサンが戦い慣れていない。
彼はゾンビ一体を相手にしてもピンチに陥りがちだった。
その医療の知識と腕は必須であるものの、戦闘面では期待できそうにない。
銃を渡しているのだが、あまり使いこなせていない様子だった。
(三人組は中途半端だな……)
俺は空き缶を捨てながら思案する。
このまま連戦するのはさすがに骨が折れる。
無謀な進み方を続けていれば、いずれ破綻しかねないだろう。
余裕のあるうちに、立ち回りを考え直さねばならない。




