表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮探索紀行 ~世界一の高層ビルが鬼畜ダンジョンになったらカオスすぎた~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/89

第25話 目的の部屋

 小休憩もそこそこに、俺達は下のフロアへ向かう。

 そのフロアは妙に静かだった。

 付近に何の気配も感じられない。

 息を潜めているというわけでもなさそうだ。


 怪しさはあるものの、立ち止まっているわけにもいかない。

 俺達は慎重に探索を開始する。

 その後、大した時間をかけずに下へと続く階段と医務室を発見した。

 迷宮化の影響で部屋の位置が変わっているが、医務室そのものが消えるようなことは起きていなかった。


 今までのフロアでは、部屋数が不自然に増減するようなことがあった。

 フロア案内板が役に立たない場面が目立って少し不安だったが、運が良かったようだ。


 このまま医務室に直行したいところだが、すぐには入らない。

 まずは他の部屋の探索を優先すべきだろう。

 どこにモンスターが潜んでいるか分からないからだ。

 治療中に押し寄せられては目も当てられない。

 まずは安全の確保が先決である。


 二人でフロア各所を巡るも、特に異変は発見できなかった。

 少しばかり構造が変わっているだけだ。

 戦闘の痕跡もなく、部屋の荷物が荒れているくらいであった。

 ただの一つも死体が見当たらない。


(他のフロアに避難したのか?)


 ありえない話ではないものの違和感は残る。

 この静けさが逆に不気味だ。

 今までのフロアはあちこちにモンスターがいた。

 それに比べれば明らかに楽だが、どうにも不思議であった。


 ミアナに感知魔術を使ってもらったところ、医務室に反応があることを判明した。

 ただし、室内の詳しい様子は探れないそうだ。

 魔力の乱れが発生しているらしい。

 迷宮は異常空間の最たるもので、感知魔術が正常に働かないことは珍しくないという。


 それでも事前に異変を察知できたのは良かった。

 ミアナの意見を参考にするならば、どうやら目的の医務室が怪しいようだ。

 他の部屋にモンスターがいない以上、余計に警戒すべきかもしれない。


 医療品目当ての人間がいるくらいならまだマシだ。

 話し合いで解決できるし、荒事になるのなら撃ち殺すだけである。

 何も難しい話ではない。

 個人的にはそのパターンが一番望ましかった。


 すぐに俺達は医務室へと赴く。

 先導する俺は、拳銃を構えながらドアノブに手をかける。

 振り向くとミアナが無言で頷いた。


 彼女は杖を手に魔術行使の準備をしている。

 いつでもサポートを頼めそうだ。

 よほどの事態でない限り、状況的に詰みはしないだろう。


 俺はそっとドアを開ける。

 隙間に顔を寄せて、静かに室内を覗き込んだ。

 そして後悔する。


 白を基調とした医務室は、構造自体は普通だった。

 ただし、それ以外が異常極まりない。


 まず徘徊するナースが問題だ。

 頭部がイソギンチャクのように変貌しており、空気の漏れるような音を垂れ流しにしている。

 あれは果たして鳴き声なのだろうか。

 意思疎通は期待できそうにない。


 甲殻類のような個体のナースもいた。

 蜘蛛のように四肢を伸ばして、天井に張り付いている。

 時折、口らしき部位から粘液を噴いていた。


 奥の扉は、隙間から大量の毛が溢れ出している。

 蠢きながら、生温かい風を発していた。

 扉の奥に髪の毛の主がいるのだろうが、とても確かめたいとは思えない。


 室内の惨状を見回した俺は嘆息した。

 異形ナースの頭部に照準を合わせつつ、吐き捨てるように呟く。


「狂気度チェックでもしてやろうか、クソッタレ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >「狂気度チェックでもしてやろうか、クソッタレ」 www トニー、一度や二度はクトゥルフTRPGをやった事があるのかな? やった事はなくても、ニコ動あたりでリプレイ動画を見た事はあるか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ