第13話 迷宮タワー
踊り場のゴブリンを全滅した俺達は、血だらけになった階段を下っていく。
下のフロアに到着すると、目の前には閉ざされた非常扉が待っていた。
「ん?」
そこまで来たところで俺は気付く。
続きの下り階段がない。
念入りに見回すも、見間違いではなかった。
普通は続くようにして階段があるものだ。
きっと地上階付近まで繋がっているはずなのに、階段は間違いなくこのフロアで途切れている。
少し不自然だ。
半端すぎないだろうか。
壁にはフロアの配置図が張られていた。
それによれば、やはり下り階段は存在するらしい。
破壊された痕跡もなく、忽然と消失している。
(どういうことだ?)
俺は腕組みをして唸る。
いくら考えたところで答えは浮かばない。
何もかもが特殊な状況であった。
モンスターの発生に比べれば、些細な現象だ。
何が起きてもおかしくないと構えるべきなのだろうか。
ため息を吐く俺を見て、ミアナが不思議そうにする。
彼女は階段の消失には気付いていないようだ。
俺が説明をすると、ミアナはすぐに納得した。
彼女は配置図を指しながら解説をする。
「この建物には、迷宮の性質が付与されている。その影響で内部構造が常に変動しており、だから階段の位置が変わったのだ」
「へぇ、そいつは最高だ」
俺は思わず皮肉を洩らす。
アースタワーは異世界のパワーを獲得したらしい。
難攻不落の厄介な場所になってしまった。
ミアナの解説が正しければ、フロアを探索して下へ続くルートを探さねばならない。
もしかすると、階段そのものが潰れている可能性もある。
最悪の場合は外壁を伝って降りるか、床を爆破することになるかもしれない。
ただ、どこにモンスターがいるかも分からない状況で、そのような不必要に派手な真似はしたくない。
かと言って長居する場所でもないため、最終手段として脳裏に留めておこうと思う。
(進めば進むほど面倒なことになりそうだ)
エレベーターが故障して、階段まで狂っている。
こうなったら地道に進むしかない。
非常扉を開けると、さっそく異臭がした。
死体が散乱し、その奥では大蛇がスーツ姿の人間を丸呑みしている。
その際、爬虫類特有の目が俺達を捉えた。
「オーライ、やってやろうじゃないか」
俺は金属バットを握り直す。
背後ではミアナが魔術行使の準備を始めていた。
彼女は俺を見て頷く。
サポートは任せても良さそうだ。
気合を入れて、俺は大蛇に突進していく。
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