1.いざ入室
お久しぶりです。
また、少しずつ更新していきます。
父様の腕に手を添えてゆったり廊下を進む。
周りの人がちらちら見ている気配はするけれど、あまり気にならない。
(私には魔法の言葉があるから大丈夫。)
穏やかな笑みを浮かべているマリアの様子をみて、父アランは驚きつつも、唇に笑みをのせた。
マリアのコンプレックス、不安を知っているからこそ、マリアの様子を気にしており、王太后に口添えを願ったのは彼だったのだ。
「マリア。何かいいことがあったのかな?」
アランは祖母と会えたことを話すものと思っていた。
「ええ。わたし、いままで、外見のことばかり気にしていたの。家族みんなと違うことを。でもね、内面の美しさは外見に現れるんだよって教えてくれた人がいて。わたしのことをきれいって言ってくれたの。すごいうれしかった。」
「……。」
アランの顔がやや引きつる。
「そう思ってくれる人がいるって思うだけで、色々気にしていたのが、おかしくなっちゃった。わたしはわたしらしくだよね。父様。」
「……。」
「父様。聞いているの?とうさま??」
にこやかに笑い自分の方を見るマリアはとても魅力的だ。
しかし、アランはすぐに返事をできなかった。
相変わらず、とてもかわいらしい自分の娘である。
(マリアを前向きにしてくれたことにはとても感謝する。しかし…しかし…)
顔が引きつるのを止めることができない。
「父様、どうしたの?怖いお顔。それに顔色も少し悪いわ。大丈夫?」
(どう考えても、男だろ!!誰だ!わたしのマリアに手を出したのは…舞踏会もまだなのに。どこで接触する機会があったんだ~。)
「ねえ、大丈夫?父様、父さま、とうさま!!」
そんな掛け合いをしているうちに、会場の扉の前に立ち、会場に入室することになったのだった。
「たんぽぽみたいな人」も更新しています。
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