10月3日
りっくんは家族でお出かけだそうで、今日は来ません。
私たち3人もお出かけをします。
公園を超えて、川沿いを歩き、レストランでハンバーグを食べます。
公園では知らない親子が遊んでいて、優人より少し小さい子がでんぐり返しをしていて、お母さんが「すごい」と言っていました。
それを横目に見ながら、3人で手をつないで川へ向かいます。
まだ暑さが残っていて、川沿いを歩くのは気持ちいいです。
川沿いの空気を敏感に感じ取って、うれしくなって、走り出した優人に、
「気をつけてね」
と言いました。
夫は、
「速い速い」
と言いました。
あまりきれいな川ではないのだけれど、水面がキラキラ光っていて、まぶしくて目を細めているのか、幸せで目を細めているのか、どっちだろう。
「はあ、はあ、はあ……」
走っていた優人が、夫の足にしがみついて息を整えています。
夫は優人をぶら下げたまま、あまりひざを曲げないように、ズンズン歩きます。
「あはははははは」
優人はユーカリにしがみつくコアラのようで、揺れながら笑っています。
何度も3人で歩いた川沿いです。
何度も3人で歩いた川沿いを歩いて行けば、レストランにたどり着きます。
「はあはあはあ………」
しがみつくのも疲れて優人は座ります。夫もしゃがみます。
「少し休むか」
「少し休みましょう」
「うん少し休む」
3人で同じ川の景色を見ました。
優人は、
「疲れたから生姜焼きが食べたいな」
と言いました。
この川沿いをもどった近所の定食屋に、少し甘めの、優人が好きな生姜焼きがあるんです。
「ハンバーグじゃなくていいのか?」
「うん、生姜焼きが食べたい。はあ…はあ…」
3人で生姜焼きを食べました。甘くておいしかったです。
家に帰る途中、スーパーの前に新しいガチャガチャが入っていて、ロボギガマンでした。
「わあ!ロボギガマンだ!」
「おお!すげぇ!」
「わーい!やっぱり生姜焼きにしてよかったでしょ」
「確かに!」
確かにレストランからの帰り道だとここは通らないので、この発見もありませんでした。
「パパが最初ーーー!!」
「ずるーーーい!!」
男の子同士の会話です。
「マグマデビルだーー!」
「あははははは」
「僕も僕も」
「ほれ」
ガチャガチャ、
「わあ!ロボギガマン!やったー!わー!…はあはあ」
ロボギガマンが出て興奮している。
「ふふふ……良かったね」
「はあ…はあ…」
優人が私の目を見ています。
真正面から見つめあうのは久しぶりなんじゃないかと思うほど特別な感じがして、優人の目が熱くて、優人がとても強くて、そんな感じがして、ドキドキしました。
「でも、これもう持ってるやつだからいらないや。ママに100万円で売ってあげる!!」
「100万円は無理だよ。100円なら買ってあげてもいいよ」
「わーい!ケチだーー!ケチママ!ケチママ!わー!はあはあ」
ただ優しい風が吹いているだけの、この日の帰り道が本当に幸せだった。
3人で歩いたこの今が、美化されることもなく、永遠であってほしい。
今の一歩一歩の先で時が過ぎ、いつかこの瞬間が光り輝きませんように。
お願いします。お願いします。




