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天使が舞台を降りる日に

 去っていく存在の、その最後をきれいに飾ろうとする光景が、ずいぶん増えた気がする。


「誰かを推す」という文化。


 活動終了だったり、一区切りだったり。理由はいろいろあるのだろう。

 けれど、共通しているのは一つだけだ。


 自分の目の前から、いなくなってしまうということ。


 別れである。


 それをただの区切りと呼ぶのか、それとも喪失と呼ぶのか。

 私はうまく区別ができない。

 同じように去り際があって、同じように、もうそこにはいない。

 それだけは確かだった。


 終わりは始まりで、始まりは終わりでもある。


 何かが世に出た瞬間、それは同時に、役目を終える方向へ歩き出している。

 皮肉なことに、人気が出れば出るほど、期待が集まれば集まるほど、


「その時」は近づいていく。


 〝使い切られる〟という言葉が、一番近いのかもしれない。


 でも、考えてみれば当たり前の話だ。


 人は消費して、また次を求める。


 どんな表現も、どんな存在も、味わわれ、消化され、やがて姿を消していく。


 ただ一つだけ、残るものがある。


 ほんの少し、体の奥に引っかかる何か。

 それがたぶん、思い出で、忘れたくないという感情なのだろう。


 私はそんなことを考えながら、会場に集まった人たちを眺めていた。


 一人が近づいてきて、静かに頭を下げる。


「大切な人の一区切りを、見送られたんですね」


 区切りを整える立場として、私にできる言葉は、きっとこれくらいなのだ。

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