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フィクション(冗談)
「ここで、踏み込んだ台詞を言いますね(冗談)」
……フィクションって言ってるのにな。
20xx年、世界から「冗談」という概念が薄れていった。
それに伴って、「空想」「妄想」「想像」は、扱いづらいものになった。
昔の人から見た今の未来。
じゃあ何が残っているのか、と問われたら、きっとこう答える。
全部「現実」が待っている。
衝突も、裏切りも、すれ違いも。
本来は物語の中で受け止められていた要素が、
すべて「本当に起きたこと」のように響いてしまう世界。
僕にとって、フィクションというものは冗談の延長線上にある。
けれど人間は、少し前から冗談と現実の境界を見失ってきた。
「人が現実と空想の区別を失った」のではない。
「人の話しか、信じなくなった」。
その結果、フィクションは居場所をなくした。
居場所をなくしたフィクションの代わりに残ったのは、
真実として扱われる言葉だけ。
だからみんな、言葉の後ろに注釈を付けるようになった。
「刺激的な出来事の物語(冗談)」
みたいに。




