エピローグ
翌日。
マコトが目を覚ますと、隣でヒミコが眠っていた。
それはいいのだが、なぜかヒミコは裸であった。
何だこの状況、意味がわからん。
えーと、
たしか俺は昨日、山賊と戦って勝ったはずだ。
勝った?
領主であるシンが殺されて、村人の三分の一が殺された。
そして、民家の半分が焼け落ちたのだ。
この状況で勝利したと言えるのだろうか?
そうだ。
俺は山賊のボスを倒した後、逆上した山賊の一人に襲われて、大怪我を負ってしまい気絶したのだ。
マコトが左腕を確認すると、包帯が巻かれてあった。
だいぶ出血していたから、ヒミコが体を暖めていてくれたのだろう。
てか、ヒミコにカイトのことを、まだ話していないな…………
そこで、ヒミコが目を覚まして微笑んだ。
「よかった、気がついてくれた。いま温かい食事を持ってきますね」
そう言ってから、ヒミコが立ち上がって服を着た。
いま話さないと、一生言えなくなってしまう。
だから、マコトが全力で叫んだ。
「待ってくれ、話があるんだ! ……カイトの事なんだけど……」
こちらに向き直った、ヒミコが抱きついてきた。
「……弟は、最後笑っていました。だから、謝らないでください」
やっぱり、助からなかったのか…………
てか、謝ってはいけないのなら、俺は何と言えばいいのかな?
しばしの沈黙の後、マコトが言葉を発した。
「助けてくれて、ありがとう」
こちらの発言を聞いた、ヒミコが微笑んでくれた。
たぶん、正解だったのだろう。
数分後。
ヒミコが食事を作るために、部屋を出て行った。
しばらくは動けないみたいだし、今後のことについて考えてみるかな。
村は、半壊した。
これを再建するのは、生半可な苦労ではないだろう。
放置して逃げるか?
いや、そんな不義理なことは出来ない。
それに、俺はもう領主になったんだ。
だから、全力で頑張ろうと思う。
まずは、生存者の確認。
次に、燃えてしまった家の状態を確認してから、立て直すか考えよう。
その後のことは、資金が必要になるな。
幸いなことに、寄り親(大金持ち)の娘であるエクレアがいるのだ。
土下座してでも、資金を借り入れよう。
ふっふふ、エクレアに駄目な大人の交渉術を教えてやろう。
そんなことを考えながら、マコトが村の再建計画を考えていった。
第一部 完
あとがき
「異世界に転生したので、生き残るために建国することにした!」を最後まで、読んでくれてありがとうございます。
これにて、第一部領主就任編は終了です。
ヒットを飛ばそうと、異世界転生物を書いてみたのに、こんな風になってしまいました。
まあ、軽い作品もいいけど、たまには重めの作品も読んでくれると嬉しいです。
ちなみに、第二部も難易度は、このままで行く予定です。
引き続き、作品を楽しんでいってくれると嬉しいです。




