第三章 起承編
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「遊園地」「アマビエ」「ゴリラぁ!」「爆弾魔」
『アリスさん、ざまぁランドに行こうよ』
電話で誘ってくれたのは親友の白ウサギ(P.N)でした。
「ざまぁランド?」
『うん。半年前にできた遊園地なんだけど知らないかな? すごく楽しくて毎月行ってるんだ。アリスさん、無職で暇なんだよね。一緒に行こうよ』
たしかに暇です。暇過ぎて週間天気予報の六日後の天気が、当日になって的中している確率を調べるために、ノートに予報を書き写しているくらいに暇でした。
「遊園地ですか」
何年ぶりでしょうね。無職ゆえに節約したい状況ですが、ずっと部屋に引きこもっているのも健全な精神を維持する観点からすれば、マズイ気もします。たまには友人と外に出かけるのも良いかもしれません。
「誘って頂きありがとうございます。私も同行させて下さい」
『やった。別の友達も誘っているんだけれど、いいかな』
「もちろんですよ」
『じゃあ明日の○時に△▽駅の前で……』
こうして久しぶりに友人と外出することになりました。
それにしても新しい遊園地ですか。関東圏はネズミの国が一強状態だというのに、なお遊園地で勝負するとは。
ざまぁランド、どんなところなんでしょうね。
★
翌朝、ざまぁランドの最寄り駅で白ウサギ(P.N)さんと待ち合わせます。
「アリスさん、おはよう」
やってきたのは白ウサギ(P.N)さんと……そのご友人でした。思わず息を飲んで見つめてしまいました。とりあえずご挨拶。
「白ウサギ(P.N)さん、今日は誘って頂きありがとうございます」
「急に誘ってゴメンね。来てくれて嬉しいよ」
「あの、そちらの方は?」
私は改めて白ウサギ(P.N)さんが連れてきたご友人に目を向けました。
「こちらはアマビエさん。この前SNSで知り合ったの」
「はじめましてアリスさん。アマビエと申します。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします……」
アマビエ、実在したのか。なんだか目が離せない。久しぶりに友人と会ったというのに。
「アリスさん、なにか?」
私の視線に気付いたアマビエさんが不思議そうに問いかけてきます。
「いえ、その、素敵なロングヘアだなって」
「フフ。よく言われるんです。すれ違う方々に、よく振り向かれたり、二度見されたりするんですよ」
原因はそれだけじゃないだろうよ。顔は鳥っぽいし、身体は鱗に覆われているし。
「アマビエさんは遊園地がお好きなんですか」
「はい。あと、今のうちに色々な作品に出ておこうと思いまして」
「作品?」
「アリスさんはサンダーストリートという会社をご存知ですか」
「サンダーストリートですか!」
あれは昨年のこと。大ブームになった『100年後には死滅するであろうハ虫類人類』というネット発のマンガがありました。そのマンガは少しずつ閲覧者を増やしていき、ネット上では、マンガの続きが公開されるたびに最終回が考察されていました。最終回直前にもなれば情報番組が特集を組むほどのブームに。
しかしその裏では大手広告代理店のサンダーストリートが関与していたのです。広告代理店の関与。それは作られたブームと言わざるを得ませんでした。マンガのファンは大手企業の手の上で踊らされていたことに気付き、マンガ家を誹謗中傷する事態にまで発展……。
マンガの最終回からわずか数週間でブームは去り、事態は沈静化しましたが、作られたブームが実在するのだという悪印象を国民に植え付ける結果となってしまいました。
これらをサンダーストリート案件と呼ぶ者も少なくありません。
私はアマビエさんに聞きました。
「サンダーストリートがどうかしたんですか?」
「はい。サンダーストリートは私を自社の物だと主張し、特許申請したのです」
「え? アマビエさんは個人ですよね。生き物ですよね。あの会社の特許なワケないではないですか」
「私もそう思います。ですが、申請されてしまったんです」
サンダーストリート。なんという会社だ。
アマビエさんは悲しげな視線を足下に落としました。
「今のところ申請は審議中だといいます。しかし申請が通ってしまったら、私は自由に行動できなくなってしまいます。だから今のうちに、色んな作品に出ておこうと思いまして」
そういうことですか。大変ですね。けれど彼女が先ほどから仰っている『作品』ってどういう意味?
「この作品なら物語に整合性なんてないから、飛び入り参加OKだと白ウサギ(P.N)さんが言っていました。あの、もしかしてご迷惑でしたか?」
アマビエさんが落胆の文字を瞳に滲ませました。まずい。
「とんでもない。一緒に遊園地を楽しみましょう」
「ありがとう、アリスさん」
アマビエさんは個性的なお顔でニッコリ。それにしても彼女が言う『物語』や『整合性』とは? まぁ、いいでしょう。今日を全力で楽しみましょう。
「ところで白ウサギ(P.N)さん。これから行く、ざまぁランドってどういうところなんですか」
今日を楽しむために、あえてネットで下調べはしておりませんでした。
白ウサギ(P.N)さんは嬉しそうに説明してくれます。
「ざまぁランドはね、『ざまぁ』を体験できる場所なんだよ。ざまぁを体験することで日頃のストレスを発散することが出来るの」
ん? ざまぁ? なにそれ。
アマビエさんに顔を向けると、彼女も『初めて聞いた』という顔で返してきます。
「私も遊園地の一種だとしか聞いておりませんよ」
「そうですか」
こちらの困惑とは裏腹に、まるで子供のようにはしゃいでいる白ウサギ(P.N)さん。三枚のチケットを掲げ、駅前の雑踏の中をクルクルと回っております。
あの、はしゃぎすぎでは? そう思った矢先でした。
「邪魔だ!」
白ウサギ(P.N)さんはガラの悪い男性にぶつかってしまいました。倒れてしまう白ウサギ(P.N)さん。三枚のチケットは冷たいアスファルトに散っていきます。
ぶつかってきた男は白ウサギ(P.N)さんを見下ろしました。
「こんなところで踊ってんじゃねーよ。バカがぁ!」
そう言って歩きだすと、足下のチケットの一枚を踏みつけて雑踏の中へと消えていきました。チケットのこと、避けようと思えば避けられたハズなんですけどね。
「白ウサギ(P.N)さん、大丈夫ですか?」
私は彼女に駆け寄ります。
「うん。なんだかゴメン。さぁ、ざまぁランドへ行こう。もうすぐ開園時間だよ」
白ウサギ(P.N)さんは健気にも笑顔で立ち上がりました。
地面に散らばったチケットはアマビエさんが集めてくれました。案の定、そのうちの一枚は男が踏んだため、靴跡がくっきりと残っておりました。
★
ざまぁランドの入口には長蛇の列が成しておりました。なかなかの盛況なのですね。
「ざまぁランドへようこそ。開門いたします!」
スタッフが門を開けると、お客さんがゲートへ押し寄せます。みなさん、チケットをスタッフに見せて園内に入っていきます。
「はいアリスさん、アマビエさん、チケットだよ」
白ウサギ(P.N)さんは私たちにチケットを渡してくれました。おや? 何故私に靴跡の付いたチケットを寄こすのでしょうね。
私たちの順番が回ってきました。ゲートのスタッフにチケットを見せます。そのときスタッフと目が合いました。
「あ! アナタは」
「ああっ!」
目の前のスタッフは駅前で白ウサギ(P.N)さんとぶつかった男だったのです。
私が驚いていると白ウサギ(P.N)さんが食ってかかりました。
「あのときぶつかってきた人ですよね。よくも! よくも!」
「いや、俺は、何のことだか」
男は誤魔化そうとしますが、白ウサギ(P.N)さんが大声を出したため、あたりの視線はこちらへ集まってしまいました。
「なんだなんだ。どうしたどうした」
異常を察したのか、奥から年配のスタッフが駆けてきました。
「お客さん、うちの従業員が何かしましたか?」
「この人、さっき駅前で私にぶつかって謝りもせずに罵声を浴びせてきたんです。しかもチケットを踏みつけるし」
白ウサギ(P.N)さんは年配のスタッフに苦情を漏らします。年配のスタッフは血相を変えて男を問いただしました。
「キミ、それは本当かね」
「いや、俺はこんな女は知らない……」
男は何とか誤魔化そうとしている素ぶりですが、白ウサギ(P.N)さんはそれを許しません。彼女は私が握っているチケットを取ると、年配のスタッフに突きつけました。
「踏まれたチケットには、その男の靴跡が付いています。確認してみて下さい」
年配のスタッフは靴跡の付いたチケットに視線を落とすと、男へ強烈な視線をぶつけました。
「オマエは大事なお客様に、なんてことを」
「あ、ああ……」
顔面蒼白の男に、年配スタッフの怒りがぶつかります。
「謝りたまえ。早く!」
「す、すいませんでした!」
観念した男は土下座して謝りました。
「お客様、うちの従業員が申し訳ないことをしてしまいました。これはせめてものお詫びです」
年配のスタッフは園内で使えるジュース一杯無料券を三枚くれました。
ぶつかってきた男は神妙な感じで、別のスタッフに掴まれて事務所らしき場所に連れていかれてしまいました。
「白ウサギ(P.N)さん……」
すごい剣幕で男に詰め寄っていた白ウサギ(P.N)さん。彼女のうしろ姿に私は声をかけます。楽しいはずの遊園地なのに、こんなことになってしまい、さぞ心を痛めたことでしょう。
「とんだトラブルに巻き込まれてしまいましたね」
「フフフ」
ところが白ウサギ(P.N)さんは満開の笑顔で振り向きました。
「土下座させてジュースの無料券までもらった。早速ざまぁしちゃったよ!」
「え?」
「さぁ二人とも、早く入ろうよ」
先ほどまでの怒りはどこへ行ったのか。白ウサギ(P.N)さんは楽しそうにゲートをくぐっていきました。
★
スタッフにチケットを見せると、名札のようなものをもらいました。名札の上には安全ピンが付いていて、片面には『YES』もう片面には『NO』と書いてあります。
「二人とも、『YES』を表にして周りから見えるところに付けてね」
白ウサギ(P.N)さんに従って『YES』を表にして、周囲から見える位置、胸元が良いでしょうね。そこにくっつけました。
「白ウサギ(P.N)さん、これは一体なんですか」
「これがあれば、ざまぁができるんだよ」
「はぁ……」
事情が飲み込めない私は、同じ状況であろうアマビエさんと顔を見合せます。
「じゃあ何に乗ろうか。あ、ジェットコースターでいいかな」
白ウサギ(P.N)さんの提案にならい、私たちはジェットコースターに乗ることになりました。列に並んで10分ほど。ジェットコースターの入口に差し掛かります。
目の前のお客さんが入口に入ると、スタッフが入口を閉めました。
「次の番までお待ちください」
前にほかのお客さんがいないということは。
「アリスさん、私たち一番前だよ」
「良かったですね」
白ウサギ(P.N)さん、一番前が嬉しいのか、かなり喜んでいます。
「お客様、荷物や貴重品はロッカーに入れておいて下さい」
スタッフが私たちに声をかけます。
コースターの線路に目を這わせると、途中で一回転する構造になっておりました。なるほど。持参した荷物が落ちないようにロッカーに預けるのですね。
私たちはもちろん、うしろに並んでいたお客さんたちも荷物をロッカーに預けます。
「ロッカーの数は限られております。使用するロッカーは一グループにつき、ひとつでお願いします」
私たちは三人分のカバンをひとつのロッカーに押し込みました。カバン、折れ曲がっていますね。ブランド品ではないことだし、いいのですけど。
「なによ、このロッカー。こんなに小さいんじゃ、荷物がまるで入らないじゃないの!」
家族連れの母親がロッカーに文句を言いながら、荷物を押しこんでいました。
そして私たちは再び列を成すために元いた場所に立とうとしました。
すると入口の前には、先ほどまでいなかったカップルがいました。
そこは私たちがいた立ち位置です。
「横入りはやめて下さい!」
白ウサギ(P.N)さんは抗議しますが。
「はぁ? 俺たちさっきからずっと居たんだけど」
「居ませんでしたよね。割りこまないでください」
「はぁ、うざいんだけど」
カップルは男女とも悪態をつき、退く気配がありません。カップルは言います。
「つーか、いい年してジェットコースターとかありえねぇ」
「マジやばいんだけど」
ジェットコースターに上限年齢なんてなかった気がしますが。カップルはニタニタと笑うばかりで、退く気配はありません。
「あの二人、ずいぶんうしろのほうに並んでいた客です。私たちが少し離れたあいだにやってきたんだわ」
アマビエさんが声を潜めて教えてくれました。そのとき。
「お待たせしました。お客様、前にお進み下さい」
スタッフが入口を開けてしまったため、カップルを最前列にしたまま前に進むしかなくなりました。
ほかの客ともどもジェットコースターに乗りこみます。最前列はカップル。私と白ウサギ(P.N)さんは二列目に座るはめになりました。アマビエさんは三列目。
「前の席、取られてしまいましたね」
意気消沈しているであろう白ウサギ(P.N)さんに声をかけますが、彼女はなにかソワソワしているご様子。どうしたことでしょうか。
安全ベルトと安全バーで準備が完了すると、発車ベルが鳴り、コースターは進みだしました。
傾斜のついたレールを上っていきます。このあとコースターは坂の頂上に差し掛かり、勢いよく坂を下りていくのでしょう。そのあと幾つかの急カーブを経て一回転。ドキドキしますね。
コースターは少しずつ坂を上っていきます。コースターの構造上、嫌でも前にいるカップルのうしろ姿が目に入るのですが、なんだか様子がおかしいのです。
「あれ? 安全バー緩くね? つーかセットされてねぇし!」
「こっちのベルト壊れてる。え、マジでヤバいんだけど」
え? 前のカップルの安全器具、壊れているんですか。これはマズイです。しかしコースターは無情にも坂の頂上に到達してしまいました。
「クスクスクス。ふ~フフフフふひゅ」
白ウサギ(P.N)さんは不気味な含み笑いを始めます。
下りはじめるコースター。そういや入口の説明書きには時速100キロ超えと書いてあったような。
スピードに乗ったコースターはさすがジェットコースターとばかりに猛スピードでレールの上を激走していきます。
「きゃー」
「わーい」
うしろのお客さんは嬉しい悲鳴を上げて実に楽しそう。
「ギャー、やべぇ、ベルトが壊れぇぇぇぇ……!」
「きゃー、死ぬ、死ぬ、とめてぇぇ!」
前のお客さんは本気の絶叫を上げております。さらに安全バーは完全に上がりきってしまい、ベルトが壊れたという状況から察するに、カップルは根性でコースターにしがみついていることが伝わってきました。
「あはははははは!」
高笑う白ウサギ(P.N)さん。ジェットコースターが楽しいのか、それともカップルの状況が面白いのか、ほかのお客さんとは完全に異なるリアクションです。
そして、ついにコースターは一回転!
カップルは途中まで耐えていたものの、完全に逆さまになった位置で自由落下を始め、視界から消えていなくなりました。
もしも、あのカップルが横入りしてくれなかったら、今ごろ私たちが……
「ふははっははははははは!」
白ウサギ(P.N)さん。ジェットコースターが楽しいんだよね。
ジェットコースターはレールを一周し、発進位置へと戻ってきました。満面の笑みの白ウサギ(P.N)さん。私といえば目の前の惨劇を観察することしかできず、声のひとつも出せませんでした。
墜落していったカップルは……あ、生きてる。どうやら一回転した場所の真下にはネットが張ってあったようで、無事だったようです。しかしながらスタッフに助けられたカップルは憔悴しきっていました。
「横入りして人の権利を奪うからだ。ざまぁみろ! バカップル!」
白ウサギ(P.N)さんは去り際に、カップルに向けて声を張り上げていました。カップルは疲れ切った表情で言い返すこともなく、死んだ目をしておりました。
★
「さぁ、次は何に乗ろうかな」
まるで先ほどまでのことは無かったかのように、楽しそうに振る舞う白ウサギ(P.N)さん。
なにか、いつもと違います。いつもなら気が弱く、トラブルに遭おうものならいつまでも引きずる彼女が、今日はとてつもなく切り替えが早い。
「アリスさん、あれ見て」
アマビエさんの指す先には、さきほど最前列の安全バーが壊れてしまったジェットコースターが、お客さんを乗せて動いておりました。しかも最前列にはお客さんが乗っております。普通なら稼働停止させるはずなのに。
「ここの遊園地はおかしいです。それに、今日の白ウサギ(P.N)さんは変ですよ」
すると白ウサギ(P.N)さんは何事かと私を見ます。
「変かな? どうして?」
「どうしてって。あれだけのトラブルがあったというのに」
「だってここは、ざまぁランドだよ。ざまぁしているだけだよ」
「え? あの、さっきから言っている『ざまぁ』ってなんですか?」
白ウサギ(P.N)さん、ますますキョトン。
「『ざまぁ』っていうのは仕返しをすることだよ。ここは仕返しが手軽に味わえるテーマパークなの」
たしかに朝からトラブル続きですが。
「それにしたって偶然が過ぎますよ」
「偶然じゃないよ。相手は全部スタッフだもん」
「え?」
白ウサギ(P.N)さんは『YES』と書かれた名札を指さしました。
「『YES』が表向きだとスタッフが『ざまぁ』を仕掛けてくれるの。それで私たちは『ざまぁ』を体験できる。ああ、面白かった。日頃のストレスが飛んでいったよ」
「つまり、先ほどのカップルは仕込みだったと」
「うん。『スタッフ』って書かれたバッジをつけていたよ」
「では朝、駅前でぶつかってきた従業員の男性は?」
「昨日、事前に予約していたんだ。別料金を払えば入園する前から『ざまぁ』を仕込んでくれるの」
なんだそれ。
「つまりぶつかってきたことも、罵倒も、チケットを踏まれたことも、土下座まで仕込みだったと。先ほどのカップルは自ら安全バーやベルトを外して落下していったと」
「うん」
それが当然とばかりに、表情一つ変えずに頷く白ウサギ(P.N)さん。
「それの、何が楽しいんですか」
「楽しいよ。だってイヤなヤツに仕返しが出来るんだもん」
「私は白ウサギ(P.N)さんが傷ついたとばかり。それにスタッフの仕組まれた謝罪や悲劇を見たところで、楽しいなんて」
「楽しいよ。土下座なんて普段じゃ見られないし。スカッとするんだよ」
「でも、相手が不シアワセになったところで、最初に自分が嫌な思いをしたことは事実ですし、記憶からは消えませんよね。ざまぁなんて……」
すると白ウサギ(P.N)さんは寂しげな表情になってしまいました。
「アリスさん。もしかして、つまらない?」
「そんなことは」
「アリスさんも毎日嫌な思いをしていたんだよね。だから仕事をやめて今は無職なんだよね。アリスさんなら、きっと喜んでもらえると思って連れてきたんだけど」
やべぇ。今の私は彼女の大好きなモノを否定してしまっている。なんとか体勢を立て直さなければ。
「誤解です。ちょっとこの遊園地のシステムを理解できなくて戸惑っているだけです。何も知らない状態で来たので、本当のトラブルかと思って怖くなってしまっただけなんです」
「なんだ。私も説明不足だったよ。ごめんね」
白ウサギ(P.N)さんは弾ける笑顔を取り戻しました。よかった。
「みなさん、喉が渇きませんか。少し休憩しましょう」
空気を呼んでか、アマビエさんが小休止を申し出てくれました。
「いいですね。その前にトイレに行って来てもよろしいですか」
「じゃあ広場のほうにお茶できるスペースがあるから、そこで待っているね」
白ウサギ(P.N)さんとアマビエさんは広場の方へ歩いていきました。
それにしても、ざまぁランド。恐ろしいところです。




