番外編、レェティエールの決意
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
反乱が起こって、二日が経った。
まだレェティエールは寝続けていた。
咲は現在、混乱していた。
メイベルは既にこの屋敷の中には居なかった。
街の中にメイベルを探しに行きたくとも、こんな反乱の中、無防備に寝ているレェティエールを一人残しておけないし、レェティエールは起こそうとしても全然起きてくれない。
咲はため息を吐いた。
何度目かのレェティエールの呻き声が聞こえた。
咲はレェティエールの傍に近付くと、目覚めて欲しいと思いながらその手を握った。
「……んっ」
咲の思いが通じたのか、小さな声とともにレェティエールは目覚めた。
レェティエールは咲をじっと見つめると小さな声で呟いた。
「……女神様?」
その言葉に咲は優しく微笑んだ。
「おはよう、レェティエール。突然だけど、あなたの兄を救いに行くわよ。」
その言葉にレェティエールは飛び起きた。
「兄さん……兄さんがいない……それにどうして、私は生きているの?」
混乱して泣きそうになっているレェティエールの手を強く握りしめると、咲は優しく話した。
「あなたは私が救ったの……それに言いにくいのだけれどあなたの兄は今、何処かで死のうとしている……」
その言葉を聞いてレェティエールは涙を流した。
涙で濡れた瞳で咲を見つめるレェティエール。
「兄さん……兄さんはどうして、死のうとしているの?」
「領主に復讐する為に、あなたの兄は沢山の罪を犯した……その罪を償う為に……メイベルは死のうとしている……」
その言葉にレェティエールはさらに涙を流した。
「私の……せいで……」
その言葉を咲は強く否定した。
「それは違う!あなたは何も悪くない!メイベルも私が死なせたりしないわ!だから、泣いてばかりいないで……早くあなたの兄を探しに行きましょう!」
その言葉にレェティエールは顔をあげると涙を拭いた。そして、強い瞳で咲を見つめた。
「絶対……絶対に兄さんを死なせたりしないわ!女神様!お告げ、ありがとう!」
その言葉に咲は目を丸くしたが、すぐに破顔した。
「……私は人間よ、レェティエール。名前は咲よ。」
その言葉に今度はレェティエールが目を丸くしたが、その後、花咲くように笑った。
「レェティと呼んで、咲!」
二人は手を繋ぐと部屋を飛び出した。
取り敢えず屋敷から出たはいいが、レェティエールは首を傾げていた。
「……兄さんは何処にいるの?」
メイベルが何処にいったのか、咲には大体の検討がついていた。
「……多分、領主の館に向かったのだと思う。」
その言葉を聞いて、レェティエールは体を震わせた。
顔色がどんどん悪くなっていく。
咲はレェティエールを抱きしめると優しく背を撫でた。
「大丈夫だよ……レェティ……私が守るから……あんな苦しい思いはもうさせないから……」
その言葉にだんだんとレェティエールの体の震えが弱まっていく。
「私ね、本当にね……辛かったの、苦しかったの……」
「……うん」
「怖いよ……怖いよ……でも、兄さんがいなくなってしまう方が……もっと怖い……だから……」
レェティエールは咲から離れると、輝きを取り戻した瞳で咲を見つめた。
「行こう、領主の館へ。」
「うん。」
咲とレェティエールがいた屋敷は、どうやら領主の館からかなり離れていたらしい。
一日目飲まず食わすで、咲とレェティエールはやっとぼんやり領主の館が見えるところまで来た。
「レェティ、もうすぐだよ。頑張って。」
「はぁはぁ……咲、私頑張る……」
レェティエールはずっと寝ていた為、体力が落ちてしまっているのか、足がなかなか前に進まない。
咲はそんなレェティエールをずっと支えてきた。
遂に、はっきり見えてきた領主の館に咲とレェティエールは歓喜したが、それは一瞬のことだった。
何故なら、領主の館には武器を持った大勢の人々が詰め掛けていたからだ。
その様子に咲もレェティも青褪めた。
「どうしよう……咲……」
「取り敢えず……館の近くに行こう、レェティ。」
そうしてメイベルを救う為、咲もレェティも必死の思いで領主の館に近づいていった。
次回も読んでくれると嬉しいです。




