番外編、咲の行方
楽しんでくれると嬉しいです。
アルトは現在、全速力でルヴァントの街へと向かっていた。
帰ってきたら、家はもぬけの空で、夜になっても咲は帰ってこなかった。
もしかすると咲は、何処かに出かけて行ったのだが、危険な目に遭って帰れないのかもしれない。
そう考えるとアルトは胸が潰れそうな程苦しくなった。
激しく鼓動する心臓を抑えてアルトは冷静に咲の行きそうな場所を考えた。
咲が自分の足で行けるほど近い街は二つ。
その一つはルヴァントだ。
アルトは、咲は恐らくルヴァントに行ったのだろうと考えた。
咲はルヴァントの街をとても気に入ったようで、行きたいと何度も頼んできたのだが、盗賊が出た所だと決してアルトは咲を連れて行かなかったのだ。
それらを考慮し、深夜アルトはルヴァントに向けて出発した。
念のため、咲に何かあれば女王やオレルに助けを求められるように、紫水晶の連絡用魔道具も持っていった。
早朝ルヴァントの街に着いて、目の前に広がる以前とは違う光景を見て、アルトは目を見開いた。
「無能な領主を殺せ!」
「殺せ!殺せ!殺せ!」
そう言って武器を持ち、領主の館に押し寄せる大勢の人々。
武器がぶつかり合う音が響き、血の匂いが漂う。
領主の館はあと三日持つか、どうかだろう。
状況を分析していたアルトだったが、もしかしてこの反乱に咲は巻き込まれたのではないかと思い、顔を青褪めさせた。
アルトは急ぎ女王に連絡を取った。
「……アルトや……こんな朝早くに何かの?」
混乱していたアルトは、眠たそうな女王にもお構いなく捲し立てた。
「女王!ルヴァントの街で反乱が起こっています!それに、ルヴァントの街で咲が行方不明なんです!」
その言葉にセキは飛び起きた。
「なんじゃと!反乱が起こっておるのか!それに、そんな街で姫が行方不明じゃと!」
「そうなんです。探しているのですが見つからなくて……反乱に巻き込まれていたら、咲の身が危ない……恐らく、あと三日程で領主の館は民衆の手に堕ちる……こんな街に咲がいるなんて……どうしたら……」
咲を奪われるかもしれない、その恐怖で我を忘れたアルトをセキは叱咤した。
「アルト!しっかりせよ!」
その言葉でアルトは我に返った。
「そなたは急ぎ姫を見つけよ!妾は急ぎ兵を連れてルヴァントに行く!」
アルトは拳を握りしめると瞳に力を宿した。
……絶対に咲は生きている。
「アルトや、必ず無事、姫を見つけ出すのじゃ……信じておるぞ……」
その言葉を皮切りにアルトは駆け出した。
次回も読んでくれると嬉しいです。




