第3話
「着きましたよ、ここが僕の家です。」
「マンションに住んでるんですね〜」
「まあ一人暮らしで部屋が少し欲しいとなるとマンションが1番いいんですよねぇ〜」
「ただいま〜」
「一人暮らしなのにただいまって言うんですか?」
「なんか家帰ってくるとただいまって言うの好きなんですよね、自分が家に帰ってきたってことを実感できて。」
「なるほど。」
「じゃあ中はどうぞ〜」
「お邪魔します。」
彼女の一つ一つの動きがとても丁寧だった、まるでお嬢様みたいな所作に少しだけ見惚れてしまった。それと同時に綺麗すぎて逆に見せ物みたいで少し気持ち悪いと思う自分がいた。
「ここがリビングです、少しそこのソファーでゆっくりしててください。」
「じゃあ失礼して、うわぁ〜このソファー本当に気持ちいいですね!!少し高かったんじゃないですか?」
「ええ、ソファーとベットはくつろぐ時、いいやつの方が普通の時より倍癒されるので!」
「そうですか、」
彼女の声は少し羨むような、そんな声だった気がした。
「こちらをどうぞ、お米と冷凍食品の餃子です。こんなものしかなくてすいません。」
「いえいえ、お世話になっている立場なのでこうやってご飯を出してくれるだけでもとってもありがたいです!」
「じゃあ、いただきます。」
「どうぞ、召し上がれ。」
なぜだろうか、一人じゃないからか、いつもより少しご飯が美味しく感じられた。
ご飯も食べ終わった頃、少し僕は危機感を覚えていた。(やばい!あと1時間30分でアニメの放送が始まってしまう!!!どうしよう、極力アニメ見てるのを見られるのは避けたい、先にお風呂に入ってもらってそれからそのあと風呂に入ったらいい感じに一人で見れるかも!)
「では、先にお風呂入っちゃってください」
「では、先にお風呂どうぞ」
「あ、」
「あ、」
(同時に話してしまった、とても気まずい。)
「あの〜じゃあお言葉に甘えてもいいですか?ちょっと昨日からいろいろあってしっかりと湯船に浸かってなくて」
ちょっと恥ずかしながら言うその姿に思わず可愛いと思ってしまった、学校の陽キャたちが惚れるわけだと納得して了承した
「そういえば、シャンプーとかボディーソープとか女子用のやつ持ってないですけど大丈夫ですか?」
「はい、家からちゃんと持ってきたので!」
この大きな学校のリュックに詰まってたのは、こういうことだったのか
「じゃあお風呂を出て来たらそこの突き当たりを左の部屋に僕はいるので呼んでください」
「分かりました!」
それからちょっと時間が経ち自室にノックの音が響き渡る。
「お風呂空きましたよ〜」
「分かりました、今から行きます〜」
自室の扉を開けた瞬間、普通の男子高校生が見ていいような光景じゃないものが広がっていた
「うわ!!なんでそんなラフな格好してるんですか!!僕一様普通の若い男子なんですけどぉ!」
「失礼しました!家ではいつもこの格好で、えへへ」
彼女の格好はラフすぎた、でかいTシャツ一枚にその下は履いているのかわからない、しかもその後のえへへ、これは真面目に犯罪級である、本当に可愛かった、神様ありがとう!!
いかんいかん、ちょっと注意しないとね
「次からは気をつけてくれると助かります」
「そうします!」
「じゃあお風呂入る前に、そこの部屋を使ってください、何もないので布団敷いて起きました、本当はベットの方が良かったと思うんですけどベットが一個しかなかったので、ちょっといいやつの布団で満足していただけるとありがたいです」
「いえいえ、いつも布団を使っていたので全然、むしろありがとうございます!」
「じゃあ、また明日、飲みたいものあったら、冷蔵庫に飲み物入ってるのでどうぞ」
「今日は何から何まで本当にありがとうございました!これからもしばらくの間よろしくお願いします!!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
これから僕の奇妙な同居生活が始まった、ちゃんとアニメ見れてよかったぁ〜