第2話
よし、リアタイの時間には間に合いそうだな〜。
気づくとバイト先から出て30分ほど経っていた。
今は住んでいる所の、すぐ近くの住宅街を歩いているが、あまり人通りが少ないから、静かな場所が好きな僕に取ったらとても良い場所に住んだなと思う。
しかし、今日は違った。絶対にここにいるような人じゃない人が、すぐそこの電柱に座り込んでいるというとても奇妙なことが起こっていた。
でも、あまりにも自然に座り込んでいるからその時はあまり奇妙に感じられず、逆に自分らしくもなく話しかけようと思ってしまう。まるで太陽の陰に引き摺り込まれるように。
「あの、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
大丈夫だったら普通こんな人通りが少ない道の電柱になんて座り込まないと思うんですけど……
長い白髪、モデルのようにスリムで引き締まった体型。それに透き通った赤い瞳。今、目の前にいるのは天川瞳。うちの高校で成績1位、女子の中で身体能力テストも一位、さらに性格も良くてとても容姿端麗ときてとても友達も多い。
こんな全てが揃った状態の人が、こんな場所にまるですべてを失ったような絶望をしたような真顔でいるのが奇妙で仕方がない。
「こんな所にいたら危ないですし、すぐに離れることをおすすめします」
「そんなこと言ったらあなただって」
「僕はこの辺に住んでいるので」
「じゃあなんでこんな所に住んでるんですか?」
「ここ人通りが少ないから家賃も安いんですよ。一人暮らしをしてる身にしたら最高の場所でして」
本当にいつも静かで助かってるんだよな。見つけてくれた真美さんに感謝だな。
「そんな歳でもう一人暮らししてるんですか!?凄いですね」
こんな普通の会話を続ける彼女の瞳や笑顔はまるで感情のこもっていないただの受け答えをするロボットのようだった。
「とりあえず、もう夜も遅いので帰った方がいいですよ」
「今帰る所がなくて」
帰る場所がない?家族喧嘩か?いやそれを考えるより今は対処を考えるべきか。
「友達の家とかに泊めてもらうのはどうですか?」
「それはダメです!」
「すいません、気を悪くさせたのなら謝ります」
友達という言葉に強く反応した彼女の声からはとても緊迫感が伝わってきた。声は震え、少し怒鳴るように、そんな喋り方だった。大体帰る所の話題からそんな感じになっていたな。何か話しにくい事情でもあるのだろうか?
「すいません、もし良かったらなんですけど今日1日泊めてもらえませんか?」
「え、えぇぇぇぇ!?そんな見ず知らずの人。それに男性に泊めてもらうなんてよくないですよ!」
正直何考えてるんだこの人はって思った。だって普通泊めてくださいなんで言うか?見ず知らずの他人、しかも男性に。本当にいいのかな?
「泊めてもらえればなんでもします!だから、だから!どうか泊めさせてください!」
とても必死だった。目は少し潤み、声には必死さがとても強く感じられた。そんな人を見過ごすわけにもいかず。
「分かりました。でもなんでもはしなくていいです。でも本当にもう大丈夫になって、帰る場所ができたら帰ってください。1日だけとは言わないので、僕の家を帰る場所にしてはいけないですよ」
なるべく安心するように言うよう心がけたが大丈夫だろうか?まあ家に一人来ても全然大丈夫だろうし。
「じゃあこっちです」
「本当にありがとうございます!」
「いえいえ」




