第1話
第1章 優しさとは
優しいという言葉を皆んなよく使うけど、僕は嫌いだ。なぜなら真の優しさは、存在しないからだ。まず優しさには2種類存在し、1つ目は相手のためだと思い込み、甘やかすその時限りの優しさで、2つ目は相手の将来を思って厳しくする未来の優しさがある。1つ目に関しては、世間一般的に優しさと呼ばれる。でもこれは、相手の将来を壊しかねない。2つ目に関しても、相手の将来を思ってもその行為が相手のことを本当に尊重した未来とは限らないし、成功するとも限らない。だから真の優しさとは存在しないと僕は思う。
「千秋くん、そこの本片付けたらもう帰っていいよ」
「はい」
こんな哲学チックな無駄なことを考える僕、千秋無一は、平凡な高校1年帰宅部、いまアルバイトが終わろうとしてるところだ。訳あって今は一人暮らしをしている。
「ありがとうございました。先あがります」
「気をつけて帰ってね」
この本屋の店主の真美さんは、僕の従兄弟でアルバイトを誘ってくれた恩人なので、できるだけ沢山日にちを入れるようにしてる。
こんな僕にも楽しみがある。それは、アニメ鑑賞だ!アニメは見るだけで気分が晴れる、よく(遊びなら某テーマパークでしょ!)とか言うやついるけどアニメ見てる方がよっぽど楽しいなと思う。今日は、その中でも特に好きなアニメの2期と、原作から楽しみなアニメが放送されるから、想像するだけでニヤニヤしてくる。早く帰るか。
そう心に決め、いつもより早歩きをして帰る。
だが、僕はまだ知らない、この帰り道から僕の日常が少しずつ急変していくことに。