第85話 影鬼5
鬼は心臓を貫かれ死んだはずである。
しかし、貫かれ壊された心臓は再生を始める。
鬼のこぶだらけの体が滑らかに変化する。
たけるに切り飛ばされた右手も再生している。
鬼は、鈴鹿の血肉を取り込み、体のつくりが変化したのだ。
鬼は、鈴鹿の前に立つ。
たけるは刀で手のひらを切り、彼の刀、羽左衛門ノ贄ノ夜叉に血を吸わせる。
刀は赤く輝く。
彼は刀で影を切りつける。
影は裂け、波立つ。
彼は、裂け目から影の中へ入る。
中は黒く暗いが鬼と鈴鹿の姿は、はっきり見える。
たけるは鬼の後ろに立って言う
「鈴鹿、大丈夫か。」
「ええ、鬼が私の血肉を取り込んで強くなったわ。」
「切るのに変わりはない。」
たけるは言い切る。
鬼は右手刀で鈴鹿の心臓を狙うが、彼女は避け、右腕を切り落とそうとする。
しかし、鬼は素早い動きで刀を避ける。
さらにたけるが後ろから切りかかるが、鬼は体を傾けぎりぎりで避ける。
鬼は、左の手刀でたけるの首を狙う、彼は神速で後退して避ける。
さらに鬼は追撃して、左の手刀でたけるの心臓を貫く。
たけるは、目の前が暗くなり倒れる。
鬼は左手に付いた血をうまそうになめる。
鈴鹿は怒り、神速で鬼の前に立つと首を狙って刀をふる。
鬼は半歩下がり体をそらし、刀を避ける。
鈴鹿と鬼の戦いは膠着状態から徐々に鈴鹿が押され始める。
彼女は鬼の手刀をかわしているが、体に鬼の手刀でつけられた傷が増えてくる。
しかし、傷はふさがり消えていくので大きなダメージにはならない。
鬼は鈴鹿の刀を完全にかわしている。
戦いは鬼に優位に進んでいるが、一点見落としている。
鬼の心臓に刀が生える。
刀は赤く輝き鬼の血を吸っていく。
たけるの心臓が再生して復活すると鬼の後ろから刀で心臓を貫いたのだ。
呪われた鬼切の刀は鬼の血を吸い尽くす。
鈴鹿はミイラ化した鬼の首をはねる。
すると鬼の鬼気は消える。
外では影に変化が起きる。
影が盛り上がるとはじけて消える。
後には、たけると鈴鹿、鬼の死体が残る。
たけるは気持ちを落ち着け刀を鞘に納める。
刀は虚空へと沈んでいく。
彼の心の中はまだ鬼への憎しみで満たされている。
憎しみの沼の中でもがき這い出ようとする。
その時、暖かい光が差し、彼は這い出ることができる。
たけるが気が付くと鈴鹿が抱き着いている。
「助けに来てくれたのね。」
「ああ、当然だ。」
たけるは照れくさそうに言う。




