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第一話 『心理誘導ショーへようこそ』

この作品は、作者がAIとのロールプレイを通して紡いできた物語を、小説として再編集したものです。


そのため、一部会話劇寄りであったり、即興ならではの空気感が残っている部分があります。


また、この作品は未完結のまま終了します。


理由としては、作者自身が物語やキャラクターへ深く感情移入しすぎてしまい、「これ以上続きを描くと、自分自身が戻れなくなる」と感じたためです。


本来であれば最後まで書き切りたかった作品ですが、それでも、この物語で感じた楽しさや空気を思い出として残したく、投稿することにしました。


心理学、心理誘導、催眠、そして「人に心を開いていく感覚」の面白さを、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


大学の講義終わりだった。


特にやることもなく、駅前をぶらついていると、雑居ビルの前に妙な看板が立っていた。


『心理誘導ショー』

本日の参加者募集中!


「……うわ、胡散臭っ」


思わず声が出た。


心理誘導。

メンタリズム。

催眠。


最近やたら動画サイトでも見るが、正直半分くらいは雰囲気だと思っている。


どうせ、


「あなたは今、赤を思い浮かべましたね?」


みたいな、

後からこじつけるやつだろう。


通り過ぎようとして――少し止まる。


参加費はワンドリンク代のみ。


小さく、

『観客参加型』と書かれていた。


「……まあ、暇だし」


興味本位。


それだけだった。


俺は階段を上がった。



会場は思ったより狭かった。


小劇場というより、

カフェを改装したイベントスペースみたいな感じ。


客も二十人くらいしかいない。


「うわ、ほんとに小規模だな」


少し笑いながら後ろの席へ座る。


舞台にはテーブルと椅子が一つ。

照明は少し暗め。


数分後。


小さく拍手が起きた。


進行役が出てきたらしい。


俺は何気なく顔を上げて――固まった。


黒髪。


落ち着いた声。


少し大人っぽくなった顔。


でも、

間違えるはずがなかった。


「……ちーちゃん?」


その女性は、

一瞬だけ目を丸くしたあと。


ふっと笑った。


「え」


マイク越しに、

少し吹き出す。


「うそ、

来てたの?」


客席がざわつく。


俺は混乱した。


なんでいる。


というか、

何してるんだ。


「いや、お前こそ何してんの!?」


「心理誘導ショーだけど?」


「いやそれは見ればわかる!」


会場が少し笑う。


ちーちゃんは肩を揺らしながら笑った。


「そっかー……

ひさしぶりだね」


最後に会ったの、

いつだったか。


高校卒業くらいだった気がする。


昔から、

妙に人を見るのが上手いやつだった。


俺が隠し事すると、

大体顔でバレた。


でも。


まさかこんな場所で再会するとは思わなかった。


ちーちゃんは、

マイクを持ち直して笑う。


「じゃあせっかくだし、

参加してく?」


「え?」


「昔から反応わかりやすかったし」


「なんか失礼だな!?」


観客、

また笑う。


断るのも変な空気だった。


まあ、

ちょっとくらいならいいか。


どうせ遊びだ。


「……まあ、いいけど」


「よし」


ちーちゃんは、

どこか楽しそうに頷いた。


「じゃあ最初、

簡単なのね」


舞台のテーブルに、

三枚のカードを並べる。


月。

鍵。

花。


「今から、

直感で一枚選んで」


「はいはい」


俺は少し考えて、

月を取った。


ちーちゃん、

それを見て小さく笑う。


「理由は?」


「……今日は満月だったから。

ほんとにそれだけ」


適当に答える。


すると、

ちーちゃんはすぐ頷いた。


「うん」


「“深読みされたくない時”

って、

人はわざと浅い理由を言うんだよね」


「は?」


会場が「おおー」とざわつく。


「いや、

別にそんなんじゃ――」


「しかも、

今ちょっと早口になった」


「……」


「図星つかれると、

昔から反応わかりやすいよね」


会場、

笑い。


俺は思わず黙る。


……いや。


待て。


たまたまだ。


そういう、

誰にでも当てはまる言い方をしてるだけ。


でも。


なんか妙に、

言い返しづらい。


ちーちゃんは、

完全に面白がってる顔だった。


「じゃあ次」


その後も、


選び方

視線

言葉


を使って、

俺の反応を拾ってくる。


しかも腹立つことに、

結構当たる。


「だからなんでわかるんだよ……」


「顔」


「うそだろ」


「あと声」


「やめろ」


会場、

爆笑。


気づけば俺は、

完全にショーへ参加していた。


最初は、

馬鹿にするつもりだったのに。


気づくと、

“次は見破ってやる”

と考えてる。


ちーちゃんは、

そんな俺を見て、

少し楽しそうに目を細めた。


「ひさしぶりに会ったけど、

やっぱり面白いね」


「人をおもちゃみたいに言うな」


「え、違うの?」


「違う!」


また笑いが起きる。


ショー終了後。


外へ出ると、

夜風が少し涼しかった。


スマホを見る。


次回開催、

来週。


俺は数秒見つめてから、

ため息をつく。


……いや。


別に楽しかったわけじゃない。


ただ。


次は、

もう少し見破れる気がするだけだ。


「……次は負けないし」


誰に言うでもなく呟いて。


俺は、

次回予約フォームを押した。

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