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九素崎っ降臨!

最近、基本的に五千文字投稿となっています。

ズッバアアアンッ!!


「ぎゃー-!!!!」

「なにー---!!???」


 …………ん?


「なんで、お前また俺の部屋にいんの?」

「……部屋を間違えた」

「一回自分の部屋入ったよな?」

「カイと寝たくて。てへっ」


 イラッ


「〈衝刃〉ッ!」

「〈聖天結界〉ッ! もう、毎朝恒例だよね。魔法合戦」

「いいじゃねぇか。ラジオ体操代わりに。それで? 起きる原因になった、ズッバアアアンッ! って何?」

「さあ……私も分かんないんだよね。魔法というよりは、斬撃っぽかったかな?」

「おーん……もしかして、壁の傷跡、それじゃね?」

「確かに」

「方向からすればあっちだな。よし、行くか」

「え、もう行くの!?」

「あ、顔洗っとけよ」

「うん!」


 ふむ。確か、あっちは騎士団が訓練してるんじゃなかったか?

そちらから斬撃が飛んでくるとは思えないんだが。

……いや、九素崎がいたな。忘れてたわ。


「準備できたよ~、行くの?」

「……原因知りたいし、行くか」

「なんでそんな、覚悟を決めたような顔してるの!? 何かあったっけ?」

「九素崎」

「うっわあ……今、一気に行く気なくなった」

「そんなこと言うなよ。ほら、行くぞ」

「ちえっ」


 まあ、九素崎は騎士団長直々に教えてもらってるらしいし、何より勇者だし。

俺より強いのは気に食わんが……そうじゃなきゃ困るしな。

お、屋外訓練場だ。居るねえ。


「あー訓練場の壁も壊れてるから、()()()()()()なんだね?」

「多分な。はあ~九素崎が面倒起こしてねえといいけど」

「ほんとそれ。今からでも帰らない?」

「それはダメ。あいつの実力も見ておかないと」

「ぬう……」


 九素崎かぁ……めんどくっさいよな……

だけど、一応勇者だし。騎士団長に聞きたいことだってある。

あ、いた。

なんだ? 中心に集まっているぞ?


「おい! ザキポン! なんてことするんだ! 斬撃が飛んだせいで城の一部が壊れたじゃないか!」

「俺たちの寮もあるんだぞ!」

「ああ? うっせえな。お前らが止めればよかっただろうが。あの程度で騒ぐんじゃねえ」


「「……あいつなんかやったな」」


「ザキポン……騎士団とも仲良くしてくれぬか。あやつらも、この国を守るために鍛錬を怠らず、日々精進している。それを、異世界に来て数日のお前に負ける訳にはいかんと思っているのだろう」

「知らねえよ。騎士団の一人はクソ雑魚村人に負けたんだろ? ということは、騎士団とやらはその程度だろ? その程度で俺に勝とうと思うなよ! 雑魚が!」

「なっ……! 言わせておけば……!」

「……なあ、鏡花。どうする? 止める? 帰る?」

「……騎士団の人たちが可哀そうだから止めようか」


 九素崎……なんで喧嘩売ってんだよ。

はあ、めんどくさいな。

一応、昇華神剣を背中に刺してあるため、すぐ抜くことができる。


「おい、九素崎。あんまり、騎士団の人たちに迷惑かけんなよ?」

「ああ? って、時兎かぁ? 雑魚が何の用だ?」

「私もいるけどね」

「これはこれは鏡花様! 俺の勇士を見に来てくれたんですね!」

「……ゲホッゲホッ! 今日はカイについて来たんだけ」

「ああ、お前がどんだけ強くなったかの把握。それと、騎士団長に質問がある」

「ああ? てめえごときに俺がどれだけ強くなったかだと? 舐めんな!」

「お前、ステータスウィンドは開けるのか?」

「開けるが、なぜ見せなければいけない? 見せるわけねえだろうがバーカ!」

「もう、鏡花の前でも猫被んねえじゃねえか」


 この世界に来て頭がおかしくなったか?

いや、元からおかしかったが、鏡花の前では俺頼れるやつだよ! アピールをしていた。

何故だ……?

ま、興味ないからいいんだけど。


「〈究明〉」

「……っ!? なんだ? 俺に魔法をかけたのか!?」

「ステータス、視させてもらうぞ」



九素崎 奔之介

職業:勇者(?)

Lv:2

魔力純度:紫

称号:愚者

固有スキル:不快領域

スキル: ……未獲得



「……鏡花、視てみ。恐ろしいほどにゴミだ。すがすがしいほどにゴミだ(奔之介……)」

「称号、愚者。固有スキル、不快領域って……逆に珍しいんじゃ……(奔之介……)」

「あれ? ってか、騎士団と一緒にダンジョンにもぐったんだよな? なんでレベル二なんだよ」

「あ? 知らねえよ。潜りはしたが、ずっとぼーっとしてただけだぞ?」

「なんだよコイツ。めんどくせえな」

「おお、カイ殿。来ていたのか」

「騎士団長……今、俺はすごくあなたに同情する」

「? ……そういうことか。ありがとうな。それに、君は本気を出したら、私よりも強いようだが?」

「ご謙遜を。スキルも含めればあなたの方が強いですよ」

「フ、謙虚でいい子だ……」


 こんないい人の手を煩わせるとか……九素崎ぃ……

ってか、めっちゃいい人じゃん。そんで、ごく自然に俺のステータスを覗いて来やがった。

開眼のことも知られた。やっば。えぐいくらい、実力者だな。


「それで? 何か、私に聞きたいことがあるようだったが、何が聞きたいのだ?」

「魔王についてだ」

「ほう。魔王の何が知りたいのだ?」

「レベル。どうしても不可解な点がある」

「その不可解な点とは?」

「じいちゃん……先代勇者のレベルはカンスト―――つまり、999だった。しかし、魔王には力で押し負けた。レベルが同じならば、勇者と魔王は拮抗するはずだ。成長率、ステータスが同じはずなのだからな」

「……まず、称号に【魔王】を持っていたこと。この時点で魔王は強化されている。勇者も、真の勇者になった時【勇者】を手に入れたみたいだが、それでも負けた理由。それが、Eだ」

「E? ……もしかして」

「よく知っているな。ああ、そうだ。Lv:E(エラー)、天元突破した者の証だ。999のその先。たどり着いたものは極僅か。その領域に達している魔王には勝てなかったのだ。まあ、民からの想いを自身の強化につなげる魔法を使っていたのもあるがな。これで満足か?」

「……ああ、そうだな。ありがとうございました。また、お邪魔さしていただきます」

「いつでも来るといい。待っているよ」

「待てえええええ!!!」


 ハイキター。ゴミ来たー。

なあ、どう思う? せっかく、ここでは何もせずに見逃してやろうと思ったのに、自分から突っかかって来るんだぜ?

はーめんどくさ。


「おい! 俺は、お前よりも強いに決まっているだろう! ここで、決着をつけてやる! そして、鏡花様を俺のものにする!」

「私、勝手に、九素崎のものにされたくないんだけど……」

「……今はもうクビになった騎士団の一人に言った言葉があるんだよ。彼我戦力を誤認するなって。あんときは、ステータスが見れなかった。だが、今は見える。具体的な力の差が見えるんだよ。なんなら、俺のステータス見るか?」

「うるせえ! 死ね!」

「うん。分かってた。お前らみたいなキャラって、驚くほどにパターン同じだもんな。エスターとやらも同じだったよ」

「おらっ、勇者の斬撃を食らいやがれっ! 〈光翔斬〉ッ!」


 ズババババッ!!


 迫りくる数多の斬撃。それを横目で見ながら、昇華神剣を抜く。


「はあ……えいっ」


 スパンッ♪


「な!? ぐあっ!!」

「いや、その魔法斬っただけだぞ? だが、お前の魔法は、浅くて軽い。そんなので自分が強者だとよく言えたな。村人に負ける勇者とかw  大した努力もせず惰性を極めているからそんなことになるんだよ。この世界に来て数日で、お前は何をした? ただ、騎士団の迷惑をかけて、城の食料を減らしただけだろ? そんな奴が、常に進化してきた俺に勝てるわけないだろうが」

「ぐっ……うるせえっ! 俺がお前に負けるわけないっ! うおおおおおっ!」

「はあ、学習能力なさ男かよ」


 がむしゃらというわけではなく、一応は騎士団の剣術通りに剣を振ってるっぽい。

そう思ったのは、剣筋がエスターに似ていたからだ。

うーん。だが、騎士団でも下から数えた方が早いって言われた奴より剣の振りが遅いのは、もう救いようなくないか?

ああ、かといって、ここで殺したら勇者殺しの汚名を着ることになるからな。

さて、どうしたもんか……あっ。


「そうじゃん。あれがある」

「あ? んだと? うおおおおお!」

「剣式、搦型」

「来た来た……っ! 魔星武術ッ!」

「栄枯盛衰!」


 スッ……スッ……スッ……


「はっ! 全部かすり傷だぞ? そんなんで、俺に勝てると思っているのかぁ? ハハハハハ! 死ね!」


 闘式もそうだが、搦型は基本的に相手を弱らせて、行動不能にする技だ。

闘式では、生命力の起点を突いて、行動不能にした。

剣式は、全身に張り巡らされている、生命力の()を斬っている。

あくまで、表面を斬らなければいけないので、かすり傷だ。


「うおおおおおっ! ッ……! がっ!? 何故っ!? 動かねぇんだよぉっ!」

「さーて、帰るか~。ん?  鏡花は?」

「……へえ~! そうか、ここを斬って、力を伝えさせないようにしているのか~。これが魔星武術……より習得したくなった!」

「おい、九素崎をツンツンすんな。こいつの顔が気持ち悪いことになってんぞ。まあ、そうだな。もうちょいでじいちゃんに会いに行くしな。そしたら教えてもらえ」

「そうする! めっちゃ楽しみ!」

「んじゃ、帰って魔法創ろうぜ。アイデアが溢れ出てくるからな」

「創造者だよねーもう。うん! 創ろうか!」


 顔が〝見せられないよ!〟状態の九素崎は放置して、さっさと帰る。あ、待てよ?

九素崎に魔法の実験体になってもらうか。


「ッ! 何しやがる!? おい! その魔法陣はなんだ! おい! 答えやがれ!」

「〈拷問〉」

「ッ!? グアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!??? がああああああああああああああああああっ!!!!!」

「おお、こんな風になるのか。ものすごくやばい罪人とか、物理無効の魔物とかにしか使わんとこ」

「な、なに……ぐっ、があああああああああああああああああああああああああ!!!!!?????」

「ああ、それ、内部から破壊する系の魔法をたんまり詰めてあるから、内臓から喰い破られる痛みだろうな」

「な、んだよ、それ……ぐあああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

「大丈夫。上級超魔法〈抗魔治癒〉が、〈中和〉で少し効果を落としながら効いてるから、ダメージは一切負わないはずだ」

「ああああああああああっ!!!!!! があああああああああああっ!!!!!!」


 体を内側から喰い破る〈病虫〉や、〈強制中毒〉、〈器官強制活性化〉、〈神経燃焼〉等々、計十五個入っている。

そんなものを一度に体に入れたら数秒で死ぬだろう。

しかし、そんなところに抜かりはない。

〈抗魔治癒〉を、〈起動〉、〈送信〉、〈条件〉、〈再始動〉などの回路系魔法を使い、循環機構を創ったため、絶え間なく回復しているはずだ。

そして、〈抗魔治癒〉の神髄は、〈治癒〉よりも高い回復力より、自身を苦しめている原因を取り除くことにある。しかし、〈中和〉されていることによって、ただ回復効果が高いだけになっている。

よって、拷問の名にふさわしい苦しみを常に味わい続けることになる。


「ん、いい実験結果になったからな。もう解くか。ほれ、もういいぞ」

「…………あぐっ、ひぐっ」

「……あーやっべ。癖がついたか」

「癖? どういうこと?」

「〈拷問〉の中に入っている〈強制中毒〉。あれ、体内に魔法を馴染ませやすくするために入れたもんだけど、切れた後も中毒症状が出て、少しアヒアヒするかも」

「恐ろしい魔法だね……」

「なんで、こんなもの創ろうと思ったんだろ。まあいいか。帰るぞ」

「うん!」


 さあーて、聞きたいことも聞いたし、やりたいことも済んだ。

あと今日することと言えば、魔法創るぐらいか?

ああ、あと、レベルEのことを聞いて、俄然監視者たちに会いたくなった。

あいつらだって、エラーに到達している。

その方法が知りたいのだ。

俺も、常識外のレベリングをすれば999レベまでは簡単だろう。だが、その先へはどうしてもいけない。

エラーの存在は知りつつ、たどり着く手段が分からなかったのだ。

……ひとまず、レベリングだな。

よし、具体的な目標ができてきたな。



自室にて


 ここで、プロローグの冒頭に戻る。


「うーん〈調理〉と〈作成〉合わせてみる?」

「あー、作るもの系で?」

「そうそう」

「あ、じゃあさ、〈作成〉を圧縮して、〈錬成〉作ってみる?」


…………


「ん!?」


 バッ!


「どうしたの? カイ」

「いや……どうも不快な魔力がこの城から出たようでな。気のせいならばいいんだが……」


ダンダンダン!!!


「はーい! 今出まーす!」

「誰だろうね……?」

「さあな」


 バゴォー-ン!!


「うわああああっ!!!!!! エル!?」

「ええええええっ!!!???」

「はあ、はあ、皆さん、ご迷惑おかけして申し訳ありません! ですが、緊急事態なのです!」

「……何?」


 取り敢えずエルが破壊した扉を〈錬成〉で直しながら、話を聞く。

……この部屋の扉、鏡花にエルに、よく破壊されてんな。可哀そうに。

おっと、話が逸れていた。それで? 話とは!!?? なんだ!


「ザ、ザキポンさんがいなくなったのです!」


………………


「「はあ!!!!!?????」」




様々な部分の直しを致しました。

魔法は〈〉、スキル、称号、職業、剣等は【】となっています。

『』は、微妙なラインなので、ま、これでいっか、となっています。

間違えている場合は報告よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ザキポンさん久しぶりに見たと思ったら、すぐに消えましたね…。最近更新多くて助かってます、これからも頑張ってください!!
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