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人造神兵 9

少し間が開きました。

 陽月の元に転移した鬼龍は複数の足跡やえぐれてる地面、倒れている木々を見て戦闘が終わったことを察していた。

 そして陽月に怪我が無いことを確認する。


「大丈夫か?」


 目で見ても外傷はないが一応訊いてみる。


  陽月が自分の体を見渡す。


 「見ての通り怪我はしてないよ。てか、来るにしても少し遅くない?」


 陽月が鬼龍を睨む。


 確かに鬼龍がここに到着したのは遅かった。荒野での戦いが有りはしたが、実際その気になればここの状況を把握できることも可能だったのは確かだ。

 全知全能の力を封印していても龍の力はまだ残っている。


 鬼龍の龍の目は物の距離や空間、時間を関係なしに視る事ができる。

 その力を使わなかった鬼龍のミスだろう。


 「ごめん」


 鬼龍は一言だけそう言った。

 彼の表情を見れば、次は同じ事をしない覚悟が伝わってくる。

 それほど鬼龍にとって陽月が大事なのだろう。


 それに対して陽月の表情は先程とは違い穏やかなものだった。


 「嘘よ嘘、少しからかってみたかっただけ。だからそんな顔をしないで」


 陽月がニッコリ笑いながら鬼龍に近寄る。


 「私はね全てを鬼龍に頼りたくないの。自分で出来ることは自分で解決したいの、だけど私が自力でどうにか出来ないことは鬼龍に助けて欲しい。だからそのときは助けてよね」


 そう優しく鬼龍に語りかける陽月。

 この言葉にまいったなの表情をする鬼龍。


 「あぁ、もちろんだ」


 その言葉に鬼龍は頷く。


 「あ、勿論鬼龍が助けてって言ったら私はすぐにでも助けに行くからね」


 徹夜で魔力を貯めていたためか今日の陽月はいつもよりテンションが高く饒舌だ。


 陽月は睡眠の云々でなきゃ鬼龍への態度が変化する。

 それに対して周りへの態度には全く変化はなく、いつも変わらない。

 それはもしかしたら彼女が鬼龍に対しての特別な感情を抱き続けているからかもしれない。


 「あぁ。そうさせてもらうよ」


 鬼龍はそう言うと辺りを見渡す。


 「ところで主、ことあとはどうするんだ?」


 今まで話に加わらなかった黄守が鬼龍に近付いてそう言った。


 「んー とりあえずここに攻めてきた奴に後悔させてやるか」


 そう言うと鬼龍は戦った跡が残っている方に振り向く。

 鬼龍の目が龍の瞳に変わる。


 鬼龍は眼だけを龍神化させた。

 今の鬼龍は陽月と同じように力を完全にコントロールしており、龍神化したのに全く周りに影響は出ていなかった。


 「貴様らに仮初めの体を与えよう」


 鬼龍は戦闘の跡地にそう言うと、そこの地面から無数の骸骨が姿を現す。


 「これからは俺に従え、異論は認めない」


 鬼龍が喋り続けている間にも骸骨達はますます数を増やしていってる。


 「まず最初に与える命令は、お前らをここに差し向けた者の場所に出向き、殺せ」


 鬼龍がスケルトンと呼ばれる骸骨のアンデッドに命令を与えたときには、その数は千を越えていた。


 その三千のスケルトン達は先程陽月に殺された神格を持った人間だ。


 鬼龍には全知全能以外にも様々な能力を持っている。

 このアンデッドを生み出した能力も数ある能力の一つだ。


 「やることエグいわね」


 乾いた笑みを作りながらそう言ったのは意外にも陽月だった。


 スケルトン達が駆け足で山を降りていく。

 数千のスケルトンが山を降りていく姿はまるで、統率された兵士の進軍のように綺麗な列を作っていた。


 「敵の大将も思わないでしょうね、まさか自分の軍隊が全員骨になって帰ってくるなんて。しかもそいつらに襲われるなんて」


 陽月はスケルトン達が消えていった方を見ながらそう言った。

今回も読んでいただきありがとうございました。

不定期の更新ですがこれからも読んでいただけたら幸いです。

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