赤槍ダディレク
短いです。
放課後。
授業が終わり、俺達は第三演習場に来ていた。
ここに居るのはいつもと同じように結城朱里と泉雫、そして時雨と白だ。
最近の放課後はいつもここで模擬戦や意見交換をしてる。
俺にはあまりやる意味は無かった。
だが、正直俺にとっては今挙げたことより、クラスメイトとの交流が目的だったので問題はない。
「鬼龍君、今日はどうする?」
朱里が俺の側に近寄りそう言い、その朱里の後ろにはいつものように雫がいた。
朱里が訊く今日はどうする? とは、今日の模擬戦の組み合わせだろう。
「んー 今日は時雨と雫。俺と朱里かな」
俺は今考えた組み合わせを三人に述べた。
今回の組み合わせは刀のを使う時雨と同じく妖刀を使う雫と召喚獣を使う俺と朱里のペアだ。
お互い組むのは初めてなので息を合わせるのは難しいかもしれない。
だが、似たような戦闘スタイルなのでお互いの悪いところを指摘できたらいいと思ったんだ。
「じゃあ少し作戦を練るから、五分後に始めるか」
という訳で俺は朱里と作戦会議だ。
作戦は俺が立ててもいいが、全知全能を持っている俺が作戦を立ててもあまり意味がないので、今回は朱里に任せることにするか。
俺達は少し離れた位置に移動して作戦を考える。
まあ、考えるのは朱里だが。
「じゃあ朱里に作戦を立ててもらうから。任せたよ」
まあ、実際こんな状況での実戦では作戦なんてあまり役に立たないだろう。
いや、実際なら作戦を立てることができないだろう。こんな開けた密閉空間では。
「いきなり作戦って言われてもな~ 正直鬼龍君が指示するんだと思ってたからな~」
朱里は顎に手を当てて少し考え始めた。
朱里め人任せにするつもりだったな。
心の中で俺はそう思ったが事実頼られている部分もあるので少し嬉しくもあった。
「じゃあ、私のサラマンダーで二人を足止めするから、その間に鬼龍君が二人のうちどっちかを戦闘不能にするのは? できれば二人ともがいいけど」
朱里は悩むそぶりすら見せずにそう言った。
朱里は見た目によらず頭の回転が早いみたいだ。
いや、以外にもは失礼か。
現に朱里は四大精霊の一種のサラマンダーとの契約をしているのだ。
それはサラマンダー本人が認めないとできない。すなわちサラマンダーが朱里を主と認めたと言うことだ。
「わかった」
ちょうどタイミングよく時雨と雫も話が終わったのかこちらを見た。
時雨の両手に青と紫の剣が握られている。
そして雫は水で濡れたような怪しい輝きのある妖刀が既に握られていた。
「そっちも終わったみたいだし始めるか」
俺は異空間から一本の赤黒い槍を取り出す。
その赤黒い槍には鱗のような模様が刻まれており、先端は二股に別れている。
この槍は赤槍ダディレクという名の槍で古の災害と呼ばれたとある竜が作り出した槍だ。
この槍は折れてもすぐに再生する能力を持っている。
よって時雨の空間を切り裂く剣にも相性はいい。
「鬼龍君、その槍は?」
朱里が俺の槍を見ながら小さな声で訊いてきた。
正直説明をするのがめんどくさいしする必要は無いので適用に言っておくか。
「魔法の槍だよ」
そう言った俺はあることを思い出した。
そういえば二人とも不死の加護を持ってたな。
なら多少やり過ぎても問題ないよな。
それなら場所も変えたいな。
「少し場所を変えるから」
俺は異世界に集団転移をする。
転移した場所は森林が広がる大きな世界。
いや、この世界のどこかには砂漠や海もあるが、見えるのは森林だけということだ。
そしてこの世界は俺が創った世界なので知的生命体は存在しない。
ここなら気がねなく戦える。
「え!? ここは?」
「!?」
朱里と雫は突然転移したことに対して凄く驚いているが、それに対して時雨と白はまったく驚いた様子はない。
「今のは鬼龍が転移で別の場所に移動しただけなので問題はないですよ」
などと時雨は二人に説明している。
白は相変わらず俺に抱きついている。
正直動きづらいが、無理に引き剥がそうとすると泣かれるのでしばらくは放置しようと思う。
「それじゃあ始めるか」
今回も読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。