新しい出会い
新しい登場人物が出ます。
昼休み。俺はこの学園を出て海岸に行ってた。もちろん生徒が学園の外に出るのは許されていないので、こっそり転移した。
転移した先は自宅。自分の部屋だ。
転移する瞬間に部屋に誰か居る気配が有ったので自分の気配を消して相手に気づかれないようにする。
そこにいたのは白い髪の毛に猫耳の女の子の白と。白色のロングストレートに赤い目、服装はいわゆる巫女姿の女の子、龍神代 陽月がいた。
どうやら白は陽月の膝の上で寝ているみたいだ。
「なんで二人ともここにいるんだ?」
そう、二人がいる場所は俺の部屋だ。少なくともここには面白いものは何もないはずだ。なのになんで二人はここにいて白は陽月の膝の上で寝ているんだ?
「あ、鬼龍。実は、鬼龍が行ったあとにこの子が泣いちゃって、どうしたらしようか思ってたんだけど、黄守さんが鬼龍の部屋なら鬼龍の匂いがあって落ち着くかもしれないって言ってたから、ここにこの子を連れてきたら少し落ち着いて寝ちゃったみたい」
陽月は突然現れた俺に驚きもしないで、安心しきった顔で寝ている白を撫でながらそう言った。
「なるほどな」
「そういえば鬼龍はなんで戻ってきたの?」
陽月がそう言った。
「あぁ、皆の様子を見に来たのと、龍鬼に話があって」
俺はここに来た理由を話した。
正直魔法を使えば離れた場所の様子を見ることもできる。だが、実際に会った方がいいと思ったのだ。
ちなみにこの国の法律では犯罪目的や迷惑行為、指定された場所以外の異能の使用は禁止されている。
もしこの法を犯した場合最悪死刑が確定する。
だが、ここは王権国家だ、王の下に法律が有るため俺は自由に使用ができる。もちろん龍鬼もだ。
「なるほどね、みんないつもと同じだよ。あ、龍鬼は海に行ったかもしれないから」
陽月は目をつむりながらそう言った。
おそらく千里眼で皆の様子を視たのだろう。
千里眼は遠くを見通す能力の事だ。また透視もできる。
ちなみにここは異能の利用が許されている場所だ。
「わかった。じゃあ龍鬼の所に行ってくる」
俺がそういうと陽月の膝の上で寝ていた白が目を覚ました。
「一緒に行く」
白は目を覚ますと俺に抱きつきそう言った。
まあ、一緒に連れていってもいいか。泣かれたら困るし。
「白ちゃん。鬼龍私もついていく」
陽月は一瞬白を見たあと何を思ったのかついていくと言い出した。
別についてきても問題は無いがいきなりどうしたんだろう?
「わかった。一緒に行こう」
俺はそう言った。
おそらく陽月がそう言ったのは気まぐれだろう。
龍鬼が居たのは今日の早朝に俺がクトゥルフを消滅させた海から一番近い陸地だった。
昼のため太陽は上に来ており日差しが強いが海からの風が心地よい。
「よ、龍鬼。こんなところでなにやってんだ?」
俺は龍鬼の後ろから声をかけた。
白と陽月は俺の横にいる。
「あぁ鬼龍か。いや、もしかしたら何かあるかもって思ってさ」
龍鬼は周りを見ながらそう答えた。
何もないのは当たり前だ。戦いの痕跡すら俺がすべて消して治したのだから。
いや、冬姫が津波を凍らせた氷は消滅させて、代わりに海水を創造したんだった。
だが、それだけだ。問題は何もないはず。
「なるほどな。だけど心配はいらないぞ、クトゥルフの軍は全滅させてクトゥルフも消滅させたんだ。残るは復活させた、またはそれを指示した連中だけだ」
まだクトゥルフの復活の本をこの国に持ってきた軍艦の件が残っている。どこの国かはまだ聞いていないが明日にでも話し合いにその国に行きたいと思っている。
もちろん二度とこの国に攻めないようにも交渉するつもりだ。
正直毎月この国に攻めてきているらしく正直鬱陶しい。
「その話なら今日の夜からオレと軍の幹部で会議をするつもりだだ。話がまとまったらお前に報告するから待ってな」
龍鬼は意外に考えていたらしい。いや、意外ではないな。龍鬼はこの国の政治の部分を統括しているのだから。
「あ、そう言えば鬼龍。しばらくはこっちにいるの?」
唐突に陽月が俺にそう訊いてきた。
陽月が訊いたこっちとはこの世界の事だ。
詳しくはまた後日話そう。
「龍神王に呼び出しを受けない限りはここに居るつもりだよ。それより陽月、今日寝てないだろ?」
俺は陽月にそう言った。
「え? なんで知ってるの?」
陽月は驚きはしていないが俺がなぜ寝ていないのを知っているか気になっているようだ。
「何年の付き合いだと思ってるんだよ。そんなの見ればわかるっての」
俺と陽月は婚約をしている。いや、正確にはさせられただな。陽月はそれを嫌がるどころかむしろ嬉しがっている。
まあ、俺も陽月がそれでいいなら別にいいが。
その証拠に陽月は顔を赤くして照れている。
「そもそも陽月は寝ていないと性格が変わるからな」
最後の俺の言葉は聞こえていないようだ。
普段の陽月はもっと当たりが激しいと言うかツンツンしている部分があるが、寝ていないと何故か素直になる。正直いつも素直だと助かるのに。
「鬼龍。海の中に強いのがいる」
俺の後ろにいた白が海を指差しそう言った。
白は獣の王。白虎である。そのため生物の感知能力はずば抜けて高い。正直今の状態の俺と比べたら常に周りを警戒しているの分白の方が感知は上だ。
そんな白がいると行ったのだ間違いないだろう。
白が指を指した方向に意識を集中する。
すると確かに気配をかんじる。精霊の気配を。
「何かいるのか? オレにはさっぱりだな」
龍鬼が手を挙げてお手上げのポーズをとってそう言った。
龍鬼は敵意を持った相手ならどこに居ようと見つける事ができるが、それ以外の者の気配は気づく事が苦手だ。
まあ、あの気配はおそらく人間より気配を察知することに優れている龍族でも見つけれないだろう。
「よくワタシに気づけたね」
海の中から出てきたのは、鮮やかな青色の髪をした少女だった。
少女は海面をジャンプをして重力を感じさせないような動きで俺達の前に立った。
「さすがはワタシの半身を殺しただけはあるね」
少女は怪しげに笑いながら俺に向かってそう言った。
次回の投稿は来週の日曜日です。