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学園生活と異変の始まり6

 第一演習場で模擬戦を終えたあと、戦いに参加していなかった時雨の相手をすることになったのは言うまでもないだろう。

 今俺たちが居るのは、学校の近くにあるファストフード店の六人用のテーブルだ。

 ここにいるのは、俺、白、時雨、朱里、雫の五人だ。

 席は俺の横に白、時雨で座っており、俺の向かいには朱里、その横に雫が座っている。テーブルには人数分の飲み物が置かれている。

 ここに来た理由は、反省会をするためだ。


 「まず時雨が悪いと思ったことを言ってくれ」


 俺は模擬戦を見学させていた時雨に、今回の戦いのダメな点がなかったか聞いた。


 「まず、泉先輩から。途中から感情的になりすぎていたと思う。」


 時雨がまず、雫の悪かったところを口に出す。

 ちなみに、時雨は中学生で雫は高校生だから先輩なのである。

 それは、俺も思ったな。表情にはあまり出ないけど雫にも怒りの感情があったみたいだ。


 「うん。それは、私も思った。いつもより余計な感情が出てきたと思った」


 雫は途切れ途切れに自分の感じたことを言った。

 実際雫はあまり怒らないタイプの人間で、あまり感情を表に出さないのもなんとなくわかっていた。

 だが、俺はあえてそこを利用した。

 俺は相手の感情を操ることができる。その能力を使って、雫の怒りの感情を大きくしたんだ。怒りの種になったのは、白を離脱させたことで、馬鹿にしてると思ってくれたことだ。正直これは、俺にも予想外の結果だったので許してほしい。


 「いいところは、最後の広範囲攻撃です。あそこまでの規模の攻撃は室内ではかわすことが難しいでしょう」


 時雨は次によかったところを言った。

 確か、水流斬、あの攻撃は水を数千本の刃に変化させる技だ。

 あれは、俺でも地形を変えないで回避は難しいだろう。

 難しいだけで不可能ではないが、あの場では使う必要は無いと判断したのだ。


 「あの技は私の切り札だったのに。鬼龍さんどうやって消したの?」


 雫が俺に訊いてきた。

 あの能力は消滅。

 消滅は全てを消滅させることができる能力。それは本来の俺の力の一部でしかないが強力な力である。

 消滅は物体だけじゃなく生物、概念すら消し去ることができる力だ。それはここで喋っていいことではない。


 「あれは俺の奥の手だから喋ることはできないな」


 俺は雫にそう言った。


 「わかった」


 雫はそれしか言わなかった。

 雫の表情は変わっていないが、少し残念そうだったのかもしれない。


 「私はそれぐらい。鬼龍は?」


 時雨が俺に話を振ってきた。


 「そうだなぁ。」


 俺の思いつく限り悪いところは時雨が言ってくれた。厳しく視ればまだまだあるが高校生にそれを求めても酷だろう。

 まあ、自分が高校生だと自覚してない言い方だ。とは思った。


 「俺からはいい点を言っておこう。」


 ここまで明るい雰囲気ではなかったので俺はいい話題を出そうと思った。


 「まず一つ目は、最初の不意打ちだな。」


 不意打ちと言ったらあまりいいイメージは無いかもしれないが、不意打ちは相手を倒す手段としては効果が大きい。もしかしたら不意打ちを卑怯と思うものが居るかもしれないが、命をかけた戦いならば不意打ちはよくあることだ。

 少なくとも俺は不意打ちを卑怯だと思わない。

 要するに勝てばいいんだ。


 「あのタイミングで不意打ちは普通なら効果的だ」


 俺は素直に雫を褒めた。

 普通ならあのタイミングでの不意打ちは想像すらしないだろう。だが、雫はそれを考え実行した。

 雫の発想力と実行力は本当にすごいと思う。

 現に俺は雫が不意打ちを実行するまで反応できなかった。


 「だけど鬼龍さんには効かなかった」


 雫はそれだけ言い飲み物を口に含んだ。

 確かに雫の不意打ちは途中まではうまくいっていた。だが、正面から切りかかられたら誰だって気が付く。

 しかも俺は相手の呼吸、筋肉の動きから次の相手の動きを予測できる。

 更に、俺はその気になれば未来だって見ることができるため、俺を倒すのなら俺の未来予知を考慮したうえで攻撃しなければならない。

 まあ、普段は未来予知なんか使わないが。


 「あれは正面から攻撃したからだよ。もしも後ろからだったら危なかったさ」


 俺は雫にそう言った。

 事実後ろからだったら危なかった。


 「じゃあ次は。後ろから」


 雫は俺にサラッと恐いことを言った。

 本気ではないだろうが、知り合って日が浅いので冗談なのかわからない。


 「ああ、お手柔らかにな。二つ目は朱里との見事なチームワークだ」


 俺は雫と朱里にそういった。

 二人は黙っているが表情から察するにお互いのことを褒められて嬉しそうだ。

 少しとはいえ俺を追い詰めたのだから、そこら辺の魔物では相手にならないくらいには強い。

 まあ、この学校でもトップクラスの強さだろうけど。


 「次に朱里だが、時雨は何かあるか?」


 俺はまた時雨に訊いた。今度は朱里のことをだ。


 「結城先輩は特に目立った失敗は無かったと思います。二回目ですから当然でしょうけど」


 朱里と会うのは二回目だがあまり緊張しないで、今回の事を時雨は思ったままに行った。

 確かに今回の模擬戦では朱里は特に目立ったミスはなかった。だが、些細だがミスはあった。

 一つは前衛である雫にばかり頼っていたことだ。もしも、雫が感情に振り回されたときに声をかけていれば、雫は冷静に戦えていたのかもしれない。人は親しい人に声をかけられたら、少しは冷静になれる。

 二つ目は、朱里の判断ミスだ。最後の攻撃の時にサラマンダーは空中にいて熱で空気の実像を曲げて姿を消していたはずなのに、ブレスを吐く寸前に姿を見せたことだ。

 もしも姿を見せずに、もしもブレスすら見えなくしていたら俺に攻撃が当たっていただろう。

 まあ、その場合は俺の後ろにいる二人も巻き込まれていたが、あの程度の攻撃だったら無傷で済むだろう。


 「俺もそう思う。じゃあ、俺からはいいところを言おう」





 この後は俺の悪かった点を聞きたかったんだが二人は見つけれなくて反省会は終わった。

 模擬戦で精霊に興味を持った俺は朱里に精霊の話を聞いてみようと思った。


 「精霊ってどうやって契約するんだ?」


 俺は唐突に朱里に質問してみた。

 正直、教えてくれるは思わない。なぜなら、精霊の召喚の方法は秘術になるので秘密にする家が多いからだ。

 この時の鬼龍は朱里が秘術を使わないでサラマンダーと契約したことを知らなかった。


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