第7話 久しぶりのタッグだね
終礼後にいつものメンバーに守の正体を知ったエリカが加わり、軽く話をしていた
メンバーはジャンヌ以外の全員がこの後に用を控えているため、守はこの後に珍しく暇を持て余すこととなるのであった
「それにしても、こんな時期に王宮から呼び出しをくらうなんて、一体何の用なんだろうな?ことごとく皆が用事があるなんて偶然にしては重なりすぎている」
「守さん付きになるために暇を出したので、本当に心当たりがないんですよ…。私が呼び出されるのは、守さんの専属メイドをやめろっ!なんて言われるんじゃないかって心配してます」
「いくらなんでもヴェルヘルムさんがそんなことをいうとは思わないが…。アディリシアとアキレウスは何か知らないのか?」
「それが今回呼び出された理由は俺にもわからないんだ。ま、ニースは学園に入ってから王宮に来ていないから、ただの定期報告的な感じじゃないのか?」
「私もわからないのです。お父様には学園から帰る際にニースを連れてきなさいと言われています。守様と過ごす大切な時間が…」
「そういうことでしたら、この私が守様と我がオリビア家に招待を!…と言いたかったのですが…私も三大貴族関連で呼び出されていますわ…」
「貴族関連の内容はおそらくハワード家の衰退による今後の貴族の方針についてだろうな」
「後任がガルト家だからこれから先は別の意味で苦労するだろうが、ハワード家よりは多少ましになるだろう」
「私としましてはハワード家との婚姻の件と兄の森の件の両方が解決いたしましたので、ガルト家の破天荒くらい大したことではありませんわ」
「ジルはどうだ?」
「せっかくのチャンスなのに我もこちらの生活についての報告をしに、仲間の元へ行かないといけないのじゃ…。こういうことなら日にちを変えるように言っておけばよかったのじゃ」
「そうか。じゃあ今日は部屋でおとなしくすご…」
「はいっ!はぁーい!私はこの後何もないですっ!守、遊びにいこっ♪」
「はぁ〜…。しょうがないか…」
「世界を救った勇者様はいつも本当に羨ましいのじゃ!!守、今度は我が故郷に遊びに来るのじゃ。守なら仲間たちも歓迎するのじゃ」
「それならば我がオリビア家にもまたいらしてくださいませ。もちろん歓迎いたしますわ」
「でしたら王宮にもいらしてください!」
「いや、王宮には割と行ってるよな?」
守はチャンスをものにできず、落ち込む他のメンバーと別れ、一人勝ち誇ったように喜ぶジャンヌと共に街へ出かけることになる
「…思えば、完全に二人っきりで出かけるのは初めてだな」
「そうだよっ!あの時はそんな余裕がなかったんだから。それをロベルタに先を越されたんだもん。心底ぷんぷんだよっ!」
「いや、あれは回避することができなかったと言いますか…。とにかくアキレウスが全て悪い」
「あらあら〜♪守にジャンヌじゃない。二人しかいないということは、ひょっとしてデート?」
「ちがっ…」「そうなのっ!!」
「…そういうアナト姉は何してるの?」
「今日はちょっとした頼み事をされていてね。今それが終わったところなの〜♪」
「アナト姉に頼み事ねぇ〜…。このタイミングで出てくることを含め嫌な予感しかしないぜ」
「あらあら〜ひどい言われようだこと。二人がデートならばお姉さんは邪魔しちゃいけないからそろそろお暇するわね」
「くっそ…。嫌なタイミングで現れたと思ったら、余分なことを聞いてしまったために気になる」
「じゃあね、ジャンヌに守♪今日も面白い事が起こるといいわね」
「(翻訳すると「このあと愉快な事が待っているよ」ってところじゃないかっ!何だ…何が起こる?最悪だ…この場から逃げたい)」
「ジャンヌ、嫌な予感がするぞ。今すぐに引き返そう」
「え〜っ!せっかく誰にも邪魔されずに守と二人っきりになれたのに、すぐに帰るなんて嫌だよっ!」
「今までの経験からアナト姉のあの感じでわかるだろ。これから面倒ごとに巻き込まれるっていうのがっ!」
「私と守の二人なら何が起きたって大丈夫だって!」
ジャンヌと言い合っているうちに時すでに遅しと言わんばかりに嫌な予感はすぐに回収されることとなる
ジャンヌと守の目の前にかなり焦っている様子の女性が二人に助けを求め、声をかける
「そ、そこのお二方、お助けくださいませっ!」
「どうしたっ!?」「大丈夫ですかっ!」
「わ、私の妹が悪漢どもに連れ去られってしまいまして…」
「なんだって!守っ!助けに行こう!!」
「あ、ありがとうございます。男たちは今私がきた方向の奥の方へ行きました!」
「探知魔法で居場所は把握できた!いくぞ、ジャンヌ」
「(今頃きっと「ぐへへ…」な展開になっているに違いないっ!!か弱い女の子を襲ってそんなエロ同人みたいな展開うらや…許せん!!)」
二人に助けを求めた女性は、すぐに救出へ向かう二人を見送った後、変装魔法を解き、呟く
「……お願いしますね。勇者様に大魔法剣士様。…ご協力ありがとうございました、アナト様。お嬢様もお喜びになられること間違いありません」
「いえいえ〜♪こんな面白そうなこと、関わらないわけにはいかないもの。本当、守が絡むと毎日飽きないわ〜♪」
守は街の離れの人口密度が高い場所に探知の魔法を使い、すぐに場所を把握する
二人は自身の足に身体能力強化の魔法をかけ、最悪な事態は避けたいと急ぎ現地へと向かう
「…不謹慎だけど、この状況に私は少し嬉しいと思っちゃったの」
「なんでだ?」
「魔王を倒して平和な時代がきたから。二人で一緒に戦うなんてもうない事だと思っていたから…。だから久しぶりのタッグだね!」
「確かにそうかもしれんが、相手は魔族でもなく、人間だぞ?殺さない程度にやらないとダメだからな」
「勿論わかっていますよ。そうだ!守、どっちが多く倒せるか勝負しよっ。私が勝ったら、次の休日に守との一日デート権を所望いたします」
「負けたら?」
「うーん。。。実力的にも負けないと思うけど、学園内で抱きつくのをしばらく我慢するとか?」
「よし、のった!ぜってぇ負けねぇ」
「反応速度の速さにちょっと複雑だけど、やったー!!じゃあ、お先に♩」
「せこっ!」
やる気満々のジャンヌは愛剣のレヴィを取り出し、悪漢たちが潜伏していると思われる建物をものともせずに破壊し始める
「(いや…だから…死人だすようなレベルの攻撃しちゃダメだろ…。昔から俺がらみの賭け事をすると猪なんだよね、ジャンヌって)」
守も負けじと愛剣のデウスを取り出し、睡眠系魔法を駆使しながら悪漢たちを無力化していく
嘗ては魔王の軍勢相手に活躍していた二人の英雄と悪漢ではお話にすらならず、悪漢たちはすぐに無力化されるのであった
「ふふふっ!私の方が二人多く倒したね!」
「フライングしといてそんなに勝ちほこるなよ…。それにしてもこの悪漢共はあまりに手応えがなかった気がしたが、気のせいか?おっと、そんなことより、あんた大丈夫か?」
縄で縛られ、上着を少し荒げられている少女の拘束を解き、横たわっている少女を起こす
「…ありがとうございます。ジャンヌさん。それと、ま も る様きゃっ♪」
「お、お前はっ!?」
そう言うや守に抱きつく少女の顔を見て、固まるジャンヌとアナトと出会ってからのこれら全てが仕組まれたものだという事を理解する守であった
二人の愛剣の名前がさらっと出ていますが、レヴィはレヴィアタン(嫉妬)、デウスはアスモデウス(色欲)から取っています。ちなみにアキレウスの愛剣は(ル)シファー(傲慢)ですが、本編に出る予定は今の所ございません。
今回助けた(というより茶番ですが)少女ですが、次回名前含め正式に絡めます。




