第65話 やっぱり男は最高だぜ!!
〜ニース〜
先に屋敷へ戻る守とアディリシアとは別に集合場所へと向かったニースは、全員が揃うまでその場で待機を始める
「…よく考えますと、こっち側は明らかにハズレですよね…」
集合場所で待機を始めて数刻後、当初のメンバーが次から次へと帰ってくるものも、全員が揃う頃には最初より明らかに人数が増えていることに言及せざるをえないのであった
「あのぉー…どうしてもツッコんでおかないといけないと思いましたので、聞きますが、どうして、ジャンヌさん、エリカさん、吸血族のお偉いさんが増えているのでしょう?」
「面目無いのじゃ…。まさか目的の場所にジャンヌがおるとは思わなかったのじゃ…。それに何も収穫がないのじゃ」
「私たちは…予想はついていたけれど、このですわ女が勝手についてきただけよ?そもそも私たちは同行を許可していないわ。私たちも収穫はないわね」
「つ、常に鼻息が荒くて怖かったです…(ボソッ」
「守くんが窮地という話を伺ったのでだな。是非とも協力をとジル姫に願い出たのだ」
「守が女の子になっているんでしょ?ひどいよー!!みんなは堪能して私はダメだなんて言わないよね?」
「そうですわ。二度とお目にかかれないかもしれないそれを何故知らんぷりできましょうか!!」
「ジャンヌさんとエリカさんの理由が酷すぎますが…わかりました!わかりましたから寄ってこないでください!!怖いです!!」
「こちらもアイシェの持っている文献では解決に至る方法はなさそうでした。守様のお役に立てず、このメイ一生の不覚!!」
「…申し訳ありませんお嬢様」
「わたちとちましては、少しちゅうかくがありまちた」
「それよりも、守たちは?なぜあなただけここにいるのかしら?」
「はい、ちゃんと情報共有いたしますよ。アナトさんの行き先なのですが、今頃は屋敷に戻っているだろうというお話でして…守さんと姫様は先に屋敷に戻りました」
「じゃあ、急いで行かないとね!!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいませ。屋敷ってなんですの?まさか…」
「あっ」
この場にいるメンバーの中で、エリカ、メイ、アイシェ、ヴラドは守が屋敷を構えたことを知っていないことに口を滑らせた後に気づいたニースは、やってしまったと言わんばかりに硬直する
「あはは〜…屋敷というのはですね〜…ど、どうしましょう、ジルさん?」
「こ、こんなときばかり我に振って欲しくないのじゃ」
「あ〜あれなんだよ!!最近姫様が宮殿付近に屋敷を構えたんだよ!!」
「いくら勇者様といってもごまかされませんわ。アストン皇国のトップが動けば、その直属のお家にも情報は流れてくるのです。アディリシア様の名義で屋敷が建ったという話は以前に伺ってましたが、この反応はやはり…」
「ぐ…ぐぬぬぬ…その結論にたどり着きたくはありませんでしたが、ぐぬぬぬぬ…」
「ちょっ…メイさん、そんなに血涙を流しながら近づかないでください。怖いです」
「一体何人守様と同居しているのです!!さぁ、吐きなさい!!」
「やっぱりハズレクジだったじゃないですか!!た、助けてくださいー!!」
この後、ストーカーの執念と流している血涙に圧倒されたニースは全てをゲロってしまうのであった
「…ここ数日寮の方を覗いても守様の気配がしないのはそういうことでしたか。ぐぬぬ…守様が私に対抗して監視対策を強化したのかと思い喜んでいたのが間違いでした」
「喜ぶポイントおかしくないかしら?この守狂信者」
「…お家に来ていた連絡を真面に聞いていなかったのが仇となりましたね」
「守くんも自身の屋敷を構えたか。養子入りが叶わなくなり残念だが、これでよかったのだろうな」
「それよりもここにとどまっていないで早くいきませんこと?守様が元に戻ってしまいますわ。せっかくの機会をみすみす逃してしまいますと死んでも死にきれませんわ!!」
「…エリカさんも初対面の時の厳しさは微塵も感じられないほどに変人化しましたね…」
集合場所に集まった多数の仲間たちは、それぞれに思惑はあれど、急ぎ屋敷へと向かうのであった
〜守〜
屋敷へと急ぎ戻る守とアディリシアの二人を、守達が戻ってくるのを待っていたと言わんばかりにアナトは堂々と構えている
「ハァ…ハァ…探したよ、アナト姉」
「あら?思ったよりも早く戻ってきたわね♪そのハァハァ言っているの女の子だからセーフだけど、おじさんだと危ない人に見えるわよ。それで、女の子で一日過ごしてみた感想はどうかしら?」
「女性の守様でも守様であれば、何も問題はありませんでした」
「…二度と経験したくないと思ったよ。さぁ、イタズラは満足しただろ?そろそろ戻してくれないか?」
「あら、守ならきっと自分で解析して魔法解除までもっていくと思っていたのだけど、少なくとも旅時代の守であれば、今頃実力で元に戻っていたと思うわ。平和な世になって少しボケているのかしら?」
「確かにアナト姉の言う通り、少し緊張感が抜けていたのかもしれないな。新たな脅威が迫っていると言うのに、このままではダメだと思い知らされたわ」
「ま、その感じを取り戻してくれたのであれば、今回は良しとしましょう♪」
アナトはそう言うと、自身の魔法を解除する
すると守の体はみるみるうちに男へと戻っていくのであった
感動のあまりなのか守は自身の体を触りだし、確かな感触に満足する
「ない!ある!…よし、やっぱり男は最高だぜ!!」
「先ほどは、ああ言いましたが、やはり守様は男性の方がよいですね」
「うふふ、それには同意するわね♪でも、女性ものの服を着ているのは----」
「あーーーーー!!!」
タイミングがよかったのか悪かったのか判断のつかないその場面で、集合場所に合流組がやってくるのであった
「女性ものの服を着ていますが、男に戻っていますわ!」
「ぶっーー!!なんですぐに戻しちゃったのかなぁ〜」
「ちょっと待て!!色々突っ込みどころが多いんだが、なんで、ジャンヌ、エリカ、ヴラドさんがここにいるんだよ!!」
「それは…色々あったのですよ…ええ。どうかハズレクジを引いた不甲斐ないメイドを許してください」
「はぁ…メイとアイシェさんもいるし、結局この屋敷のこともバレてるんだろ?」
「ふふふ…知ってしまったからには、覚悟してくださいませ」
「…ところでいつまでその女性ものの服を着ているのかしら?着れているのもどうかと思うけど、さすがにその状態は…」
「すぐに変えてきます!!」
男に戻った感動や屋敷に住処を変えたことを教えていない人物たちに知られたことなどへの対応に我が格好など二の次になっていた守は、ウンディーネの指摘により急ぎ部屋に戻り自身の服へと着替え直してくるのであった
「私服を貸してくれてサンキューなアディリシア。だいぶ助かったよ」
「いえいえ、大したことはございません。それに私の方でも収穫がありましたので」
「うん?どういう意味だ?」
「何でもありませんよ」
「…あの姫様やはり抜け目がないわね。さりげなく自分の私物に守の温もりを付加させているのだから…。それも悟られないように笑顔でごまかしているなんて」
アディリシアとの会話後すぐに、ジャンヌたちに絡まれている守を見守りながら微笑んでいるアディリシアを見て、ウンディーネは改めてアディリシアの抜け目なさを思い知らされるのであった
「…それでアナト姉の用ってなんだったんだ?」
「あら?王間まで行って聞いてないのかしら?守の望んでいた墓参りの日程が決まったのよ。それの調整よ」
「…漸くか。あの司祭とは一悶着ありそうだが、ようやくみんなに顔を出せる」
「ごめんね、守。司祭との折り合いが悪くなったのは私のせいだもんね」
「いや、気にしなくていい。…それで日程はいつなんだ、アナト姉?」
「次の休日よ。先の話にも出ていた通り、同伴できるのは私のみだからそのつもりでね」
「ああ」
戦争後の守の因縁の相手といっても過言ではない相手と直接会う、会わなければ、達成できない兼ねてからの目的の日程が決まり、守の心が少し研ぎ澄まされるのであった
〜???〜
「それで、英雄様と遊ぶための準備はできたってことなのでしょうか?」
「…準備は整った。この私に楯突いたこと私が正しかったということを知らしめてやろう」
「グラント様、目にものを見せてやりましょう!…それで大魔法剣士を屠った際には」
「ああ。わかっておるとも。私の正しさが証明できた暁には、ハワード家の復興を約束しよう」
「ありがたき!!ほれ…バカ息子、お前のせいで失った権威をグラント様が取り戻してくれようとしているのだ」
「大魔法剣士に復讐の機会を与えていただき、ありがとうございます、グラント様。それで、どうやってあの化け物を屠るのか伺ってもよろしいでしょうか?」
「父親から聞いてはいなかったか、ラーズ。まぁ良いだろう。残念ながら我々の力では魔王を倒したあやつを殺すことなどできぬ。だが、この世界から存在を消してしまえばいい」
「それは、つまり!!」
「ああ。逆召喚魔法であやつをこの世界から消す。殺すわけではないから、適当な理由をつければ、アディリシア様も悲しまないであろう。そして、この???の協力のおかげで逆召喚魔法が実行できそうなのだ」
「それはとても素晴らしい。???殿にも感謝を」
「ふふふ…うまくいけばいいですね。うまくいけば、ですが…」
守の女体化編でお送りしてきました。最後にちょろっと登場しましたが、新キャラ二名と久々のキャラ一名登場です。まずは、久方ぶりの登場であるラーズ。次からの話でどう言った活躍があるのやら。そして名前はまだ出していませんが、新キャラに父親のハワード家と戦争なき現代で守の最大の敵といっても過言ではない司祭のグラントです。




