第61話 結婚を前提にお付き合いを!!
聖魔に着てもらうための服をアディリシアとニースの二人が取りに戻っている間、ほんの少しの休息に安堵していた守は、別方向からの来訪者に再び緊張感に蝕まれることになる
「おーい!!守が師匠をするなんていう面白そうな現場を見に来たぞー!!」
「(げぇっアキレウス!?今日に至って次から次へと…数年間共に旅をしていたメンバーのうちの一人だ。流石にバレるか?)」
「あれ…?ジルとエキドナしかいないのか?肝心の守は?」
「ちょっと野暮用でじゃな。今はおらぬのじゃ」
「ふーん…あ、あなたは…!?」
「(バレたか?いや、やれるだけやってみるしかないか…)は、はじめまして…。アキレウス様のことは義兄守より伺っております」
「守の義妹だと…!?バカなっ!!数年共に過ごしていたのに、知らないぞっ!!どことなく雰囲気が守に似ているし、いったいいつあいつは義妹なんて作ってやがった!!!ちっきしょー、羨ましい!!」
「おそらく、守しゃんの服を着てらっしゃるので雰囲気が似ているのでしゅ」
「確かにそうだな!!きっと義兄思いなんだろうな」
「(アキレウスがアホでよかった)ホッ…ナイスアシストだ、エキドナ(ボソッ」
「ま、まかせてくだしゃい」
「義妹にテンションをあげておるが、お主には義理でない正当な妹がおるじゃろうに…」
「それはそれだ。いいか、男っていうものはな、ないものに憧れを抱く生き物なんだ。守の気を引きたいのなら、こういうことも覚えておくんだな」
「…妹プレイは需要あるのかのう(ボソッ」
「ご遠慮いたします(ボソッ」
「それはそうとお名前を伺っても?」
「せ、聖魔と申します」
「ふっ…俺と守は共に死線を乗り越えてきた戦友であり、親友だ。まさか俺があいつのお義兄さんになる前にあいつが俺のお義兄さんになる機会が訪れようとはな」
「と、いいますと…?(なんだか嫌な予感が…)」
「少しだけ待っていてくれ。すぐに戻る」
そういうとアキレウスは全力で街へ向かって駆けていき、ものの数分で戻ってくるのであった
その手には花束が装備されており、聖魔の前に片膝をつき、花束を聖魔に渡しながら告げる
「ハァ…ハァ…聖魔さん、あなたを一眼見た時にこう胸の奥に感じるものがありました。アストン皇国第一王子アキレウス=アストン、あなたを退屈にはさせません。結婚を前提にお付き合いを!!」
「色々な意味で気持ち悪いのじゃ…」
「(男しかも戦友に求婚されることになろうとは…)ご、ごめんなさい。初対面の方といきなりは…。それにアキレウス様は気が多い方と兄から伺っておりますので…」
「ちっきしょー!!あいつ、一体俺の何を吹き込んでやがる!!…わ、わかりました。今までのやんちゃを認めた上で、あなたのためだけに俺は今後一切不埒なことをしないと誓いましょう。よろしければこの後、親交を深めるためにお茶でも…」
「お兄様」
色々な意味で混乱し、呆然としている守(聖魔)の元に助け舟と言わんばかりに、戻ってきたアディリシアが笑いのない真剣な顔でアキレウスに向けて言い放つ
「普段のおいたは許せますが、その方に擦り寄ることは許しませんよ?」
「ハハハ…妹よ、今回は本気なんだぜ?」
「二度は言いませんよ?」
「え、笑顔が怖いぞ、妹よ…」
アディリシアの笑顔でかつ無言の圧力に圧倒されたアキレウスは、冷や汗をたらしながら
「こ、今回は退こう。だが、妹に屈しないぞ!!聖魔さん、また会いましょう」
と捨て台詞を吐きながら、アキレウスはその場を去っていくのだった
後に吸血族の里のカーミラに今回の件(正体が守であることは伏せられたまま)が伝わり、架空の存在である守の義妹・聖魔は嫉妬の対象としてカーミラから常に睨みをつけられるのであった
「あ、ありがとうございます、アディリシア様」
「うふふ…大したことではございません。あなたは絶対にお兄様に渡しませんので」
「気をつけてくださいね、聖魔さん。あの方の女性への執着心はものすごいのですから」
「は、はい…自分で実感してよくわかりました…」
「(ひょっとして姫さん…気づいておるのか?)何はともあれなのじゃ。戻ってきたということは服の用意ができたということじゃろ?」
「はい、こちらにお着替えしてください」
「これは!?」
「以前守様とデートした時に着た服になります。あれ以来飾っていたのですが、今回は是非義妹様に着ていただこうと取り出しました」
「ほぉ〜デートのう〜」
「MVPのやつな(ボソッ」
「どうかされましたか?」
「い、いえ、ジルさんお願いします」
アディリシアより渡された服に着替えるため、聖魔とジルは館の中へと入っていく
周辺に誰もいないことを確認し、着替えの時間という再び訪れた少しの休息に巣に戻る守は先の件の疲れがさらにどっとくるのであった
「気を張らなくてよくなるとどっと疲れがくるな…。エキドナの特訓に付き合うはずが俺が特訓されているようだ」
「久方ぶりの特訓と考えれば悪くはないのじゃ」
「確かにそうかもな。こんなに緊張感のある特訓は数年ぶりと言っても過言ではないし、だが、アキレウスに口説かれた時は鳥肌がたった」
「事情を知っているこっち側からみると女好きの王子が親友の男にナンパしている図じゃからな。気持ち悪い以外の何物でもないのじゃ」
「それもそうだが、何が恐ろしいって、あのナンパ野郎が、今回は本気と言い出すことだ。聖魔はそこまで言わせるほどなのか?」
「悔しいが、聖魔が守に迫ったら少し自信をなくすかもしれぬのじゃ。じゃが、その聖魔は守だから何も問題はないのう」
「いろんな意味で複雑だ」
「一つ忠告しておくのじゃが、姫さんはおそらく聖魔=守ということに気づいておるぞ」
「俺も薄々は感じてはいる。だが、不自然な点もある。例えば、こうして大切にしているという服をあえて貸してくれることとかだ。意図が読めん」
「守様のためなら…と普段から豪語している姫さんなのじゃ。忠義心ということではないのか?ま、何にせよ、これでこれから新たに誰かと出くわしても問題はないじゃろ」
「それはフラグというんだぜ、ジルさんよ…。知人には会いたくないな〜…」
「いっそのこと公表すればいいのではないじゃろうか?」
「いや、こんな笑いのネタを提供なんてことは意地でも避けたいからな。」
アディリシアから借りた服に着替えた聖魔と着付けを手伝ったジルは、三人が待つ場へ戻る
「大変よく似合っております。それでは街へ行きましょう」
「街にっ!?い、いったい何故?」
「せっかくアストン皇国に来ていただけたのです。義兄さんが暮らしている街が気になったりしませんか?」
「た、確かに気になりますね…ハハハ…」
「それでは、せっかくですのでエキドナさんもご一緒にいきましょう。まだよく見ていませんよね?」
「ご一緒したいでしゅ。でしゅが…街の人たちを石化してしまうかもしれましぇんので…」
「そこはきっと影から守様がサポートしてくれますよ。そうですよね、聖魔様?」
「「(ばれている(のじゃ))」」
「ハハハ…義兄さん近くにいますでしょうか?」
「ま、まぁ守の穴は埋められぬが、やれる範囲で我がサポートするのじゃ」
「決まりですね。それでは、参りましょう」
こうして女性五人は国顔であるアディリシア直々の案内のもと、街へ行くことになる
この後、オールスター勢揃いと言わんばかりに、守周辺の人物たちと出会うことは知らずに…
一方、今回の騒動を引き起こした元凶は、守を狙う謎の影と接触しているのであった
「どうかしら?守と再び会う前の余興として少しは楽しんでもらえそうかしら?」
「私から接触しておいてあれですが、こんなものであなたを信用はできませんよ?どういう意図でこちら側に来たのかわかりませんが、もう少し信用材料が欲しいですね〜」
「あら?焦る女は男にモテないわよ?さっきも言ったわよ。これは余興だってね」
「…まぁ良いでしょう。今はこの余興を楽しむとしましょう」
女体化編パート2でした。アディリシアが何故守と見抜けたのかは過去話を振り返れば、なんてことない理由です。本編でもちゃんと触れます。
最後にアナトとつながりを持った闇の少女(仮名)も次章あたりで再び姿を表すやもしれません。




