第60話 俺が女にぃ〜!?
「大魔法剣士しゃま、魔力操作の修行をつけてくだちゃい!!」
エキドナを屋敷に迎え、開口一番に噛み噛みながらにお願いされるのであった
「それが目的でこちらに呼んだっていうのが大きいからな。もちろん協力はするんだが、まず一ついいか?」
「な、なんでちょうか?」
「学園や公の場で俺のことを大魔法剣士と呼んだり、エキドナ自身を俺の弟子だと言い回らないでくれ。今更なんだが、一応抑えていたからな」
「す、すみましぇん…。それでは、なんてお呼びしたらよいでしゅか?」
「なんでもいいよ。聖でもいいし、守でもいいし。呼ばれ方にこだわりはないからな」
「では、守しゃんとお呼びしましゅ…あぅ〜噛み噛みだよ…」
「お、おう…(何かに目覚めてしまいそうだ…)」
「変な目をしておるぞー」
「守の変なプライドなんてどうでもいいから始めましょ♪」
守はエキドナの特訓に付き合うにあたり、自身の魔法の師であるアナトと身体強化魔法を得意とするジルを事前に呼んでいた
「…協力するに当たり、俺自身がエキドナに寄せた方法で、教えていこうと思う。実際に俺が変身魔法を使い、なおかつ別の魔法を使い魔力を維持している様子をまずは見てもらおうと思う。固有スキルである小蛇王眼は習得できないが、変身魔法はすぐに覚えられるからな。そこで俺の師であるアナト姉にも協力をお願いしたわけだ」
「はぁ〜い、お姉さんにお任せ♪だけど、ごめんなさいねぇ〜。ずっと付き合ってあげたいのだけど、お姉さんも色々忙しくね。守に変身魔法を教えたらすぐに行くわね」
「…なんだか嫌な予感がするのじゃ」
守はアナトに変身魔法について教わる
魔法初心者とは違い、数々の魔法を知り、使用してきた守には、話を聞いただけで習得することができ、すぐに実行しようとする
この後、ジルの嫌な予感が的中することになるとは知らずに
「じゃあ、さっそく変身してみようかな。変身!!」
そういって守は、守の思う姿へと変身しようと魔法をかける
すると守の体が光だすが、すぐに光は消えていくのであった
アナトを除く周りの者たちは、人型から変化のないもののその見た目の違いに驚く
「へぇ!?」「アレはっ!?」「うふふ」
「こ、これは…俺が女にぃ〜!?」
女性版守の外見は普段のショートとは違い、腰まで伸びた黒髪ロングで、貧乳組から文句が出るほどのサイズを持つバスト、男の時と変わらぬ身長を維持しながらも腰は括れがわかるほどキュッとしている
その場で変身した姿を見ていなければ、その正体が守と気付ける者はいないほどの変化を遂げるのだった
「うふふ〜ちょ〜っとばかしイタズラをしちゃったわ。何に変身するつもりだったか知らないけど、守の魔法に介入しちゃったわ」
「ちょ、ないぞ!!俺の大事なアレが!!しかも、魔法解除が効かない!!どうなってやがる!?」
「エキドナちゃんと同じか弱い女の子になって教えてあげることね。それじゃあ、お姉さんは行くわ♪」
「ちょっ!!待ってくれ〜!!」
守にいたずらをし、満足したアナトは、この状況を後にし、その場を後にする
混乱している守にジルが追い打ちをかけるように呟く
「…人の魔法に介入。考えてみれば、アレも英雄だったのじゃ。…それにしても、守が女じゃとこうもスタイルがいいのじゃなー」
「そんなことはどうでもいい!!くっそぉ〜…やけに素直に手伝ってくれると思ったらそういうことだったか!!」
「そ、それよりも特訓はどうなってちまうのでしゅか?」
「…いや、男に二言はないからな。もちろんする。これの解除法を考えながらな。いいか、二人とも。この恥ずかしい姿を知っているのは、アナト姉を除いたらこの場にいる俺たちだけだ。絶対に公言するなよ?」
「それはいいのじゃが…あちらより姫とニースがこっちに向かっているぞ」
「うげっ…適当にごまかすしかねぇ…」
適当な理由を考える暇もなく、二人は近寄ってくる
見たことのない女性がジルとエキドナと一緒にいることに不審に思うアディリシアはその女性に問いかける
「守様の魔法講座を見させていただけると思い、来たのですが、どちら様でしょうか?」
「…まさか、守さんはまた女を拾ってきたのでしょうか?」
「(一回も拾ってきたことなんかねぇよ…)え〜と…私は守様の義妹の聖魔といいます」
「声きもっ…なんでもないのじゃ」
苦し紛れな裏声と言い訳に笑いを抑えるのに必死なジルとこの現場をどうするんだとアワアワしているエキドナ
今までに聞いたことのない義妹聖魔の存在に怪しさしか感じない二人
「義妹?そんな存在今までに一度も聞いたことがありませんが…?」
「姫様、ひょっとして例の守様を狙っている存在だったりは…」
「それでしたらジル様たちが戦闘態勢に入っていないのがおかしいです」
「様子を見るしかないということですね」
「まぁまぁ、二人とも。この…ぷっ…聖魔は怪しい存在ではないのじゃ。ぷくく…」
「よくわかりませんが、ジル様がどうおっしゃられるのでしたら…」
「…一つ聞いてもいいでしょうか?」
「な、なんでしょうか?」
「なんで聖魔さんは守さんの服を着てるのでしょうか?」
「「「あっ」」」
女性に変化したことに混乱しており、すっかり忘れていた点をニースにジト目で尋かれ、冷や汗を流す聖魔
「あの〜実はですね。本日は、義兄より、こちらに来るようにと話を頂いてきたのですが、来る途中にドジを踏んでしまいまして…。当然代えの衣服は持ち合わせていませんので、義兄の服を貸してもらっています」
「…怪しいですが、ジルさんが何も言わないということはそういうことなのでしょうか?守さんは女性にとても好かれています。とある人たちにこの姿を見せると大変なことになるので、一度着替えませんか?」
「それでしたら、私の私服をお貸しします。こないだ守様が気に入ってくださったものがありますので、そちらを本日は着てください」
「ご自身でも滅多に触れることがないあの服をお貸しになるのですか?」
「ええ。守様の義妹ということでしたら、守様同然の対応をと思ったまでです」
「(やべっ、女性の服なんて着たことないからわからんぞ)」
「(しょうがないのじゃ。手伝ってやるからなんとか話を合わせるのじゃ)」
「(わ、わかった)あの〜実は出が貧相なところでして…華美な服は自分で着たことがありません。その〜ジルさんに手伝ってもらってもいいでしょうか?」
「持ち主の姫様でなく、ジルさんに?なぜでしょうか?」
「その…女性同士でも裸を見られるのが恥ずかしくてですね…ジルさんは最初に出会ったということもありますが、義兄に近しい存在だと伺いましたので…」
聖魔の近しい存在というNGワードに、かつては同じ部屋に住んでいたニースは、言葉を返さないわけにはいかないと勢い込む
「ちょっと待ってください!!聖魔さん、私ニースはですね、つい最近までは守さんと部屋を共にしていたのですよ?守さんのお世話担当の私が、義妹さんの着替えを手伝わさせていただきます」
その様子にジルはあちゃ〜と言わんばかりのあきれ顔になり、フォローをだそうとするも、意外にもそれより先にアディリシアが口を開く
「ニース、義妹さんがそういったのですから、ここはジル様に任せましょう。すぐに用意しますので少しお待ちくださいね」
「え、あ、はい…そうですね。義妹さんに熱くなっても仕方ないですもんね」
ニースを宥めたアディリシアはすぐに聖魔に着させる服を取りにニースと共に戻る
二人の姿が見えなくなると、一時の緊張感からの解放に守は、急激な疲労感に襲われるのであった
守女体化編に入りました(この編の名前はおかしいかもしれませんが)。前回の4月1日とは別の意味で、嘘、偽り、疑惑がテーマの編といった感じになる予定です。といっても前回のラストに書いた通り、そんなに長くはなく、ちょっとしたパニックを入れるといった感じの編になります。ただ、今まで出てきた登場人物の半分以上は登場予定です。




